上 下
119 / 124

私の周りは⑷

しおりを挟む





「戦争か、長らくしていなかったな。余は隣国との戦争を歓迎するが?のう、クレマよ。」

「戦争…したところでこちらに損害はないでしょう。俺の息子を散々バカにした罪を、俺が直々にその身に刻んでやろう。」

本人そっちのけでどんどん話が進んでいく。

喜んでいる場合じゃない!

「ちょっ、ちょっと待ってください!」

思いのほか出た声は大きくて、私に視線が集まるのを感じる。

「あの、僕怒ってないので…戦争とかは。それに僕のことを弱いと思っているなら、気にしないからそれでいいかなって…要は、えーっとみんな落ち着いてほしい、デス。」

どうしたら落ち着いてくれるのか、私が話したところで皆が止まってくれるのか分からなくて、若干涙目になりながら言葉を繋ぐ。





シ――――――――――ン




またもや訪れた長い沈黙。


ガバァッ

その沈黙を破って私に厚い抱擁をかましたのは

「ナオ!俺の息子はなんて可愛いんだ。俺はやっぱり神に愛されているのかもしれない。」

「クレマさっ、苦しっ」

「あぁ、可愛いだけじゃなくてなんて優しいんだ。」

かつてないほどに親バカが爆発しているのはどうしてだろう。もはや止める人もおらず、さっきまで傍観していた皇后様もじりじりとこちらへ近づいてこられている。

騎士団の皆は涙を流して私とクレマさんの抱擁を温かめで見守ってくれている。

あの~みなさん隣国の方々を忘れていますけど…

「ナオ!あんなに貶されてもナオのキレイな心は汚されることなく、真っ直ぐなままなんだね。」

いつも間にやら近くに来ていたジルが私の頭を撫でながら眩しそうに目を細める。

「おい、クソガキ。その手をどけろ。ナオが穢れる。」

「嫌ですね。それだと俺が穢れているみたいじゃないですか。」

「だからそう言っているだろう。」

私を挟んで喧嘩を始める2人に呆れた様子で見ている陛下。見てるだけじゃなくて止めて下さい!





しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【R18】男装騎士は敵国の騎士団長に捕まってしまったようです。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:284pt お気に入り:2,467

姉弟遊戯

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:167

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:99pt お気に入り:1,048

きっと世界は美しい

BL / 完結 24h.ポイント:4,636pt お気に入り:131

私は、御曹司の忘れ物お届け係でございます。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:1,781

趣味を極めて自由に生きろ! ただし、神々は愛し子に異世界改革をお望みです

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:43,957pt お気に入り:12,081

いつか愛してると言える日まで

BL / 連載中 24h.ポイント:127pt お気に入り:416

処理中です...