【完結】腐女子の私が美少年⁉

茶番はほどほどに⑴

シーン

クレマさんのひと際鋭い声が響いた。それが鶴の一声のように訓練場全体が静まり返る。
私もあんなに怖い声色のクレマさんは初めてだよ。

その声を一身に受けたなんくるないさー君はドヤ顔で前に出る。何もしてないのにすでにドヤッてるのは何故だろうか。ってか、国の騎士団長がキレてるんだけど怖くないのかね？肝が据わってるのか、単純にアホなのか、こいつ何かあったら一番に死ぬタイプだろうなと他人事の様に考える。まぁ実際他人事なんだけど。

「ナオ、おいで。」

そして、先ほどの声色なんて微塵も感じさせない甘い重低音ヴォイスが響く。

こ、これはッ！18禁ヴォイス…耳が孕むほどに色気が爆発してるけど、他の人大丈夫か？と周りを見渡すと、ほとんどの女子生徒が恍惚とした表情で意識が飛んでる。幸せそうで何より。
そして私はと言うと……

「クレマさん！」

色気全開でこちらに手を広げてスタンバイしているクレマさんの雄っぱいに飛び込む。

「なんで言ってくれなかったの？学園の講師をするってこと。」

「驚かせたくてな。それにナオの驚く顔が見たかった。」

したり顔で嬉しそうにそう言われたら何も言い返せないじゃんね。

「もう！次からは教えてね？僕だけ知らなかったのは寂しいし…」

「すまない、必ず伝える。決して仲間外れにしたくて言ってなかった訳ではないから。」

ブスッとした私の様子にオロオロし始めるクレマさんをはじめとする騎士団の面々。本当はそこまで怒ってないけど、教えてほしかったんだもん。

「どうしたら機嫌をなおしてくれるだろうか。」

「そんなの、もちろん！ギューってしてくれたら治りますねぇ。」

「フッ、お安い御用だ。」

いつものごとく、場所を考えずにクレマさんとイチャイチャしていると騎士団の皆からブーイングが飛ぶ。

「団長だけズルいですよ！」

「そうだそうだ！ナオちゃんは俺たちみんなのナオちゃんですから。」

「マイエンジェル！怒った顔も可愛い!天使！」

1人変な人いるけど気にしない。

「この国の騎士団長たるあなたが仕事の場でこのようなことをしても良いとお思いで？」

ジルからの鋭い言葉が刺さる。そうだ、クレマさんは今仕事中なんだ。私学園で会えると思ってなくて嬉しくてつい…

「クレマさんごめんなさい…僕クレマさんとか皆に会えて嬉しくて場所思考えずにこんなこと…」

「ッ！ナオ、いいんだ。ナオが悪い訳じゃない。俺もナオに会えたことが嬉しくて場所なんか吹っ飛んでしまったぐらいだ。気にすることはない。」

私に回していたクレマさんの腕に力が入る。






ここでお気づきの人もいるだろうか。







「この俺を…俺の存在を無視するなんて何たる無礼！！！」





そう彼の存在を。