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34:ナイアさんの秘密と新たなる復讐方法の提案
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「無事にあらかたの使用人をあの広い城から追い出せたな」
ほぼ全ての使用人に『恐怖の注入』が完了し、いよいよ王城に務めるものはわずかな者しか残っていない。
そのわずかな者は僕が選別して残した者。父と正妃が最も憎むべき復讐対象だが、そのふたりに追従し、僕に特にひどい行いをした連中をわざと残していた。
僕は覚えている。一部の騎士達は、剣の稽古と称して、生育が遅く、幼子のような非力な僕の体を蹴り飛ばしたり一方的な暴力を加えたことを。
それを母上が抗議しても、「剣術の稽古では生傷はつきものですから」等と言って改めることもなかったこと。母上が死んでからはいよいよ僕を真剣で切り大けがをさせようとして、ギリギリでレインに救われて事なきを得たことを。
さらに、現神官長は、レインと同じペドフィリアで実害のある男だった。
幼い体の僕に性的な悪戯を行った。流石にレインが僕を保護したおかげで犯されたりはしなかったが、今でもあの男が僕の首筋をいきなり舐めたり、嫌がる僕の服を脱がせて膝にのせたり、その手で僕の幼い性器や乳首を撫でまわした気持ち悪い記憶は消えはしない。
(僕が味わった苦しみをあいつらに返してやらないといけない)
真っ黒い笑みが浮かんだが、その瞬間、僕の体が元のサイズに戻ってしまった。おじい様のおかげで現在、絶賛監視されているレインはもちろん居ないが、ヨグ様は僕が頼んだ用事のためにまだ戻らないのでしばらくはまた復讐が止まる。
「番様、こちらを」
縮むと服が脱げてしまう僕に上質な布で出来た清潔な衣服を、ナイアさんがいつの間にか現れて着せてくれた。
「ありがとうございます」
「いえいえ。番様をお守りするのは私の勤めですから」
胡散臭い笑みを浮かべながらも全く無駄がない。完璧な従者である彼を見つめていて、世間話のつもりで振った内容を僕は後悔することになった。
「ナイアさんにも番の方がいると伺いましたが、ここから帰っているところを見たことがないのですが……」
その言葉に、ナイアさんの金色の瞳が怪しく光った気がした。そしてとても良い笑顔になる。
「番様、僕にはそれはもう大切で仕方がない番がおります。そんな彼女を私が放っておくわけありませんし、いつもいつでも一緒におります」
「……帰っているところを見たことがないのですが」
大事なことなので思わずもう一度言った。彼の口ぶりだとまるでその番を持ち歩いているとかそういう怖い想像をしていたからだ。しかし、彼はとても良い微笑みで信じられないことを言った。
「私はこの世界に千の貌を持っておりますので、私の本体はいつでも番の元におります、とても悲しい運命を炎のような魂で戦い抜いた美しい女神です。ちなみに今お腹にはふたりの子供も身ごもっておりますよ。ふふふ」
本体という言葉については深く考えてはいけない。ただ、彼の番は身ごもっているらしい。
「……そうですか。いつ頃、お子さんは生まれるのですか??」
「うーん、まだ先ですね。なんせ竜神の子ですからね。でも番様も楽しみにしてくださいね」
「??はい」
まるで、家族が増えますよとでもいうような笑みを浮かべているが、申し訳ないがナイアさんは確かにお世話になっている人?だけれどそこまで身内というつもりはない。ただ、彼が小声で「父親は違いますが、ご兄弟ですからね」と意味のわからない言葉を呟いた気がしたがあまり深く考えると正気度が減るのでやめておこう。
「それより、番様。今されている復讐について、私もお手伝いいたしますよ」
「……ありがとうございます、ただ……」
あくまで自身の復讐は自身の計画で進めたいと考えていたので、勝手なことはしないでほしいと言おうとした時、ナイアさんは首を左右にふる。
「大丈夫ですよ。皆まで言わなくても。私はちょっとした面白い能力があるので、それを番様のためにお貸しする提案をしたのです」
「……能力??」
「はい、ドリームラン〇、もとい夢の世界を少しばかり自由にできるのです」
ナイアさんの笑みにつられるように僕も笑う。
(なるほど、「夢」を自由にできるなら……)
ほぼ全ての使用人に『恐怖の注入』が完了し、いよいよ王城に務めるものはわずかな者しか残っていない。
そのわずかな者は僕が選別して残した者。父と正妃が最も憎むべき復讐対象だが、そのふたりに追従し、僕に特にひどい行いをした連中をわざと残していた。
僕は覚えている。一部の騎士達は、剣の稽古と称して、生育が遅く、幼子のような非力な僕の体を蹴り飛ばしたり一方的な暴力を加えたことを。
それを母上が抗議しても、「剣術の稽古では生傷はつきものですから」等と言って改めることもなかったこと。母上が死んでからはいよいよ僕を真剣で切り大けがをさせようとして、ギリギリでレインに救われて事なきを得たことを。
さらに、現神官長は、レインと同じペドフィリアで実害のある男だった。
幼い体の僕に性的な悪戯を行った。流石にレインが僕を保護したおかげで犯されたりはしなかったが、今でもあの男が僕の首筋をいきなり舐めたり、嫌がる僕の服を脱がせて膝にのせたり、その手で僕の幼い性器や乳首を撫でまわした気持ち悪い記憶は消えはしない。
(僕が味わった苦しみをあいつらに返してやらないといけない)
真っ黒い笑みが浮かんだが、その瞬間、僕の体が元のサイズに戻ってしまった。おじい様のおかげで現在、絶賛監視されているレインはもちろん居ないが、ヨグ様は僕が頼んだ用事のためにまだ戻らないのでしばらくはまた復讐が止まる。
「番様、こちらを」
縮むと服が脱げてしまう僕に上質な布で出来た清潔な衣服を、ナイアさんがいつの間にか現れて着せてくれた。
「ありがとうございます」
「いえいえ。番様をお守りするのは私の勤めですから」
胡散臭い笑みを浮かべながらも全く無駄がない。完璧な従者である彼を見つめていて、世間話のつもりで振った内容を僕は後悔することになった。
「ナイアさんにも番の方がいると伺いましたが、ここから帰っているところを見たことがないのですが……」
その言葉に、ナイアさんの金色の瞳が怪しく光った気がした。そしてとても良い笑顔になる。
「番様、僕にはそれはもう大切で仕方がない番がおります。そんな彼女を私が放っておくわけありませんし、いつもいつでも一緒におります」
「……帰っているところを見たことがないのですが」
大事なことなので思わずもう一度言った。彼の口ぶりだとまるでその番を持ち歩いているとかそういう怖い想像をしていたからだ。しかし、彼はとても良い微笑みで信じられないことを言った。
「私はこの世界に千の貌を持っておりますので、私の本体はいつでも番の元におります、とても悲しい運命を炎のような魂で戦い抜いた美しい女神です。ちなみに今お腹にはふたりの子供も身ごもっておりますよ。ふふふ」
本体という言葉については深く考えてはいけない。ただ、彼の番は身ごもっているらしい。
「……そうですか。いつ頃、お子さんは生まれるのですか??」
「うーん、まだ先ですね。なんせ竜神の子ですからね。でも番様も楽しみにしてくださいね」
「??はい」
まるで、家族が増えますよとでもいうような笑みを浮かべているが、申し訳ないがナイアさんは確かにお世話になっている人?だけれどそこまで身内というつもりはない。ただ、彼が小声で「父親は違いますが、ご兄弟ですからね」と意味のわからない言葉を呟いた気がしたがあまり深く考えると正気度が減るのでやめておこう。
「それより、番様。今されている復讐について、私もお手伝いいたしますよ」
「……ありがとうございます、ただ……」
あくまで自身の復讐は自身の計画で進めたいと考えていたので、勝手なことはしないでほしいと言おうとした時、ナイアさんは首を左右にふる。
「大丈夫ですよ。皆まで言わなくても。私はちょっとした面白い能力があるので、それを番様のためにお貸しする提案をしたのです」
「……能力??」
「はい、ドリームラン〇、もとい夢の世界を少しばかり自由にできるのです」
ナイアさんの笑みにつられるように僕も笑う。
(なるほど、「夢」を自由にできるなら……)
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