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ランバード伯爵領

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レオ様のお仕事がお休みの間に、領地へ行く事となった。

馬車の中から、領地の様子を伺う。

確かに肥沃な土地ではないためか、田畑は少ないようだが、その分、工房が多いようだ。
道行く人は笑顔が多く、生活も悪くないように見える。
また王都から近い事もあり、商人もよく見掛ける。

「レオ様、みなさん活気があって、明るいですね。」
そう言うと、

「そうだな。今は痩せた土壌でも育つ作物を試験的に育ててみたり、肥料を開発したりしてる。
織物だけでなく、染物も、新しい技術を取り込んだりね。
父は色々と試してみるのが好きなんだ。
それに、王都に構える商会の支店を誘致したりね。」

「お義父様は、精力的ですのね。」

「ああ。俺も領地については勉強してるが、まだまだ父も現役だから。
父が引退するまでは、近衛騎士を勤めながら、伯爵補佐をしていくつもりだよ。
その間は、俺たちは王都暮らしだ。」

「では、伯爵位を継いだら近衛騎士は…」

「その時は、辞めるつもりだ。
王都から近いとはいえ、二足のわらじは不器用な俺には、無理だから。
フィリップ殿下には申し訳ないが。」

「そうですか…。レオ様はそれでよろしいんですか?」

お義兄様の件がなければ、ずっと騎士を続けていく予定だっただろうレオ様にとって、伯爵を継ぐ事は不本意なのでは…そう気になって聞くと

「うーん。騎士の仕事は好きだし、遣り甲斐も感じてる。でも、俺にはこの領地も大切だよ。
兄の事がなければ、この気持ちには気付かなかったかもしれないが、俺は後悔してないよ。」

…レオ様はきちんと自分の役割をわかっていらっしゃる。そして、決意も固いのだとわかる。

「…私では、お役に立てるかわかりませんが、私もお義母様に伯爵夫人としての役割を教えていただいて、少しでもレオ様を支えられるように頑張りますね。」

私は、最初は成り行きでも、ランバード家に嫁いだんだ。
少しでも、レオ様の役に立ちたい。

「レベッカ…ありがとう。一緒にこの領地を支えてくれたら、嬉しいよ。」
そうレオ様は言って、私の隣に座った。
「レオ様?」

「隣に座っても構わないよね?」

「もちろんです。」

そう私が答えるとレオ様は私の手を握った。

「レベッカ…ちょっと聞いてほしい事があるんだ…」

「はい。なんでしょう?」

レオ様が口を開きかけたその時、馬車が停まった。
ランバード伯爵邸に着いたようだ。

「レオ様?お話は?」

「いや、別に急ぎじゃないんだ。また、今度話すよ。」

そう言うと、レオ様は馬車を降り、私をエスコートして降ろしてくれた。
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