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最終話.狂おしいほど幸福な日々(一部:兄視点)
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あの後、リベリオンは死に、その罪が明らかになることによりバーミリオン公爵家も取りつぶしは免れなかった。
リベリオンに誑かされたとはいえ、私を殺そうとしたリリアについても減刑はなく、春の良く晴れた日に処刑された。全ては終わった。終わったのだ。
しかし、私は多くのものを失いすぎた。健康も、3年という時間も、そして幸福な未来さぇも。
「シルビア、寒いから部屋に戻ろう」
「はい」
あのリベリオンに攫われた日依頼、兄はとても過保護になった。元々は私に対して無関心な人だったはずなのに、ずっと隣国へ留学していて、戻ってすぐに警ら隊に入ったそうで全く私に関心がない人だったはずなのに、今回の件はこの兄が居なければ解決しなかっただろう。
感謝の気持ちはある、実際リベリオンに殺されかけたあの瞬間も兄が救ってくれたのだから。
そう、兄は恩人のはずなのだ。
それなのに、何かとても気持ちが悪い不安が私の胸を支配し続けている。それが何かはわからない。今回の事態で両親はショックを受けて、兄に爵位を譲り田舎に引っ込んでしまったそうだ。
屋敷には今私と兄以外の家族は居ない。そして、兄は私を家から追い出すこともせず、そのままいつまでも居続けて構わないと言ってくれた。無理やり後妻に出すつもりもないと優しく微笑んでいってくれた。
私にとって、この家に良い思い出はないが、だからと言って不幸になりに嫁に出されたり、追い出されるよりずっとマシだった。
結局、私は兄に甘えることしかできないでいる。だからこそ違和感があっても、それから目を反らし続けているのかもしれない。
(そうよ、何故、警ら隊は自体が起きなければ動かないはずなのに、リリアに突き落とされた日に、その場にいたのか。何故そうなることを事前に知っていたのかなんて考えてはいけないのよ)
もう、私は疲れてしまった。違和感に気付かなければ兄は私を自由でいさせてくれるし、リベリオンのように恐ろしいことをしてきたりはしない。だから……
「シルビア、今度の休みにお前の好きなオレンジ色のマーガレットの沢山咲いている植物園へ」
「ありがとうございます、とても嬉しいです。お兄様」
私は、今は優しい兄の手を取る。あの日事故で眠ってしまった私の世界、今度こそ眠り姫を王子様が迎えに来てくれたように、幸せで満ち足りた狂おしいほど幸福な日々が続くようにただ祈っている。
*******************
◇兄視点◇
「シルビア、今度の休みにお前の好きなオレンジ色のマーガレットの沢山咲いている植物園へ」
「ありがとうございます、とても嬉しいです。お兄様」
シルビアが俺に笑いかける。まるで花が綻ぶようなそれはそれは美しい笑顔で。俺はシルビアのことをずっとずっと愛している。
シルビアは歩くことがまだできないので、俺が面倒を見ている。婚約者が狂った男だったこともあり2度と婚約をしたくないというのでその願いを叶えてあげるつもりだ。
(もうシルビアはこの家から出ていく必要はない)
両親が爵位を譲り、田舎へ移り住んだおかげで、やっと、シルビアとふたりっきりになれた。
(ずっとずっと待ち望んでいた、この日を……)
シルビアと疎遠だった原因は、俺がシルビアに対して妹以上の感情を抱いていることが両親にバレてしまったからだ。当時、まだ2歳だったシルビアに対して異常なまでの執着を俺が示したことを、両親が危惧して隣国の学校へ留学させた。
それで過ちに気付くなどと両親は思っていたらしいが、シルビアへの俺の気持ちは過ちではない。だから、俺は……隣国へ留学中も家にいる使用人にシルビアを監視させた。
そうして、シルビアの情報を集めていた。
けれど、両親はいつの間にか、シルビアを婚約させた、その話を聞いた時は相手を殺したいと憎んだ。
しかし、調べるとリベリオンはシルビアを愛してはいなかった。それならば婚約は破棄されると思っていた。それなのに、あの男はシルビアを殺そうとした。
俺が監視を命令していた部下が気づかなければ、シルビアは殺されてしまうところだった。しかし、あのリリアという男爵令嬢が本当にシルビアを襲うなんてさすがに想像もできなかった。
その部下についてはバーミリオン公爵家から逃げるため一度死んだように偽装した。焼死体にしたのは証拠を残さないためだ。あの死体自体は全く別人の死体を焼いたものだ。
そうして、今シルビアと俺を隔てるものがいなくなり、幸福で仕方ない。
(これからずっとこの狂おしいほど幸福な日々はが続く。そうだろう?愛おしい可愛い俺のシルビア……)
リベリオンに誑かされたとはいえ、私を殺そうとしたリリアについても減刑はなく、春の良く晴れた日に処刑された。全ては終わった。終わったのだ。
しかし、私は多くのものを失いすぎた。健康も、3年という時間も、そして幸福な未来さぇも。
「シルビア、寒いから部屋に戻ろう」
「はい」
あのリベリオンに攫われた日依頼、兄はとても過保護になった。元々は私に対して無関心な人だったはずなのに、ずっと隣国へ留学していて、戻ってすぐに警ら隊に入ったそうで全く私に関心がない人だったはずなのに、今回の件はこの兄が居なければ解決しなかっただろう。
感謝の気持ちはある、実際リベリオンに殺されかけたあの瞬間も兄が救ってくれたのだから。
そう、兄は恩人のはずなのだ。
それなのに、何かとても気持ちが悪い不安が私の胸を支配し続けている。それが何かはわからない。今回の事態で両親はショックを受けて、兄に爵位を譲り田舎に引っ込んでしまったそうだ。
屋敷には今私と兄以外の家族は居ない。そして、兄は私を家から追い出すこともせず、そのままいつまでも居続けて構わないと言ってくれた。無理やり後妻に出すつもりもないと優しく微笑んでいってくれた。
私にとって、この家に良い思い出はないが、だからと言って不幸になりに嫁に出されたり、追い出されるよりずっとマシだった。
結局、私は兄に甘えることしかできないでいる。だからこそ違和感があっても、それから目を反らし続けているのかもしれない。
(そうよ、何故、警ら隊は自体が起きなければ動かないはずなのに、リリアに突き落とされた日に、その場にいたのか。何故そうなることを事前に知っていたのかなんて考えてはいけないのよ)
もう、私は疲れてしまった。違和感に気付かなければ兄は私を自由でいさせてくれるし、リベリオンのように恐ろしいことをしてきたりはしない。だから……
「シルビア、今度の休みにお前の好きなオレンジ色のマーガレットの沢山咲いている植物園へ」
「ありがとうございます、とても嬉しいです。お兄様」
私は、今は優しい兄の手を取る。あの日事故で眠ってしまった私の世界、今度こそ眠り姫を王子様が迎えに来てくれたように、幸せで満ち足りた狂おしいほど幸福な日々が続くようにただ祈っている。
*******************
◇兄視点◇
「シルビア、今度の休みにお前の好きなオレンジ色のマーガレットの沢山咲いている植物園へ」
「ありがとうございます、とても嬉しいです。お兄様」
シルビアが俺に笑いかける。まるで花が綻ぶようなそれはそれは美しい笑顔で。俺はシルビアのことをずっとずっと愛している。
シルビアは歩くことがまだできないので、俺が面倒を見ている。婚約者が狂った男だったこともあり2度と婚約をしたくないというのでその願いを叶えてあげるつもりだ。
(もうシルビアはこの家から出ていく必要はない)
両親が爵位を譲り、田舎へ移り住んだおかげで、やっと、シルビアとふたりっきりになれた。
(ずっとずっと待ち望んでいた、この日を……)
シルビアと疎遠だった原因は、俺がシルビアに対して妹以上の感情を抱いていることが両親にバレてしまったからだ。当時、まだ2歳だったシルビアに対して異常なまでの執着を俺が示したことを、両親が危惧して隣国の学校へ留学させた。
それで過ちに気付くなどと両親は思っていたらしいが、シルビアへの俺の気持ちは過ちではない。だから、俺は……隣国へ留学中も家にいる使用人にシルビアを監視させた。
そうして、シルビアの情報を集めていた。
けれど、両親はいつの間にか、シルビアを婚約させた、その話を聞いた時は相手を殺したいと憎んだ。
しかし、調べるとリベリオンはシルビアを愛してはいなかった。それならば婚約は破棄されると思っていた。それなのに、あの男はシルビアを殺そうとした。
俺が監視を命令していた部下が気づかなければ、シルビアは殺されてしまうところだった。しかし、あのリリアという男爵令嬢が本当にシルビアを襲うなんてさすがに想像もできなかった。
その部下についてはバーミリオン公爵家から逃げるため一度死んだように偽装した。焼死体にしたのは証拠を残さないためだ。あの死体自体は全く別人の死体を焼いたものだ。
そうして、今シルビアと俺を隔てるものがいなくなり、幸福で仕方ない。
(これからずっとこの狂おしいほど幸福な日々はが続く。そうだろう?愛おしい可愛い俺のシルビア……)
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