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第61話:魔族の目的
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☆間宮 零人sides☆
『海竜』の救出と『悪魔竜』ガイアの撃退に成功した俺たちは、マルクスさん達と合流してグロック村に戻った
マルクスさんが村長に作戦が成功した事を伝えると、ありがとうありがとうと何度も頭を下げてきた
そして現在、村の人総出で俺たちを労うパーティーを村の酒場で開いてくれている
「そんじゃあ、団長!
いっちょ、よろしく頼みます!」
「ああ。オホン!」
今回の共同作戦を成功に導いたマルクスさんが咳払いをしつつ、みんなの前へ立った
全員の手にはたっぷり酒が注がれたジョッキが握られている
いわゆる乾杯待ちだ
「みんな、今日はご苦労だった。
今回、我々ヴァイパーのみでは手が余る案件のため、冒険ギルドからクエストという形で冒険者諸君に応援に来てもらったが…
我ながら英断だったと心から思う」
「「へへっ!」」
ヴァイパーの団員と冒険者が拳をぶつけている
死線をくぐり抜けるとたがいに固い絆が芽生えるのだろう
「ここにいる全員が生きて戻って来られたことを皆で祝おうではないか!
新たなる出会いと今日の勝利に!乾杯!!」
「「「カンパーイ!!!」」」
カァン!と軽快な音を近くのヴァイパーと鳴らし、ジョッキをゴクゴクと飲み干した
ああああっ!カラカラの喉に染み渡るぜ!!
「ははは、良い飲みっぷりだなレイトさん」
「アハハ、マルクスさんも…ってあれ?
それお茶ですか?」
「ああ。恥ずかしながら、俺は下戸でね。
酒の類はてんでダメなんだ」
「へぇ~、意外ですね」
よく言われるよと、頭を掻きながら苦笑いで答えた
酒が飲めない人なんて別に珍しくないし、恥ずかしいことじゃないと思うけど…
さらにもう一口飲むと、マルクスさんの表情が変わった
「それよりも聞かせてくれないか。
あのドラゴン…魔族なんだろう?
君たちのパーティーは他とは違い、いくらか奴に関する情報を持っているようだが…」
「ああ、それは…」
「それは我輩が説明しよう」
「おっさん!?」
いきなり横から人間形態のオズおじさんが現れた!
ご丁寧にグラスまで持って…
あの時…凄まじい魔法をぶっぱなしたおっさんは、魔力の消費が激しかったようでしばらく寝ていた
でも、どうやら復活したようだ
「オズベルクさん。
話はフレデリカさん達から軽く伺っている。
なんでも『理の国』で戦闘訓練の教官を勤めているとか…」
「フッ、その教官があの体たらくでは、到底示しがつかないと思うがな」
「良く言うぜ。
ドラゴン2体も相手してんのに、こうやってピンピンしてんじゃねぇか」
自嘲気味なおっさんに半分皮肉を込めて言ってやると、ポンと俺の頭に手を置いた
な、なに!?
「成長したなレイト。
しばらく見ない間に力が付いたことを感じるぞ」
「ええっ!?ルカも同じこと言ってたけど…
あんまそういう実感ないな。
…ていうかいつまで手乗っけてんだ!」
パシッと乗せられた手を払う
子供扱いされてるみたいで恥ずかしいんだよ!
「はは、良い師匠じゃないかレイトさん。
だが俺も、結果的にはオズベルクさんが決めてしまったが、今回の主役は貴方だと思う」
「ちょちょ、なんすかマルクスさんまで…
あ、そういえばウチのセリーヌを助けてもらったようで…アリガトゴザイマス」
「…おや、無理やり話題を変えたな。
褒められるのには慣れていないのか?」
カラカラと笑っているマルクスさんは上機嫌だ
…酒飲んでないよな?
「ああもう!俺のことより魔族でしょ!
おっさん早く説明してよ!」
「そうだったな。
まず、我らがこの国へやってきた理由だが…」
☆☆☆
「ねぇルカ、そのお肉私にもちょうだい」
「ああ。ほら」
「ありがと。
…ところでなんであなた人間になってるの?」
「最近気づいたのだが、この形態の方が食べ物の味がより繊細に感じられるのだ。
それに、この面子に限ってだが今回の活躍で、人族に対する扱いが多少良好になったからな」
おっさんが説明している間、ルカとフレイもこっちにやって来た
どうやらルカが男3人で談笑しているのが気になったらしい
彼女も喋っていないと落ち着かないようだ
「ゴクッゴクッ…ぷはぁ!
まだまだいけるニャア!」
「「おお~!」」
「すげぇ!もうひと樽開けちまったぞ!?」
「むむ…元冒険者として私も負けてられん!
セリーヌ殿、勝負してもらおうか!」
「ニャハハ!かかって来いニャ!」
「おうお前ら!
どっちが先に潰れるか賭けようぜ!」
セリーヌとナディアさんは冒険者とヴァイパーを巻き込んで飲み比べをしている
ナディアさんはともかく、セリーヌはあの見た目で酒豪だからな
良い勝負になりそうだ
「…とまあこんな感じで、ここの露店で売ってるアクセサリーをプレゼントするといいよ!
はい、次の人~!」
しかし、モネだけは1人違う行動をしていた
アイツ、こんな所でも占いで金を稼いでいる
こんな時ぐらい普通に飲んで楽しんだら良いのに…と思って注意したら、「誰かさんが勝手にボクの仮面使っちゃったからなー」と真顔で返された
…はい、それに関しては俺が悪うございましたよ…
偉そうに上から目線でゴメンなさい
「……なるほど。
『紅の魔王』の復活を確かめに…」
「そうだ。我輩だけ先行して情報を集めたのち合流するつもりだったが、まさかこの国で『宴』が開催されるとは思いもよらなんだ」
マルクスさんに大体の事情を伝え終えたようだ
ついでに俺もマルクスさんに例の写真を見せてみたけど、残念ながら知らないようだ
どうやら『ヴァイパーの爪』もこの村の依頼で最近入国したらしい
それなら知らなくても当然か
「『宴』ってフレイから軽く聞いたけど要は『魔物一武闘会』なんだよね?」
「〝武闘会〟などという気品のあるものではないがな。
血で血を洗う、おぞましい風習だ。
弱者が強者に蹂躙される光景が当たり前、正真正銘の〝殺し合い〟だ」
「「「…………」」」
異種族デスマッチってか…
ゴクリと誰かの喉が鳴った
おっさんは声を低くして重厚な雰囲気のまま言葉を続ける
「我輩は今日までこの村に近づく魔物を追い払っていたが、魔族のドラゴンが襲ってきた以上、『魔族の国』が作為的に『宴』を起こそうとしているのは想像にかたくない」
「な、なんてことだ…
もしここで『宴』が起きてしまったら…!」
「ああ。貴殿の傭兵団どころか、この小さな村ごと一瞬で滅びるだろう」
「やっぱりおっさんはずっと守ってたんだね…」
マルクスさんの顔が若干青い
もし何かの歯車がズレれば、大切な仲間を失っていたかもしれない
おそらくそう考えたんだろう
「そもそもなんでここで宴を起こそうとしたのかしら?
もし人間を滅ぼすためなら普通王都とか、もっと人気のある所で起こすんじゃない?
モグモグ…」
フレイがお肉を頬張りながら疑問を口にした
…微妙に緊張感が薄れてきたな
つかあいつ食ってるの美味そ
「これは我輩の推測だが、おそらく奴らはここに前哨拠点を設置する腹だったのではないかと思うのだ」
「拠点?
ここには魔族はあいつしか居なかったけど…
1人で作れるもんなの?」
「…なるほど。そういう事か。モグモグ…」
同じく肉を頬張っているルカは納得したように頷いた
だからお前は理解すんの早いって!
「レイト。
我輩がここに来る際のルートは覚えているか?」
「え?ええと…
たしか水路を通るって言わなかったっけ?
海竜は泳ぐの得意だから…」
「そうだ。
この村の近くに川があるのは見ただろう?
あの川は辿っていくと海に繋がっていてな。
おそらく、敵は宴でこの村を潰したのち、我輩のような水に長けた魔族を上陸させて拠点を作るつもりだったはずだ」
「!!」
な、なるほど!
それなら短時間で基地くらい作れそうだ
だけど肝心の目的は…
「まさか…『魔族の国』の連中は王都ノルンを落とすつもりか!?」
マルクスさんがハッとおっさんに訊くと、頷いた
そんな…1歩間違えたら魔族どもがウジャウジャやって来てたのか
「そっか…
ここは王都から近い村だもんな」
「それに加え奴らは何者かを捜索していた。
おそらくその人物を王都で探す意味もある。
結局、それが誰かは分からずじまいだったが…」
オットー町でも魔族たちは探していた
町や村などは少数で事足りるけど、王都くらいの規模となると総出であたる必要があるわけだな
「ゴクン。ふう…
みんな、少し私の推理を聞いてくれないか?」
「どうしたルカ?」
お肉を食べ終わったルカが改めて皆の視線を集めた
さっきから食ってばっかだな…
「まず、ダアトの『千里眼』で見せてもらった2人の騎士についてだが…
少なくとも魔王ではないはずだ」
「「!!」」
なんだと!?
おっさんは紅の甲冑の方はかつて魔王も着用していたって言ってたのに…
しかしルカの顔はほぼ確信めいている
「なんで魔王じゃないって分かるのよ?」
「簡単だ。
先のガイアとやらが教えてくれたではないか。
あの時奴はこう言った。
『我が主の復活の邪魔はさせん』と」
「「ああっ!」」
俺とフレイは同時に叫んだ
そうだ!たしかに言ってたわ!
よくそんな1字1句覚えてたなコイツ…
「さっきレイトさんに見せてもらった〝写真〟…だったか?
もしそれが魔王だとすれば、たしかに奴のセリフとは辻褄が合わないな」
「なるほど…
ひとまずは安心といったところか。
まったく、我輩も年季が回ったものだ」
マルクスさんとおっさんは胸を撫で下ろして、ジョッキに口をつけた
釣られて俺もグイッと飲んでしまった
「ね、ねえ、それならもしかしてアイツらが探している人物っていうのは…!」
フレイが恐る恐るルカに訊いた
そうなると思い当たるのは1つしかない
ルカはコクンと頷き、答える
「ああ。
魔族どもが探している人物は〝紅と黒の騎士〟で間違いない」
『海竜』の救出と『悪魔竜』ガイアの撃退に成功した俺たちは、マルクスさん達と合流してグロック村に戻った
マルクスさんが村長に作戦が成功した事を伝えると、ありがとうありがとうと何度も頭を下げてきた
そして現在、村の人総出で俺たちを労うパーティーを村の酒場で開いてくれている
「そんじゃあ、団長!
いっちょ、よろしく頼みます!」
「ああ。オホン!」
今回の共同作戦を成功に導いたマルクスさんが咳払いをしつつ、みんなの前へ立った
全員の手にはたっぷり酒が注がれたジョッキが握られている
いわゆる乾杯待ちだ
「みんな、今日はご苦労だった。
今回、我々ヴァイパーのみでは手が余る案件のため、冒険ギルドからクエストという形で冒険者諸君に応援に来てもらったが…
我ながら英断だったと心から思う」
「「へへっ!」」
ヴァイパーの団員と冒険者が拳をぶつけている
死線をくぐり抜けるとたがいに固い絆が芽生えるのだろう
「ここにいる全員が生きて戻って来られたことを皆で祝おうではないか!
新たなる出会いと今日の勝利に!乾杯!!」
「「「カンパーイ!!!」」」
カァン!と軽快な音を近くのヴァイパーと鳴らし、ジョッキをゴクゴクと飲み干した
ああああっ!カラカラの喉に染み渡るぜ!!
「ははは、良い飲みっぷりだなレイトさん」
「アハハ、マルクスさんも…ってあれ?
それお茶ですか?」
「ああ。恥ずかしながら、俺は下戸でね。
酒の類はてんでダメなんだ」
「へぇ~、意外ですね」
よく言われるよと、頭を掻きながら苦笑いで答えた
酒が飲めない人なんて別に珍しくないし、恥ずかしいことじゃないと思うけど…
さらにもう一口飲むと、マルクスさんの表情が変わった
「それよりも聞かせてくれないか。
あのドラゴン…魔族なんだろう?
君たちのパーティーは他とは違い、いくらか奴に関する情報を持っているようだが…」
「ああ、それは…」
「それは我輩が説明しよう」
「おっさん!?」
いきなり横から人間形態のオズおじさんが現れた!
ご丁寧にグラスまで持って…
あの時…凄まじい魔法をぶっぱなしたおっさんは、魔力の消費が激しかったようでしばらく寝ていた
でも、どうやら復活したようだ
「オズベルクさん。
話はフレデリカさん達から軽く伺っている。
なんでも『理の国』で戦闘訓練の教官を勤めているとか…」
「フッ、その教官があの体たらくでは、到底示しがつかないと思うがな」
「良く言うぜ。
ドラゴン2体も相手してんのに、こうやってピンピンしてんじゃねぇか」
自嘲気味なおっさんに半分皮肉を込めて言ってやると、ポンと俺の頭に手を置いた
な、なに!?
「成長したなレイト。
しばらく見ない間に力が付いたことを感じるぞ」
「ええっ!?ルカも同じこと言ってたけど…
あんまそういう実感ないな。
…ていうかいつまで手乗っけてんだ!」
パシッと乗せられた手を払う
子供扱いされてるみたいで恥ずかしいんだよ!
「はは、良い師匠じゃないかレイトさん。
だが俺も、結果的にはオズベルクさんが決めてしまったが、今回の主役は貴方だと思う」
「ちょちょ、なんすかマルクスさんまで…
あ、そういえばウチのセリーヌを助けてもらったようで…アリガトゴザイマス」
「…おや、無理やり話題を変えたな。
褒められるのには慣れていないのか?」
カラカラと笑っているマルクスさんは上機嫌だ
…酒飲んでないよな?
「ああもう!俺のことより魔族でしょ!
おっさん早く説明してよ!」
「そうだったな。
まず、我らがこの国へやってきた理由だが…」
☆☆☆
「ねぇルカ、そのお肉私にもちょうだい」
「ああ。ほら」
「ありがと。
…ところでなんであなた人間になってるの?」
「最近気づいたのだが、この形態の方が食べ物の味がより繊細に感じられるのだ。
それに、この面子に限ってだが今回の活躍で、人族に対する扱いが多少良好になったからな」
おっさんが説明している間、ルカとフレイもこっちにやって来た
どうやらルカが男3人で談笑しているのが気になったらしい
彼女も喋っていないと落ち着かないようだ
「ゴクッゴクッ…ぷはぁ!
まだまだいけるニャア!」
「「おお~!」」
「すげぇ!もうひと樽開けちまったぞ!?」
「むむ…元冒険者として私も負けてられん!
セリーヌ殿、勝負してもらおうか!」
「ニャハハ!かかって来いニャ!」
「おうお前ら!
どっちが先に潰れるか賭けようぜ!」
セリーヌとナディアさんは冒険者とヴァイパーを巻き込んで飲み比べをしている
ナディアさんはともかく、セリーヌはあの見た目で酒豪だからな
良い勝負になりそうだ
「…とまあこんな感じで、ここの露店で売ってるアクセサリーをプレゼントするといいよ!
はい、次の人~!」
しかし、モネだけは1人違う行動をしていた
アイツ、こんな所でも占いで金を稼いでいる
こんな時ぐらい普通に飲んで楽しんだら良いのに…と思って注意したら、「誰かさんが勝手にボクの仮面使っちゃったからなー」と真顔で返された
…はい、それに関しては俺が悪うございましたよ…
偉そうに上から目線でゴメンなさい
「……なるほど。
『紅の魔王』の復活を確かめに…」
「そうだ。我輩だけ先行して情報を集めたのち合流するつもりだったが、まさかこの国で『宴』が開催されるとは思いもよらなんだ」
マルクスさんに大体の事情を伝え終えたようだ
ついでに俺もマルクスさんに例の写真を見せてみたけど、残念ながら知らないようだ
どうやら『ヴァイパーの爪』もこの村の依頼で最近入国したらしい
それなら知らなくても当然か
「『宴』ってフレイから軽く聞いたけど要は『魔物一武闘会』なんだよね?」
「〝武闘会〟などという気品のあるものではないがな。
血で血を洗う、おぞましい風習だ。
弱者が強者に蹂躙される光景が当たり前、正真正銘の〝殺し合い〟だ」
「「「…………」」」
異種族デスマッチってか…
ゴクリと誰かの喉が鳴った
おっさんは声を低くして重厚な雰囲気のまま言葉を続ける
「我輩は今日までこの村に近づく魔物を追い払っていたが、魔族のドラゴンが襲ってきた以上、『魔族の国』が作為的に『宴』を起こそうとしているのは想像にかたくない」
「な、なんてことだ…
もしここで『宴』が起きてしまったら…!」
「ああ。貴殿の傭兵団どころか、この小さな村ごと一瞬で滅びるだろう」
「やっぱりおっさんはずっと守ってたんだね…」
マルクスさんの顔が若干青い
もし何かの歯車がズレれば、大切な仲間を失っていたかもしれない
おそらくそう考えたんだろう
「そもそもなんでここで宴を起こそうとしたのかしら?
もし人間を滅ぼすためなら普通王都とか、もっと人気のある所で起こすんじゃない?
モグモグ…」
フレイがお肉を頬張りながら疑問を口にした
…微妙に緊張感が薄れてきたな
つかあいつ食ってるの美味そ
「これは我輩の推測だが、おそらく奴らはここに前哨拠点を設置する腹だったのではないかと思うのだ」
「拠点?
ここには魔族はあいつしか居なかったけど…
1人で作れるもんなの?」
「…なるほど。そういう事か。モグモグ…」
同じく肉を頬張っているルカは納得したように頷いた
だからお前は理解すんの早いって!
「レイト。
我輩がここに来る際のルートは覚えているか?」
「え?ええと…
たしか水路を通るって言わなかったっけ?
海竜は泳ぐの得意だから…」
「そうだ。
この村の近くに川があるのは見ただろう?
あの川は辿っていくと海に繋がっていてな。
おそらく、敵は宴でこの村を潰したのち、我輩のような水に長けた魔族を上陸させて拠点を作るつもりだったはずだ」
「!!」
な、なるほど!
それなら短時間で基地くらい作れそうだ
だけど肝心の目的は…
「まさか…『魔族の国』の連中は王都ノルンを落とすつもりか!?」
マルクスさんがハッとおっさんに訊くと、頷いた
そんな…1歩間違えたら魔族どもがウジャウジャやって来てたのか
「そっか…
ここは王都から近い村だもんな」
「それに加え奴らは何者かを捜索していた。
おそらくその人物を王都で探す意味もある。
結局、それが誰かは分からずじまいだったが…」
オットー町でも魔族たちは探していた
町や村などは少数で事足りるけど、王都くらいの規模となると総出であたる必要があるわけだな
「ゴクン。ふう…
みんな、少し私の推理を聞いてくれないか?」
「どうしたルカ?」
お肉を食べ終わったルカが改めて皆の視線を集めた
さっきから食ってばっかだな…
「まず、ダアトの『千里眼』で見せてもらった2人の騎士についてだが…
少なくとも魔王ではないはずだ」
「「!!」」
なんだと!?
おっさんは紅の甲冑の方はかつて魔王も着用していたって言ってたのに…
しかしルカの顔はほぼ確信めいている
「なんで魔王じゃないって分かるのよ?」
「簡単だ。
先のガイアとやらが教えてくれたではないか。
あの時奴はこう言った。
『我が主の復活の邪魔はさせん』と」
「「ああっ!」」
俺とフレイは同時に叫んだ
そうだ!たしかに言ってたわ!
よくそんな1字1句覚えてたなコイツ…
「さっきレイトさんに見せてもらった〝写真〟…だったか?
もしそれが魔王だとすれば、たしかに奴のセリフとは辻褄が合わないな」
「なるほど…
ひとまずは安心といったところか。
まったく、我輩も年季が回ったものだ」
マルクスさんとおっさんは胸を撫で下ろして、ジョッキに口をつけた
釣られて俺もグイッと飲んでしまった
「ね、ねえ、それならもしかしてアイツらが探している人物っていうのは…!」
フレイが恐る恐るルカに訊いた
そうなると思い当たるのは1つしかない
ルカはコクンと頷き、答える
「ああ。
魔族どもが探している人物は〝紅と黒の騎士〟で間違いない」
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