婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話

ひよこ麺

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12.裁きの時

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恐怖で動けない私に、リベリオンがそのまま襲い掛かろうとした時、大きな音がした。

その音が、どうやら館へ何者かが押し入った音だと気付く。

「……私達の愛を邪魔するのは誰だ?」

静かに怒り狂ったリベリオン。そして、館に立ち入る沢山の足音……。その足音が部屋の前まできてそのまま扉がけ破られた。

「お兄様」

先頭に兄がいる状態だった。そう、警ら隊だった。兄は書状をリベリオンに見せるように開く。

「我が妹であるシルビア・ベアトリス侯爵令嬢を誘拐、略奪した罪によりお前を逮捕する」

しかし、リベリオンは怯むことはない。

「ははは、お前か、お前がシルビアとの婚約を破棄したのか」

そう言って、リベリオンは武装している警ら隊に向かって隠し持っていた銃を発砲した。しかし狂気に蝕まれた男の動揺が伝わったのか弾は警ら隊の誰かに当たるわけでなく、壁に当たったらしい。

「犯人は精神錯乱しているようだ、危険があるため発砲を許可する。補足しろ」

兄が命じて、沢山の警ら隊が一気に部屋になだれ込む。リベリオンは発砲を繰り返したが、最終的にもみ合いになり、警ら隊の弾丸に撃ち抜かれた。

真っ赤な鮮血で胸を血に染めながら、リベリオンは笑う。

「綺麗は汚い、汚いは綺麗。シルビア、きみをあいして……」

狂気の笑みを浮かべたままリベリオンはこと切れた。その恐ろしい執念と怨念のような感情に私は動けなくなる。そんな私を兄が抱きしめた。

「遅くなってすまない。シルビア」

「お兄様」

私は恐怖から泣きながら兄に抱き着いた。そうして、抱き着いた私を兄は優しく抱き寄せてくれた。

「もうこれで大丈夫だ。シルビアを脅かすものはもういない」

ただ、声を押し殺して泣いている私を兄は慰め続けてくれた。そうして泣きながら私は奇妙なことに気付いた。兄はこんなに優しいのにどうして私をないがしろにしていたのか。

「大丈夫、どんなことがあってもシルビアのことは俺が守り抜く」

そう言って抱きしめる兄のあたたかさは私を落ち着かせるのに、何故か胸の奥で胸騒ぎがするのは何故だろう。言い知れぬ感情の理由は分からないが、私はただ兄に縋りついてそのまま泣き続けたのだった。
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