お師匠様は自由すぎる

星野 夜空

文字の大きさ
10 / 17

お師匠様とお仕事です

しおりを挟む
 こんにちは、ミリーです。今回はお師匠様のお仕事を手伝うことになりました。とはいえ、出来ることは限られているので補助として働く、が正しいですがね。
 それでも手伝うことでまた一歩成長できた気がするので嬉しいです。日々練習、鍛錬あるのみな見習いですが、このように時折実践的経験を積むことが出来て良かったと思うのも事実です。

「ところでお師匠様、今日の頼み事とは何なのですか?」
「内乱制圧だ。お前はさっきの薬を風に乗せて撒けば大丈夫だ」

 後はお師匠様のお仕事なのですね分かりました。とはいえ範囲はとても広大です。目の前で広がる戦火は目の端と端を使っても見えるかどうか、おまけに何百と離れている先々にまで、まるで葉脈のように広がっています。その部分に満遍なく足元に置かれた多くある袋の中身を撒けと。
 これが出来れば魔法士へ昇格出来るそうですが、ええ、あえて言いましょう。どんな無茶振りですか。
 しかし駄々を捏ねても仕方ありません。諦めて取りかかりましょう。
 まずは魔法陣を一つ描き、上にいくつかの袋を、口を作るように開けて置いていきます。ばら撒きはしません、自然風に吹かれて撒かれてしまったら、被害が想像できないからです。
 そうして下準備を終えて、「風、範囲極大フウ・タウパ」と唱えました。詠唱とともに乗せた魔人力に反応して陣が輝き、まるで地面から吹いているかのように袋の中身は散らばっていきました。指示通り、には及びません。端から端までは送ることが出来ても、奥行きの指定をし忘れた為です。そのせいか62点と辛い評価を受けてしまいました。
 術に関しては一切妥協のないお師匠様です。仕方ありません。またしばらくは魔法使いのままです。
 届かなかった部分にもう一度同じ工程を行い、今度は奥行きも忘れずに唱えます。今度は無事に合格点でした。一発で出来なかったことが悔しく思います。
 さて、私が出来ることはここまでです。後はお師匠様の行うことを、集中して見るだけです。
 それがどれほど、途方もなく高いものか知りながら。

火、薬草範囲サン・ヤック

 あたりは全て、火の海と化しました。

「……お師匠様、貴方はどれほど規格外なのですか。陣を使わず詠唱だけなんて、非常識です」
「何を改まって。魔獣狩りでいつも見てるだろう」
「ええ、ええ。見ていますとも。ですが……」

 あくまでそれは初期魔法の範囲小タウです。なんて言葉は口の中で溶けました。
 炎はしばらく、私達の目から消えませんでした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

最弱弓術士、全距離支配で最強へ

Y.
ファンタジー
「弓術士? ああ、あの器用貧乏な最弱職のことか」 剣と魔法が全てを決める世界において、弓は「射程は魔法に及ばず、威力は剣に劣る」不遇の武器と蔑まれていた。 若き冒険者リアンは、亡き叔父から譲り受けた一振りの弓「ストーム・ウィスパー」を手に、冒険者の門を叩く。周囲の嘲笑を余所に、彼が秘めていたのは、世界をナノ単位で解析する「化け物じみた集中力」だった。 リアンの放つ一矢は、もはや単なる遠距離攻撃ではない。 風を読み、空間を計算し、敵の急所をミリ単位で射抜く精密射撃。 弓本体に仕込まれたブレードを操り、剣士を圧倒する近接弓術。 そして、魔力の波長を読み取り、呪文そのものを撃ち落とす対魔法技術。 「近距離、中距離、遠距離……俺の射程に逃げ場はない」 孤独な修行の末に辿り着いた「全距離対応型弓術」は、次第に王道パーティやエリート冒険者たちの常識を塗り替えていく。 しかし、その弓には叔父が命を懸けて守り抜いた**「世界の理(ことわり)」を揺るがす秘密**が隠されていた――。 最弱と笑われた少年が、一張の弓で最強へと駆け上がる、至高の異世界アクションファンタジー、開幕!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

魅了だったら良かったのに

豆狸
ファンタジー
「だったらなにか変わるんですか?」

私たちの離婚幸福論

桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。 しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。 彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。 信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。 だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。 それは救済か、あるいは—— 真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

処理中です...