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12.読むと狂気に蝕まれるタイプの本にはじめて出会ってしまいました
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「このように僕はいつでもルークに振動を起こすことができる。だからもしこの振動が起きたらすぐにこの部屋に帰ってくること。それを約束して欲しい」
「えっ……」
まるで携帯電話で呼び出ししたら戻ってこいって言うタイプの嫉妬深い重めの恋人みたいなこといってるけど、どう考えても知らせる方法がおかしい。なんでバイブレーション(inアナル)で知らせようとしているのだろう。酷いマナーモードすぎる。
「嫌なのか?その場合、また全裸に戻して魔導式貞操アナルプラグだけ装着した状態で、この部屋でだけで過ごしてもらうことになる。こちらとしてはそれでも構わないが……」
「その約束絶対守ります」
また全裸系主人公には戻りたくなかった。さらにこの場合全裸系だけでなく魔導式貞操アナルプラグ付き要素が付与されてしまい、変態要素のカンスト具合が酷くなる。
バイブレーション(inアナル)でのお知らせはすごい嫌だけど基本的には多少の自由がある訳だし、どう考えてもその約束を飲む方が僕にも良いに決まっている。
「では、部屋からの外出を許可しよう。そして、可愛いルーク。マクスおじたんは今日も少し仕事で王宮へ行ってくるが良い子にしているのだよ」
頭を優しく撫でながら、僕を慈しむ眼差しは本当に優しい叔父様に見えるけど、僕の処女を狙ったり、変なことや無機物に嫉妬したり、全裸で監禁したりしているという事実を決して忘れてはいけない。さらに魔導式貞操アナルプラグを装着されたという事実も。
「はい、もちろん」
しかし、それを悟られないようにだいぶ身についてきた対叔父様用のあざとい笑顔で叔父様を見送り、しばらくして僕は部屋から外へ出た。
全裸でない僕が廊下を歩いていても問題ない。そう、全裸でないから問題ない。全裸でないって素晴らしいね。
「あ、ルーク様、お供いたします」
いつの間にか選ばれた男クリスが僕の後を追いかけてきた。
「ありがとう。クリス、そうしたらこの建物の中を案内してほしいな」
「わかりました。えっと、どこか行かれたいところとかはございますか?」
「そうだな、図書室みたいな部屋ってあるかな?」
一応、この世界のことはルークの記憶と前世のBL本の記憶であるけれどそれ以外にも何か知るべきことがあるかもしれないので図書室へ行きたかった。全然、この世界のエッチな本とか薄い本みたいなのが隠されていないかなとか邪な感情は抱いていない。
(エルフのお姉さんが触手とあれこれするのと、綺麗なお姉さんにこう蔑まれるタイプのお話しとかそんなの探してません)
「ありますよ。ただ、ルーク様が見たいようなエッチな本はないですね」
「えっ!!僕なんか口走ってた?」
「いいえ。ただ、顔に書いてありました。それに図書室はあまりオススメできません」
「どうして?やっぱりエッチな本が……」
「うーん。まぁ直接目にされた方が明確に理由も分かりますね。あ、ただ入口には特殊な鍵が掛かっているのでこちらで開けさせていただきます」
そう言われて、クリスが禍々しい鍵を使い扉を開いた図書室は、驚くほど整然としており異常な雰囲気ではなかった。
(もっといきなり邪悪な魔導書とかが飛び出すかなと思ったのに……)
棚に陳列されている本も、この国の建国についてや、他国の情勢、領地運営等真面目な本ばかりで特に異常な魔導書やエッチな本はなかった。
(これのどこに見てはいけないものがあるのか……)
クリスの意図が分からずぼんやりと全体を見渡していた時、ふっと図書室の最奥に奇妙な一角があることに気付いた。パッと見は他とそこまで違和感がないのだけれど黒い背表紙に赤の印字がされた雰囲気がおどろおどろしい本ばかり並んでいるのだ。
(もしかして、叔父様は怪奇小説マニアとかなのかな……)
叔父様が猟奇趣味だと僕の今後に関わってくるので、もしそんなヤベェ趣味があるなら強制力があろうがなんだろうが、逃げないといけない。そう思ってその書棚から1冊手に取ってみた。
そして、それを手に取ったことを僕はものすごく後悔した。怪奇小説と思ったその本のタイトルが、「可愛いルークの成長記録 vol108」と書かれていたから……。
「なんだこれ!!!こわっ」
「あ、見つけましたか」
ニコニコといつの間にか近くにいたらしいクリスはまるで悪戯が見つかった子供みたいな楽し気な表情を浮かべていた。
「これのこと知ってたなら教えてよ、ナニコレ見るのが怖いんだけど」
「うーん。見ないことをお勧めしますよ。ルーク様の忘れたい黒歴含めて日々の微細な行動全て記録されてますし、それに……」
「それに?」
「この本、また増えてるなって。僕が最後に見た時は100巻くらいだったのに、ルーク様が来てから倍くらいに増殖していて、さらに内容が細かくなっているかもしれないと思うと、正直ルーク様がその内容に耐えられる保証がありません」
恐ろしい魔導書か何かなの。ほら、自身の正気度と魔力を生贄にして読むタイプので、読んだら即魔物の眷属とかになるやつ……まぁ僕は既に叔父様の眷属(血族かつ奴隷)なんですが。
怖いし見たら(精神が)死ぬ気はする。けれど気になって仕方がなかったので、適当に1ページだけめくってみた。そしてすぐにそれを後悔した。そこには僕のその日の全てと言っても過言ではない行動が事実のみで羅列されていた。
何が恐ろしいかというと例えば推しが尊いみたいなオタクっぽい語りみたいな、あくまで好きな部分や気になった部分の抽出が主観的に語られているならなんとなく耐えられた。
大体、叔父様の日々のことを考えればそんなものは許容範囲、いや許容したくないけども、僕をアイドルとか(例えばう〇こしないと思っているとか)みたいにみている妄執系ストーカー日誌ならそれについてやっぱりか、くらいですんだのに、そこにはただ、僕の生活が何の感想もなく、しかし目を通せば全てわかるくらい正確に記載されていたのだ。
それはもちろんその日の恥ずかしい失態もなんのオブラートに包むでもなく、きっちりしっかり客観的に記載されていた。そこから導き出せることは叔父様は別に僕に萌えとかそういう感情を抱いているというより、文字通り全てを知り尽くしたいと考えているということだ。
恋とか愛とかってある程度の幻想を相手に抱いていることが多い。むしろそれが大半で、そこから現実に近付くにつれてそれが冷めていき次第に平和な形をなしていくものだと思う。
叔父様も僕に対してそういう夢や幻想的な感情を抱いている部分があると考えていたが、それは甘い考えだったのだ。文字通り根こそぎ僕を好きなのだ、それこそおはようからおやすみまで、僕のする呼吸のひとつすら全てがただ大切だと思うほどに愛しているという事実。色々な重い愛の話を聞いたことがあるが、まさかその最上級ともいえるものが自身に向けられる日が来るなんて考えたこともなかった。
しかもその行動は廃嫡される前からずっと行われていた訳で、つまりずっと僕の全てを文字通り知り尽くしている訳で、今回僕は自身の愚かな行いで偶然叔父様の手中に堕ちたがそれがなくても、それは続けられたと考えるとそのあまりの熱量に気が遠くなりそうになり、思わずブルブルとセルフバイブレーションした時、クリスが声をかけた。
「ルーク様、ほかのお部屋に行きましょう。他に気になる部屋はありませんか?」
強制終了だったが、これ以上この「可愛いルークの成長記録シリーズ」を見る勇気は流石になかったその本を閉じて静かに本棚に戻した。そして最大限気分が落ち着いたような声で返事をした。
「少し気分を変えたいから、できれば絵とか調度品とか美術品が置いてある部屋はないかな?」
「なるほど、ではこちらへ」
まさかそれがさらなる地獄を呼ぶとも知らずに……
「えっ……」
まるで携帯電話で呼び出ししたら戻ってこいって言うタイプの嫉妬深い重めの恋人みたいなこといってるけど、どう考えても知らせる方法がおかしい。なんでバイブレーション(inアナル)で知らせようとしているのだろう。酷いマナーモードすぎる。
「嫌なのか?その場合、また全裸に戻して魔導式貞操アナルプラグだけ装着した状態で、この部屋でだけで過ごしてもらうことになる。こちらとしてはそれでも構わないが……」
「その約束絶対守ります」
また全裸系主人公には戻りたくなかった。さらにこの場合全裸系だけでなく魔導式貞操アナルプラグ付き要素が付与されてしまい、変態要素のカンスト具合が酷くなる。
バイブレーション(inアナル)でのお知らせはすごい嫌だけど基本的には多少の自由がある訳だし、どう考えてもその約束を飲む方が僕にも良いに決まっている。
「では、部屋からの外出を許可しよう。そして、可愛いルーク。マクスおじたんは今日も少し仕事で王宮へ行ってくるが良い子にしているのだよ」
頭を優しく撫でながら、僕を慈しむ眼差しは本当に優しい叔父様に見えるけど、僕の処女を狙ったり、変なことや無機物に嫉妬したり、全裸で監禁したりしているという事実を決して忘れてはいけない。さらに魔導式貞操アナルプラグを装着されたという事実も。
「はい、もちろん」
しかし、それを悟られないようにだいぶ身についてきた対叔父様用のあざとい笑顔で叔父様を見送り、しばらくして僕は部屋から外へ出た。
全裸でない僕が廊下を歩いていても問題ない。そう、全裸でないから問題ない。全裸でないって素晴らしいね。
「あ、ルーク様、お供いたします」
いつの間にか選ばれた男クリスが僕の後を追いかけてきた。
「ありがとう。クリス、そうしたらこの建物の中を案内してほしいな」
「わかりました。えっと、どこか行かれたいところとかはございますか?」
「そうだな、図書室みたいな部屋ってあるかな?」
一応、この世界のことはルークの記憶と前世のBL本の記憶であるけれどそれ以外にも何か知るべきことがあるかもしれないので図書室へ行きたかった。全然、この世界のエッチな本とか薄い本みたいなのが隠されていないかなとか邪な感情は抱いていない。
(エルフのお姉さんが触手とあれこれするのと、綺麗なお姉さんにこう蔑まれるタイプのお話しとかそんなの探してません)
「ありますよ。ただ、ルーク様が見たいようなエッチな本はないですね」
「えっ!!僕なんか口走ってた?」
「いいえ。ただ、顔に書いてありました。それに図書室はあまりオススメできません」
「どうして?やっぱりエッチな本が……」
「うーん。まぁ直接目にされた方が明確に理由も分かりますね。あ、ただ入口には特殊な鍵が掛かっているのでこちらで開けさせていただきます」
そう言われて、クリスが禍々しい鍵を使い扉を開いた図書室は、驚くほど整然としており異常な雰囲気ではなかった。
(もっといきなり邪悪な魔導書とかが飛び出すかなと思ったのに……)
棚に陳列されている本も、この国の建国についてや、他国の情勢、領地運営等真面目な本ばかりで特に異常な魔導書やエッチな本はなかった。
(これのどこに見てはいけないものがあるのか……)
クリスの意図が分からずぼんやりと全体を見渡していた時、ふっと図書室の最奥に奇妙な一角があることに気付いた。パッと見は他とそこまで違和感がないのだけれど黒い背表紙に赤の印字がされた雰囲気がおどろおどろしい本ばかり並んでいるのだ。
(もしかして、叔父様は怪奇小説マニアとかなのかな……)
叔父様が猟奇趣味だと僕の今後に関わってくるので、もしそんなヤベェ趣味があるなら強制力があろうがなんだろうが、逃げないといけない。そう思ってその書棚から1冊手に取ってみた。
そして、それを手に取ったことを僕はものすごく後悔した。怪奇小説と思ったその本のタイトルが、「可愛いルークの成長記録 vol108」と書かれていたから……。
「なんだこれ!!!こわっ」
「あ、見つけましたか」
ニコニコといつの間にか近くにいたらしいクリスはまるで悪戯が見つかった子供みたいな楽し気な表情を浮かべていた。
「これのこと知ってたなら教えてよ、ナニコレ見るのが怖いんだけど」
「うーん。見ないことをお勧めしますよ。ルーク様の忘れたい黒歴含めて日々の微細な行動全て記録されてますし、それに……」
「それに?」
「この本、また増えてるなって。僕が最後に見た時は100巻くらいだったのに、ルーク様が来てから倍くらいに増殖していて、さらに内容が細かくなっているかもしれないと思うと、正直ルーク様がその内容に耐えられる保証がありません」
恐ろしい魔導書か何かなの。ほら、自身の正気度と魔力を生贄にして読むタイプので、読んだら即魔物の眷属とかになるやつ……まぁ僕は既に叔父様の眷属(血族かつ奴隷)なんですが。
怖いし見たら(精神が)死ぬ気はする。けれど気になって仕方がなかったので、適当に1ページだけめくってみた。そしてすぐにそれを後悔した。そこには僕のその日の全てと言っても過言ではない行動が事実のみで羅列されていた。
何が恐ろしいかというと例えば推しが尊いみたいなオタクっぽい語りみたいな、あくまで好きな部分や気になった部分の抽出が主観的に語られているならなんとなく耐えられた。
大体、叔父様の日々のことを考えればそんなものは許容範囲、いや許容したくないけども、僕をアイドルとか(例えばう〇こしないと思っているとか)みたいにみている妄執系ストーカー日誌ならそれについてやっぱりか、くらいですんだのに、そこにはただ、僕の生活が何の感想もなく、しかし目を通せば全てわかるくらい正確に記載されていたのだ。
それはもちろんその日の恥ずかしい失態もなんのオブラートに包むでもなく、きっちりしっかり客観的に記載されていた。そこから導き出せることは叔父様は別に僕に萌えとかそういう感情を抱いているというより、文字通り全てを知り尽くしたいと考えているということだ。
恋とか愛とかってある程度の幻想を相手に抱いていることが多い。むしろそれが大半で、そこから現実に近付くにつれてそれが冷めていき次第に平和な形をなしていくものだと思う。
叔父様も僕に対してそういう夢や幻想的な感情を抱いている部分があると考えていたが、それは甘い考えだったのだ。文字通り根こそぎ僕を好きなのだ、それこそおはようからおやすみまで、僕のする呼吸のひとつすら全てがただ大切だと思うほどに愛しているという事実。色々な重い愛の話を聞いたことがあるが、まさかその最上級ともいえるものが自身に向けられる日が来るなんて考えたこともなかった。
しかもその行動は廃嫡される前からずっと行われていた訳で、つまりずっと僕の全てを文字通り知り尽くしている訳で、今回僕は自身の愚かな行いで偶然叔父様の手中に堕ちたがそれがなくても、それは続けられたと考えるとそのあまりの熱量に気が遠くなりそうになり、思わずブルブルとセルフバイブレーションした時、クリスが声をかけた。
「ルーク様、ほかのお部屋に行きましょう。他に気になる部屋はありませんか?」
強制終了だったが、これ以上この「可愛いルークの成長記録シリーズ」を見る勇気は流石になかったその本を閉じて静かに本棚に戻した。そして最大限気分が落ち着いたような声で返事をした。
「少し気分を変えたいから、できれば絵とか調度品とか美術品が置いてある部屋はないかな?」
「なるほど、ではこちらへ」
まさかそれがさらなる地獄を呼ぶとも知らずに……
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