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お師匠様とお仕事です
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こんにちは、ミリーです。今回はお師匠様のお仕事を手伝うことになりました。とはいえ、出来ることは限られているので補助として働く、が正しいですがね。
それでも手伝うことでまた一歩成長できた気がするので嬉しいです。日々練習、鍛錬あるのみな見習いですが、このように時折実践的経験を積むことが出来て良かったと思うのも事実です。
「ところでお師匠様、今日の頼み事とは何なのですか?」
「内乱制圧だ。お前はさっきの薬を風に乗せて撒けば大丈夫だ」
後はお師匠様のお仕事なのですね分かりました。とはいえ範囲はとても広大です。目の前で広がる戦火は目の端と端を使っても見えるかどうか、おまけに何百と離れている先々にまで、まるで葉脈のように広がっています。その部分に満遍なく足元に置かれた多くある袋の中身を撒けと。
これが出来れば魔法士へ昇格出来るそうですが、ええ、あえて言いましょう。どんな無茶振りですか。
しかし駄々を捏ねても仕方ありません。諦めて取りかかりましょう。
まずは魔法陣を一つ描き、上にいくつかの袋を、口を作るように開けて置いていきます。ばら撒きはしません、自然風に吹かれて撒かれてしまったら、被害が想像できないからです。
そうして下準備を終えて、「風、範囲極大」と唱えました。詠唱とともに乗せた魔人力に反応して陣が輝き、まるで地面から吹いているかのように袋の中身は散らばっていきました。指示通り、には及びません。端から端までは送ることが出来ても、奥行きの指定をし忘れた為です。そのせいか62点と辛い評価を受けてしまいました。
術に関しては一切妥協のないお師匠様です。仕方ありません。またしばらくは魔法使いのままです。
届かなかった部分にもう一度同じ工程を行い、今度は奥行きも忘れずに唱えます。今度は無事に合格点でした。一発で出来なかったことが悔しく思います。
さて、私が出来ることはここまでです。後はお師匠様の行うことを、集中して見るだけです。
それがどれほど、途方もなく高いものか知りながら。
「火、薬草範囲」
あたりは全て、火の海と化しました。
「……お師匠様、貴方はどれほど規格外なのですか。陣を使わず詠唱だけなんて、非常識です」
「何を改まって。魔獣狩りでいつも見てるだろう」
「ええ、ええ。見ていますとも。ですが……」
あくまでそれは初期魔法の範囲小です。なんて言葉は口の中で溶けました。
炎はしばらく、私達の目から消えませんでした。
それでも手伝うことでまた一歩成長できた気がするので嬉しいです。日々練習、鍛錬あるのみな見習いですが、このように時折実践的経験を積むことが出来て良かったと思うのも事実です。
「ところでお師匠様、今日の頼み事とは何なのですか?」
「内乱制圧だ。お前はさっきの薬を風に乗せて撒けば大丈夫だ」
後はお師匠様のお仕事なのですね分かりました。とはいえ範囲はとても広大です。目の前で広がる戦火は目の端と端を使っても見えるかどうか、おまけに何百と離れている先々にまで、まるで葉脈のように広がっています。その部分に満遍なく足元に置かれた多くある袋の中身を撒けと。
これが出来れば魔法士へ昇格出来るそうですが、ええ、あえて言いましょう。どんな無茶振りですか。
しかし駄々を捏ねても仕方ありません。諦めて取りかかりましょう。
まずは魔法陣を一つ描き、上にいくつかの袋を、口を作るように開けて置いていきます。ばら撒きはしません、自然風に吹かれて撒かれてしまったら、被害が想像できないからです。
そうして下準備を終えて、「風、範囲極大」と唱えました。詠唱とともに乗せた魔人力に反応して陣が輝き、まるで地面から吹いているかのように袋の中身は散らばっていきました。指示通り、には及びません。端から端までは送ることが出来ても、奥行きの指定をし忘れた為です。そのせいか62点と辛い評価を受けてしまいました。
術に関しては一切妥協のないお師匠様です。仕方ありません。またしばらくは魔法使いのままです。
届かなかった部分にもう一度同じ工程を行い、今度は奥行きも忘れずに唱えます。今度は無事に合格点でした。一発で出来なかったことが悔しく思います。
さて、私が出来ることはここまでです。後はお師匠様の行うことを、集中して見るだけです。
それがどれほど、途方もなく高いものか知りながら。
「火、薬草範囲」
あたりは全て、火の海と化しました。
「……お師匠様、貴方はどれほど規格外なのですか。陣を使わず詠唱だけなんて、非常識です」
「何を改まって。魔獣狩りでいつも見てるだろう」
「ええ、ええ。見ていますとも。ですが……」
あくまでそれは初期魔法の範囲小です。なんて言葉は口の中で溶けました。
炎はしばらく、私達の目から消えませんでした。
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