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帰国⑷
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「じゃあ、先生。行ってきますね。」
仕事が休みの土曜日、真野が約束してきた通り佑輔さん達と原画展に行く羽目になった。普段の休みの日は、家で真野と2人、まったりしていたり、出かけたりしていたが、今日はそれができないことに、小さくため息をつく。だけど、真野が楽しそうにしているから、まあいいかと思う自分もいて我ながら現金だなとも思う。
原画展は入場料がかかるし、オレはそこまで興味がある訳ではないから、近くのカフェにで時間を潰すことにした。「それなら俺も」と佑輔さんが手をあげ、真野、テオ、リアムが原画展にオレと佑輔さんがカフェへと別れることになったのだ。
「真野くんと離れるからって、寂しそうな顔だね~」
「別に、寂しくありませんっ。ただ、せっかく真野のんびりしようと思ってたのに、潰されたなって思って」
「ははっ。まぁ、そう言うなよ。久しぶりにゆっくり、お前とも話したかったしさ」
確かに佑輔さんとゆっくり話すのは久しぶりで、5年前に帰国したときは、バタバタとして、パートナーになったとテオを紹介されただけだった。その前に帰国してたのはいつだったかな……
「でも、真野くんは本当いい子だよね~」
「……ん、まあ……そうだな……」
自分のことじゃなくても、何だか照れ臭くて尻すぼみに答える。そんな俺を見て、佑輔さんはニヤニヤと笑っている。
「もしかして、真野くんって、だいぶ昔気になってた生徒?」
そんなことをポロッという佑輔さんを凝視してしまう。肯定も否定もしなかったのに、この態度でバレたようで「あ、図星だ」と笑われる。真野のことは、在学中から気になっていたが、そんな話は誰にもしていなかったはずだ。泰輔にさえも……なのに……
「な……んで?」
「ほら~、いつだったかな……泰輔の結婚式より1、2年前かな?帰国した時にさ、大雅とか昔のメンツ呼んで飲んだだろ?そん時、そんな話してたでしょ」
昔の記憶を手繰り寄せる。確かに、佑輔さんが一時帰国した時、大雅さんとか、大学の頃知り合ったメンバーと久し振りに会って飲んだのは覚えている。あれは、6、7年前?それなら、真野が高校生の時とかぶる……でも、そんな話した覚えはない……
「あれ?覚えてない?大雅がさ、高校なら若くて可愛い子がいるだろとか、先生と生徒のシチュエーションなんて萌えるなんて、下世話な話してさ、周りもそれに乗っかって、お前は否定してたけど、気になってる子がいるだろうって大雅がどんどん妄想を膨らませて……」
あー、なんとなく思い出してきた……確かにそんな話になってたっけ……
でも、あれは酒の席でよくあるよな、ちょっとしたからかいネタなような感じで、誰も本気にしていなかった。それなのに……。佑輔さんは、昔から第6感的なカンが働く人だったけど……
「……佑輔さん……こわいです。あんなネタ的な話でよく、本当に気になってる子がいるってわかりますね。しかも、そんな昔のこと覚えてるって……」
「ははっ。なーんかねー、良いんだか悪いんだか、気づいちゃうんだよね~。でもなに?ずっと好きだったってこと?」
オレはもう、この話は引きたかったけど、佑輔さんは格好のネタを見つけたとばかりに、グイグイ話をしてきて、そんな佑輔さんを止められるわけもなく、真野とのことを掻い摘んで説明した。
仕事が休みの土曜日、真野が約束してきた通り佑輔さん達と原画展に行く羽目になった。普段の休みの日は、家で真野と2人、まったりしていたり、出かけたりしていたが、今日はそれができないことに、小さくため息をつく。だけど、真野が楽しそうにしているから、まあいいかと思う自分もいて我ながら現金だなとも思う。
原画展は入場料がかかるし、オレはそこまで興味がある訳ではないから、近くのカフェにで時間を潰すことにした。「それなら俺も」と佑輔さんが手をあげ、真野、テオ、リアムが原画展にオレと佑輔さんがカフェへと別れることになったのだ。
「真野くんと離れるからって、寂しそうな顔だね~」
「別に、寂しくありませんっ。ただ、せっかく真野のんびりしようと思ってたのに、潰されたなって思って」
「ははっ。まぁ、そう言うなよ。久しぶりにゆっくり、お前とも話したかったしさ」
確かに佑輔さんとゆっくり話すのは久しぶりで、5年前に帰国したときは、バタバタとして、パートナーになったとテオを紹介されただけだった。その前に帰国してたのはいつだったかな……
「でも、真野くんは本当いい子だよね~」
「……ん、まあ……そうだな……」
自分のことじゃなくても、何だか照れ臭くて尻すぼみに答える。そんな俺を見て、佑輔さんはニヤニヤと笑っている。
「もしかして、真野くんって、だいぶ昔気になってた生徒?」
そんなことをポロッという佑輔さんを凝視してしまう。肯定も否定もしなかったのに、この態度でバレたようで「あ、図星だ」と笑われる。真野のことは、在学中から気になっていたが、そんな話は誰にもしていなかったはずだ。泰輔にさえも……なのに……
「な……んで?」
「ほら~、いつだったかな……泰輔の結婚式より1、2年前かな?帰国した時にさ、大雅とか昔のメンツ呼んで飲んだだろ?そん時、そんな話してたでしょ」
昔の記憶を手繰り寄せる。確かに、佑輔さんが一時帰国した時、大雅さんとか、大学の頃知り合ったメンバーと久し振りに会って飲んだのは覚えている。あれは、6、7年前?それなら、真野が高校生の時とかぶる……でも、そんな話した覚えはない……
「あれ?覚えてない?大雅がさ、高校なら若くて可愛い子がいるだろとか、先生と生徒のシチュエーションなんて萌えるなんて、下世話な話してさ、周りもそれに乗っかって、お前は否定してたけど、気になってる子がいるだろうって大雅がどんどん妄想を膨らませて……」
あー、なんとなく思い出してきた……確かにそんな話になってたっけ……
でも、あれは酒の席でよくあるよな、ちょっとしたからかいネタなような感じで、誰も本気にしていなかった。それなのに……。佑輔さんは、昔から第6感的なカンが働く人だったけど……
「……佑輔さん……こわいです。あんなネタ的な話でよく、本当に気になってる子がいるってわかりますね。しかも、そんな昔のこと覚えてるって……」
「ははっ。なーんかねー、良いんだか悪いんだか、気づいちゃうんだよね~。でもなに?ずっと好きだったってこと?」
オレはもう、この話は引きたかったけど、佑輔さんは格好のネタを見つけたとばかりに、グイグイ話をしてきて、そんな佑輔さんを止められるわけもなく、真野とのことを掻い摘んで説明した。
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