上 下
55 / 56

55話

しおりを挟む
見渡す限り真っ白な空間に飛ばされたボクを待ち受けていたのは白いヒゲをした神様だった。

「おめでとう、三上ハヤトくん」

「あ、ありがとうございます」

とっさに返事をしたものの何か違和感を感じる。

なんだろ、どこかで見た事あるような気がする。でも一体どこで見たんだろう。

「君のおかげで女神アテナは甦る事が出来た。君には青の錬金術師の称号を与えよう」

「あ、ありがとうございます」

違和感の正体がわかった。この人は・・・

・・・元総理大臣だ。

なぜここにいて神様をやっているんだろう。そもそも亡くなったはず。

でも都市伝説では生きてる説もあったはず。もしかしてこのゲームの中で生きているのか・・・

「どうやら私の正体に気づいたようだね。このゲームを作るように指示したのは私だよ。私は潰瘍性大腸炎という病気にかかって以来、好きな物を食べる事が出来ない身体になってしまった。何かを食べてはお腹を壊して下痢になる。食べる事が好きな私にとっては現実世界は地獄のような世界だった」

それでこのゲームはウンコネタが多かったんだ。

「ゲームの中では好きな物を食べ放題。ゲームの中で暴飲暴食しても、現実世界の身体には栄養ゼリーが流し込まれて健康は維持できる。そんな仮想世界を作り、同じ病気で苦しむ人を私は救いたかっただけだった。本当にただそれだけだったんだ。だが私のその思惑は支配者層の人間に利用された」

えっ、どういう事?

「その事に気づいた私は身の危険を感じて死んだふりをして、仮想世界で神様として身を隠す事にした。現実世界と仮想世界、2つの世界を救ってくれる者が現れる事を信じて」

えっ、これはこういうストーリー展開なのかな。それとも本当に・・・

「第2章が始まると次は高齢者がこのゲームをやり始める事になる。高齢者の感覚のままだと大変だから、感覚の若返りと見た目の若返りも特典として付ける。そうやって全ての国民をこのゲームの中に入れるのが支配者層が考えている事」

たしかにその特典だと高齢者もこのゲームをやり始めるだろう。今思うと女性プレイヤーが増えた時もそうだった。突然ダイエットに効果あるとSNSでバズった結果、多くの女性がこのゲームをやるようになった。

ボクがこのゲームをやる時もそうだった。このゲームを楽しんでいれば働かなくてお金を稼げて一生暮らせるという謳い文句に惹かれてボクはこのゲームをやり始めた。

今考えるとこんな事は国が絡んでいないと出来ない事だ。イヤ、国よりももっと上の支配者層といわれる人達が絡んでいないと出来ない事だ。

だけど、何故支配者層の人達は全ての人を仮想世界に入れようとしているんだろうか。

「支配者層は自分達が神様になる事を望んでいる。現実世界で出来ない事でも仮想世界ならそれが可能となる。支配者層の人間は強制的に人を仮想世界に来させるのではなく、自分の意志で仮想世界に来るようにさせている。人をまるで操り人形のように扱うその姿はまさに悪魔そのもの」

こ、これはやっぱりこういうストーリー展開なんだよね。ねぇ、誰かこういうストーリー展開だって言ってよ。

「ドラゴンセンスを覚醒させてアテナの骨を作れた者なら悪魔からみんなを守る事が出来るだろう。ドラゴンセンスのさらに先にある感覚を覚醒できた時、君は2つの世界を制する事が出来る。頑張ってくれ」

「は、はい」

なんか流されるままに勝手に話が進んでいってしまう。でもボクにはどうする事も出来ないし、この話がウソかホントかわからない。信じるか信じないかは貴方次第ですって言う話にも聞こえる。

正直な話、ボクにとってはどうでもいい事にしか聞こえない。だからボクは普通にゲームを楽しむ事にする。

これからも普通にオウルブルーアテナを楽しむだけ。

ドラゴンセンスに覚醒してワクワクする事が増えた。

これからボクがやる事はモノ作りじゃない。みんながワクワクするような未来を創る事だ。

ボクの冒険はこれからだ!!!



第1章 ~完~



★★★★★★★★

第1章完結までお付き合い頂きありがとうございます。

今回この作品を通して自分の実力不足を痛感いたしました。

時間がかかると思いますが実力をつけて大型アップデートして、第2章を書いていきたいと思いますのでここで一度完結にいたします。









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

Let's『錬成』!~初めてのVRMMOで不遇職『錬金術師』やってます♪~

夢・風魔
ファンタジー
初めてプレイするVRMMOに『World Skill Fantasy Online』を選んだ中学三年生の茜。 スキルレベルだけで成長をするというシステムのこのゲームで、彼女は錬金術師を選択した。 『錬成』一つでなんでも出来る! そんな謳い文句のこの職業。しかし攻撃スキルはなく、ポーションの錬成も生産職のソレと比べると回復量は劣り……。 挙句にホムンクルスはパーティーの経験値配分枠を取ってしまい、邪険にされる始末。 不遇と呼ばれプレイヤー人口の少ない錬金術師を選んだ茜は『チョコ・ミント』としてゲームを楽しむ。 彼女は先入観に捕らわれず、斜め上に向かって錬金術師を楽しむことで── やがて錬金術師プレイヤーの地位向上に貢献することとなる。 *小説家になろう・カクヨムでも公開中

現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、私はかわいいテイムモンスターたちに囲まれてゲームの世界を堪能する

にがりの少なかった豆腐
ファンタジー
この作品は 旧題:金運に恵まれたが人運に恵まれなかった俺は、現実逃避するためにフルダイブVRゲームの世界に逃げ込んだ の内容を一部変更し修正加筆したものになります。  宝くじにより大金を手に入れた主人公だったが、それを皮切りに周囲の人間関係が悪化し、色々あった結果、現実の生活に見切りを付け、溜まっていた鬱憤をVRゲームの世界で好き勝手やって晴らすことを決めた。  そして、課金したりかわいいテイムモンスターといちゃいちゃしたり、なんて事をしている内にダンジョンを手に入れたりする主人公の物語。  ※ 異世界転移や転生、ログアウト不可物の話ではありません ※  ※修正前から主人公の性別が変わっているので注意。  ※男主人公バージョンはカクヨムにあります

VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

サ終手前の元覇権ゲームを極めた俺、再ブームした世界で無双する。

ファンタジー
世界初! 圧倒的グラフィック! 高性能AIによる生きているかのようなNPC! 脳波を読みとるヘッドギアが織りなすリアルと遜色ない操作性! どう成長するかはプレイヤー次第の自由成長システム! キミを待つのはゲームじゃない。もう一つの世界だ。 な〜んて謳い文句で世界中のゲーマーを虜にし、大ヒットを記録したのは過去の栄光であり、過疎も過疎、運営すらも匙を投げたVRMMORPG【Another verse online】。 そんなゲームを共に遊ぶフレンドすら失ったにも関わらず、飽きずにソロで周回する毎日だった主人公。 大規模アップデートをする!と大々的に告知されてから丸2年。アプデに対して黙りこくっていた運営がとある発表をした日から、世界は大きく変わることとなる… カクヨム様でも投稿しています。

チート級スキルを得たゲーマーのやりたいことだけするVRMMO!

しりうす。
ファンタジー
VRゲーム【Another world・Online】βテストをソロでクリアした主人公──────雲母八雲。 βテスト最後のボスを倒すと、謎のアイテム【スキルの素】を入手する。不思議に思いつつも、もうこのゲームの中に居る必要はないためアイテムの事を深く考えずにログアウトする。 そして、本サービス開始時刻と同時に【Another world・Online】にダイブし、そこで謎アイテム【スキルの素】が出てきてチート級スキルを10個作ることに。 そこで作ったチート級スキルを手に、【Another world・Online】の世界をやりたいことだけ謳歌する! ※ゆるーくやっていくので、戦闘シーンなどの描写には期待しないでください。 ※処女作ですので、誤字脱字、設定の矛盾などがあると思います。あったら是非教えてください! ※感想は出来るだけ返信します。わからない点、意味不明な点があったら教えてください。(アンチコメはスルーします)

運極ちゃんの珍道中!〜APの意味がわからなかったのでとりあえず運に極振りしました〜

斑鳩 鳰
ファンタジー
今話題のVRMMOゲーム"Another World Online"通称AWO。リアルをとことん追求した設計に、壮大なグラフィック。多種多様なスキルで戦闘方法は無限大。 ひょんなことからAWOの第二陣としてプレイすることになった女子高生天草大空は、チュートリアルの段階で、AP振り分けの意味が分からず困ってしまう。 「この中じゃあ、運が一番大切だよね。」 とりあえず運に極振りした大空は、既に有名人になってしまった双子の弟や幼馴染の誘いを断り、ソロプレーヤーとしてほのぼのAWOの世界を回ることにした。 それからレベルが上がってもAPを運に振り続ける大空のもとに個性の強い仲間ができて... どこか抜けている少女が道端で出会った仲間たちと旅をするほのぼの逆ハーコメディー 一次小説処女作です。ツッコミどころ満載のあまあま設定です。 作者はぐつぐつに煮たお豆腐よりもやわやわなメンタルなのでお手柔らかにお願いします。

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

処理中です...