【完結】引きこもり陰キャの僕が美形に転生したら

とある日のディディエ⑵

「ディディエ様？」

「っ！ど、どうしたの？」

「いえ、ボーっとされていましたので…どうかされましたか？」

「ううん、何でもない。ただ、これだけの書物を吸収してきたエレクサリア家はなるべくして、皇家の右腕になったんだと思って…その三男がこんな僕で大丈夫なのかなって思って…」

なんて、セバスチャンの抱擁力ある雰囲気にほだされたのか弱音を吐いてしまう。

「ふふ、やはりディディエ様は聡明で、勤勉でいらっしゃる。無礼を承知で話しますが…そう考えられるほどの、優しい気持ちと聡明な頭脳をお持ちであれば、誰にも恥じることの無いご立派なエレクサリア家のご子息であると私めは思います。」

温かい、優しい声色で告げられる内容は僕の心を軽くするには十分で…

「ありがとう、セバスチャン。」

「とんでもございません。私は何もしておりませんよ。」

おじいちゃんが居たらこんな感じなのかな。優しく、すべてを包み込んでくれるみたいに懐が深い。

一層やる気が出て来た僕は、セバスチャンが選んでくれた本を皮切りに読書に没頭する。

歴史書から戦争時などの戦術、帝王学に至るまで色んなジャンルの本を読んでいった。
幸い、皆をお見送りするために早く起きたからか、お昼ご飯まで数時間残っていたため、時間はたっぷりあった。途中中断してセバスチャンやお世話をしてくれているメイドさん達と昼食を食べたり、庭師のところへ行って一緒にお花の世話をしたり、色んなことをして過ごした。