【完結】総受け主人公のはずの推しに外堀を埋められた！？

やっぱり俺って優秀なのかもしれない⑴

言い方は大げさかもしれないけど、本当に俺は負けるわけにはいかないのだ。

「ベルデ様、私は貴方に恨みはありませんが…勝たせて頂きます。」

そこ言葉、そっくりそのままお返しする。
相手の人は従者の食堂で時折姿を見かける程度の知り合いだ。だから、遠慮はなしで行かせてもらう。
なんてったって、最推しの名誉が掛かっているのだから…俺が全力を尽くすのに、それ以上の理由はいらない！

「では、始め！」

教師の掛け声とともに護衛騎士同士の負けられない戦いの火蓋が切って落とされた。






先に動いたのは向こう。

木刀を構えたまま正面突破をしてくる。
もちろん避けてそのままガラ空きの脇腹を狙って、まずまずの速さで木刀を振り切る。もちろんそれだけで一本を取れるほど相手が弱い訳もなく…

ザッ

詰めていた距離を一気に離れ、一旦体勢を整えなおす。

「やはり、ベルデ様は聞いていた通り…いえ、それ以上の腕前で。このような場でも、ベルデ様とお手合わせ出来たことを嬉しく思います。」

緊張が張り詰めた空気の中、何かを悟ったような表情で相手の護衛騎士が放った言葉に引っ掛かりを覚える。多分勝つのは俺だけど、なんでもう出来ないみたいな言い方…いや、それ以前に同じ護衛騎士と言う立場なのにどうして様付け？

違和感を感じることは多いけど、模擬戦を長引かせる意味もないためこの一手で終わらせようと思う。



深呼吸をして肩の力を抜く。
前に出している左足で踏み込み、一気に詰める。懐に入って、相手が下ろしてきた木刀を払ってそのまま目の前に木刀を突きつける。







シ―――――ン