177 / 226
雪山最後のレイド
170
しおりを挟む
俺の指示を聞いて、少しだけ笑いの混じった表情で、素早く行動に移る東側プレイヤー達。
いい加減と言うなかれ。
こう言った集団戦で。
細かく指示を出すと、時間がかかるし。
何よりも。 其処まで他のプレイヤー連中の、装備やスキル構成を把握している訳ではない。
盾持ち組に至っては、既に空中にジャンプしながら不死鳥フェニックスにヘイトを発動している。
「東組みで、歌い手スキル保持者は軽く跳び上がってくれ。
空中戦に自信の或る、歌い手スキル保持者は、俺と一緒に空中戦闘をするぞ。」
連合チャットから、叫びチャットに切り替えて言う。
★叫び★
*エリアチャットより狭く、通常チャットよりは範囲が広いチャット方式。
*大声で叫ぶ状態に似ている様から、叫びチャットと呼ばれる。
俺の叫びに、30人強ほどの歌い手プレイヤーが、10メートルほど跳び上がる。
「そこの赤髪より右の歌い手スキル保持者は、俺と一緒に最初に跳ぶぞ。
次は、落下タイミングを見て。赤髪より左10人。
最後に、そこの白頭のプレイヤー組の10人。
白髪より、左のプレイヤーは、各自の判断に任せる。」
それだけ言うと、俺は一気に3連続ジャンプで、戦闘を始めているプレイヤー達にソングスキルの支援を送る為に跳び上がる。
それを合図にか、支援効果組の詠唱が次々に発動する。
歌う歌は、最近リニューアルされて、公開された銀の錬金術師の続編で。
白銀の錬金術師:劇場版。
「覚えているかい? 少年の日の事を?
あの朝の母の……
・・・・・」
歌を歌いながら、歌い手スキルの支援を送る。
が。
なにせ、歌い手スキルの効果範囲は狭い。
そして、ジャンプで空中に留まっていられる時間は僅かに2~3秒。
俺と一緒に、跳び上がった歌い手スキル保持者のプレイヤー達も、そこそこ距離を離しながら飛び上がっているのだが。
いかせん、圧倒的に滞空時間が足りない。
落ちる瞬間に。 もう一度、空中を蹴り。短くジャンプして滞空時間を伸ばすが、それでも足りない。
俺たちが、落ちるかどうかの所で。
第2陣の、歌い手スキル保持者のプレイヤー達が跳び上がって来るのが確認できた。
そして、落ちていく途中で。
第3陣の、歌い手スキル保持者のプレイヤー達が、跳び上がっていく。
こうすれば、歌い手スキルの効果時間と範囲を、何とか断続的にだがカバーは出来る。
**** カナタ視点 ****
生来さんの指示が出て、俺たち盾持ち組は一斉に跳び上がった。
一気に4連続で垂直にジャンプして、最後の1回でフェニックスの方に向かいながら「敵対値増加! 」スキルを発動させる。
スキルを発動させると同時に、自分の体が落ちていくのがわかる。
他の盾持ちプレイヤー達も、次々に敵対値増加を発動させながら落ちていく。
4陣の中で一番早く行動を取ったのは生来さんの指揮する東組。
「ピイィキィ!」
フェニックスは、敵対値が上がって、俺たち盾持ちプレイヤーにターゲットをロックする。
半分以上は、アイテム依存と言われようが、敵対値増加率に自信はある。
今回のレイド討伐の前に、フレンドになったプレイヤー達とレイド狩りに行き。
反骨の腕輪と言う、レジェンドアイテムをドロップした。
魅了の指輪ほどでは無いけど、指輪と一緒に装備して攻撃&ヘイトスキルを使えば、かなりの高確率でМОBのターゲットを引き戻す頃ができる。
これで、フェニックスのターゲットを取った。
そう思ったが。
フェニックスは、俺達の方にはターゲットをロックせずに、俺たちに支援魔法を掛けてくれた支援効果組の方にターゲットをロックした。
(げげっ! 溜め込み式!?)
★溜め込み式★
*ヘイト値を溜め込んでから、一番ヘイト値の溜まった相手にターゲットを固定して死亡するまで離れないタイプ。
*また、ヘイト値を溜め込む人数はランダムで選別される為に、タンク泣かせのМОBである。
東組だけでも、盾持ちは数百人はいる。
それなのに、盾持ちにはヘイトせずに、バッファーにヘイトしたのだから、溜め込み式と判断したカナタ。
落ちていく中、カナタは生来達と擦れ違う。
生来さんも、歌い手スキル持ちのプレイヤー達に指示を出して跳んでアタッカーのプレイヤーの支援をしている。
カナタは、すぐに連合チャットに切り替えると。
「ティファさん! フェニックスは、恐らく溜め込み式だ!
もっと、補給班を小分けにしないとヤバイっ!」
着地と同時に、再び跳び上がりながら、総司令官であるティファに向かって言う。
「補給組。 今のは聞こえたな。
今から、50人ずつに小分けにする。
それと、ターゲットロックを貰ったプレイヤーは、即座に自分の居る補給組から離れて死亡確定でお願いする。」
ティファの言葉に、「うげっ。」、「マジでぇ。」、「さいてぇ~。」、などと。
補給組のプレイヤー達からの声が上がる。
その声は、ティファへの批判の声ではなく。
フェニックスのターゲットロックが、溜め込み式への不満への声である。
ティファは、補給組のプレイヤー達を小分けする。
さらに小分けした補給部隊を、結構な間隔を空けて配置。
これなら、どこかの補給班にターゲットロックされても、小分けした班ごとの壊滅は免れるだろう。
「補給班の護衛のプレイヤーは、フェニックス討伐に向かってくれ。」
総司令官のティファの言葉に、護衛役で回ってきたプレイヤー達は、その場を離れてフェニックス討伐に参戦する。
いい加減と言うなかれ。
こう言った集団戦で。
細かく指示を出すと、時間がかかるし。
何よりも。 其処まで他のプレイヤー連中の、装備やスキル構成を把握している訳ではない。
盾持ち組に至っては、既に空中にジャンプしながら不死鳥フェニックスにヘイトを発動している。
「東組みで、歌い手スキル保持者は軽く跳び上がってくれ。
空中戦に自信の或る、歌い手スキル保持者は、俺と一緒に空中戦闘をするぞ。」
連合チャットから、叫びチャットに切り替えて言う。
★叫び★
*エリアチャットより狭く、通常チャットよりは範囲が広いチャット方式。
*大声で叫ぶ状態に似ている様から、叫びチャットと呼ばれる。
俺の叫びに、30人強ほどの歌い手プレイヤーが、10メートルほど跳び上がる。
「そこの赤髪より右の歌い手スキル保持者は、俺と一緒に最初に跳ぶぞ。
次は、落下タイミングを見て。赤髪より左10人。
最後に、そこの白頭のプレイヤー組の10人。
白髪より、左のプレイヤーは、各自の判断に任せる。」
それだけ言うと、俺は一気に3連続ジャンプで、戦闘を始めているプレイヤー達にソングスキルの支援を送る為に跳び上がる。
それを合図にか、支援効果組の詠唱が次々に発動する。
歌う歌は、最近リニューアルされて、公開された銀の錬金術師の続編で。
白銀の錬金術師:劇場版。
「覚えているかい? 少年の日の事を?
あの朝の母の……
・・・・・」
歌を歌いながら、歌い手スキルの支援を送る。
が。
なにせ、歌い手スキルの効果範囲は狭い。
そして、ジャンプで空中に留まっていられる時間は僅かに2~3秒。
俺と一緒に、跳び上がった歌い手スキル保持者のプレイヤー達も、そこそこ距離を離しながら飛び上がっているのだが。
いかせん、圧倒的に滞空時間が足りない。
落ちる瞬間に。 もう一度、空中を蹴り。短くジャンプして滞空時間を伸ばすが、それでも足りない。
俺たちが、落ちるかどうかの所で。
第2陣の、歌い手スキル保持者のプレイヤー達が跳び上がって来るのが確認できた。
そして、落ちていく途中で。
第3陣の、歌い手スキル保持者のプレイヤー達が、跳び上がっていく。
こうすれば、歌い手スキルの効果時間と範囲を、何とか断続的にだがカバーは出来る。
**** カナタ視点 ****
生来さんの指示が出て、俺たち盾持ち組は一斉に跳び上がった。
一気に4連続で垂直にジャンプして、最後の1回でフェニックスの方に向かいながら「敵対値増加! 」スキルを発動させる。
スキルを発動させると同時に、自分の体が落ちていくのがわかる。
他の盾持ちプレイヤー達も、次々に敵対値増加を発動させながら落ちていく。
4陣の中で一番早く行動を取ったのは生来さんの指揮する東組。
「ピイィキィ!」
フェニックスは、敵対値が上がって、俺たち盾持ちプレイヤーにターゲットをロックする。
半分以上は、アイテム依存と言われようが、敵対値増加率に自信はある。
今回のレイド討伐の前に、フレンドになったプレイヤー達とレイド狩りに行き。
反骨の腕輪と言う、レジェンドアイテムをドロップした。
魅了の指輪ほどでは無いけど、指輪と一緒に装備して攻撃&ヘイトスキルを使えば、かなりの高確率でМОBのターゲットを引き戻す頃ができる。
これで、フェニックスのターゲットを取った。
そう思ったが。
フェニックスは、俺達の方にはターゲットをロックせずに、俺たちに支援魔法を掛けてくれた支援効果組の方にターゲットをロックした。
(げげっ! 溜め込み式!?)
★溜め込み式★
*ヘイト値を溜め込んでから、一番ヘイト値の溜まった相手にターゲットを固定して死亡するまで離れないタイプ。
*また、ヘイト値を溜め込む人数はランダムで選別される為に、タンク泣かせのМОBである。
東組だけでも、盾持ちは数百人はいる。
それなのに、盾持ちにはヘイトせずに、バッファーにヘイトしたのだから、溜め込み式と判断したカナタ。
落ちていく中、カナタは生来達と擦れ違う。
生来さんも、歌い手スキル持ちのプレイヤー達に指示を出して跳んでアタッカーのプレイヤーの支援をしている。
カナタは、すぐに連合チャットに切り替えると。
「ティファさん! フェニックスは、恐らく溜め込み式だ!
もっと、補給班を小分けにしないとヤバイっ!」
着地と同時に、再び跳び上がりながら、総司令官であるティファに向かって言う。
「補給組。 今のは聞こえたな。
今から、50人ずつに小分けにする。
それと、ターゲットロックを貰ったプレイヤーは、即座に自分の居る補給組から離れて死亡確定でお願いする。」
ティファの言葉に、「うげっ。」、「マジでぇ。」、「さいてぇ~。」、などと。
補給組のプレイヤー達からの声が上がる。
その声は、ティファへの批判の声ではなく。
フェニックスのターゲットロックが、溜め込み式への不満への声である。
ティファは、補給組のプレイヤー達を小分けする。
さらに小分けした補給部隊を、結構な間隔を空けて配置。
これなら、どこかの補給班にターゲットロックされても、小分けした班ごとの壊滅は免れるだろう。
「補給班の護衛のプレイヤーは、フェニックス討伐に向かってくれ。」
総司令官のティファの言葉に、護衛役で回ってきたプレイヤー達は、その場を離れてフェニックス討伐に参戦する。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
85
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる