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昨日ぶりですね、私の幻覚…じゃないねぇ⑷
しおりを挟む「では、ロマン=リコール前へ。」
ジルは普段守られる立場の人間だ。でも、剣や体術、魔法を訓練しているのは知っている。恐らくこの二クラスの中で一番手練れな方だと思ってる。
対するロマンさんは副団長ってこともあって事務仕事が多いため、他の団員達ほど身体を動かしているとこをは見たことがない。どっちかというと魔法が得意なイメージ。
まぁ、でも弱かったら副団長になんてなれないだろうし、強いんだろうけど。
「始め!」
先ほどのバルたちの試合とは打って変わって、始まりの合図があったにもかかわらず、両者ともに動かず。ジルは相手の出方を伺っているのだろう。対するロマンさんは構えてないのにどこにも隙が無い、ただただそこに立っているだけ。慣れてない人なら間違えてツッコんでいきそうな感じ。
「待っているだけではつまらないですしね、私から行かせてもらいますね。」
その言葉を区切りにロマンさんは一気に距離を詰める。そのスピードは手加減してるのかと疑うほど。ジルは目の前に来るまで気づいてなかったし。
首の付け根を狙って手拳を落とす。
「ッ!」
間一髪のところでそれを避けたジルは距離を取って体勢を整える。が、それは手練れ相手には効かない作戦だ。
距離を取るどころか体勢を崩れたままのジルに一瞬の隙も見せずに詰めるロマンさん。あのキレイな顔が無表情で追いかけて来たらホラーだろうなぁ。
そう、忘れられてるかもしれないがロマンさんは美青年顔なのだ。キレイって言葉はこの人の為にあるのかと思うほどに。性格がかなり残念だから良い塩梅だと思う。プラマイゼロ的な。
「クッ!!」
崩れた体勢でなんとかロマンさんの攻撃について行くジル。そろそろ限界そうだけど、粘るねぇ。皇族たる所以だろうか。
「私正直もっと嘗めてました。だからと言って、マイエンジェルを独り占めしているあなたのことは許せませんがその実力は認めましょう。……ですが、ですが!マイエンジェルに護衛をしてもらっているとは!!なんと羨ましい!!あぁ、マイエンジェルの前でみっともない姿は見せられません故、ここまでとしましょうか。」
ロマンさんが発狂しているがいつものことなので誰も止めない。もちろんいきなりのことで吃驚しているクラスメイト達は置いておくことにする。
話している内容はこちらまで聞こえないが大体分かってしまう自分が怖い。
1人で騒いだと思ったら、次の瞬間にはロマンさんの手拳がジルの喉ぼとけに添えられていた。
「そこまで!」
言いたいことを言って満足したのかロマンさんはそそくさとその場から立ち去る。もちろん私に手を振ることを忘れずに。
「ふぅ、やっぱり騎士団はすごいね。」
緊張感があったのだろう、変に汗をかいたジルが爽やかさを振りまきながら戻ってくる。
「お疲れ様。良い手合わせだったよ!」
「ナオにそう言ってもらえると嬉しいよ。」
「あ、あの…わたしは…」
「もちろんバルも!二人ともさすがとしか言いようがないもん。」
これは本心だ。騎士団の皆が手加減していたとはいえ、勉強にもなる良い組手だった。
「次、ナンクル・ナイサー前へ。」
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