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お手合わせはお手柔らかに⑶
しおりを挟む「さすが俺のナオ。」
艶のある重低音ヴォイスが耳元で聞こえたと思ったら、そのままフワッと身体が浮く。
「ジーリオ、ナオを嘗めるからだ。そうでなければ、まだ勝機があったものを。」
片手で私のことを抱き上げてそれだけ言うとスタスタと訓練場を出て行ってしまうクレマさん。
「あっ!ナオちゃんんんん!久しぶりに会えたのにぃぃぃ!!私のナオちゃんがあぁぁぁぁ…」
悲惨な叫び声が聞こえるが聞こえないふりをする。クレマさんには何も聞こえてないように見えるのは私だけ?聞きたくないものは聞こえないようにできてるとか…
「ナオ、わざわざ迎えに来てくれたのか?」
私の重みなんて感じないかのように、私を片手で抱き上げたまま普通に話し始めるクレマさん。
「うん!一緒に帰りたいと思って…僕の体術どうだった?」
「そうか、俺もナオと一緒にいたいから嬉しい。」
クレマさんはそこまで話すと一息ついてから…
「…そうだな、大分よくなったと思う。今日のジーリオはナオ自身を嘗めてたわけじゃないだろう、それで勝ったんだ。自信を持ってもいいと思うぞ。ただ、自分の実力を過信しないようにしてほしい。いつでも自分より上がいると思うこと。」
「うん、分かった。」
自分より強い人はいくらでもいる。そう思うことで精進することをやめないからもっと強くなれるってことかな…私より強い人なんていくらでもいるのは事実だと思うけど。
「さ、今はそんな話置いておいて楽しい話をしよう。俺は学園での事聞きたい。」
折角親子水入らずの時間なんだし、楽しい話した方が良いって私も思うけど、学園での話で楽しい話なんてあるのかな?
「学園での、楽しい話…?あ、今日ね、先生のステータス覗いちゃって、担任の先生が執拗なまでにみんなから好かれてるのは呪いだったみたいなんだよ。」
「…呪い?」
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