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ツヴァイ編

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「吟遊詩人のイクルさんだよ。ほら、一昨日の晩に話した人。」

彼は、USOを始めて、まだ15日目の初心者プレイヤーだ。

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   * 蒼夜との出会い 回想 *
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四日ほど前に、好奇心でデスパに来たのは良いけど。

ソロで来ていた為に、ドレイクに袋叩きにされて幽霊となって俺の前に現れた。

USOでは、死亡すると。死亡した場所に、自分の死体が現れる。

死体の中には、自分が装備している武器防具は勿論の事。狩りで手に入れた素材や、レアなアイテムまで死体の中に残ることになる。

そして、死亡したプレイヤー本人は。幽霊となって死体の傍に現れる。

幽霊なので、話し掛けない限りは、周囲のプレイヤーからは視認できない。

唯一、幽霊の状態で話しかければ、他のプレイヤーからも視認が出来る様にはなる。

視認が出来るだけで、幽霊状態のプレイヤーの言葉は意味不明の言語にしか聞こえない状態だ。

あいにく、俺は霊媒師のスキルは持っていないので、幽霊状態のプレイヤーの言葉は聞き取れないが。

死亡したプレイヤーが言う事は9割が決まっている。


「蘇生して!!」  だ。


だが、蘇生しようにも。魔法スキルも50しか振り分けていない俺には、最上級扱いの蘇生魔法は使えない。

なので、「蘇生は出来ないけど、NPCヒーラーの所まで案内できるけど?」

そうすると、幽霊状態の彼【蒼夜】はお辞儀をする。

デスパの外に出て、走ること5分(現実時間で)。

デスパ周辺の教会に辿り着く。

教会にはNPCノンプレイキャラクターの神父が居て、幽霊状態の蒼夜が近づくと瞬時に蒼夜を蘇生してくれた。

ここの協会のNPCは、不在の時も有るのだが。それを、考慮してか。蘇生料金は無料になっている。

「お気を付けて。」

NPCノンプレイキャラクターの神父は、それだけ言うと教会の椅子に腰掛けた。

蘇生された蒼夜は、幽霊ローブと言われる、灰色のローブ1枚だけの格好で蘇生される。

「有り難う御座います。」

蒼夜は俺に向かって礼を言うが。

「礼は良いから。早く荷物を取りに行かないと。」

「はい!」

そう言って、デスパに向かって走り出す蒼夜だが。

あの子・・・・・ローブ1枚だけって自覚してるの?

「蒼夜くん!待った!」

大声で、走り出す蒼夜を呼び止める。
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