31 / 38
【番外編】23.キタ――(゚∀゚)――!
しおりを挟むま、まさか。
ニルエは本当はバルド様が大好きで、許婚がいるって分かってても関係を続けて。結婚できなくても、せめて愛しい人との子供が欲しい。だから、受胎の実を飲んでまで、手に入らない彼の代わりにぃ、彼の子供を宿してっ!
「・・・え? 何泣いてるんだよ兄さん!?」
「うぅ、いや・・・。そこまでバルド様の子供が欲しかったんだなって」
「・・・へ?」
「許婚さんがいるって知ってても、子供、欲しかったんでしょう?」
「違うよっ!? 孕ませられたんだよ!? 人が寝てる間に受胎の実を仕込みやがったんだあいつはぁ!」
「・・・えっ」
「お、おれは! その兄さんが見つかって、その、許婚さんとの色々問題や話が解決したら、正式に付き合うって・・・結婚前提のお付き合いをするって言っただけで!」
「・・・・・・」
ジトっと、バルドさ・・・バルドを見つめた。
「なのに! 順序を変えてあのエロ熊野郎!!」
「・・・おまえ、やるなぁバルド、見直したぞ」
「だって、レディアン様が絶対にニルエを離すなってご命令があったんで。折角なら、確実にニルエをものにした証明が欲しいなって。相性良くて、ニルエがこんなに早く身籠ってくれるなんて、超嬉しい誤算でしたよ」
はぁ~と、微笑みから一転。バルドの表情が不遜の笑みに変わる。
「これで家の問題が解決できそうですよ」
家・・・? ヴィヴィ家も有名なお家元、なのだろうか。
「あぁ、おまえの家も大変だろうなぁ。まぁ、子供が出来たとなれば、もう手出しはさせまい。私が手を回すまでもないか」
「あぁいえ、念の為、バックについて貰えるとありがたいですよ~」
「うむ、いいだろう。いい働きだバルド、そうか、私もそうすれば良かったか」
「っ!? ???」
悪寒を感じた。
「さ、ニルエ、帰ろう? お腹の子も心配だよ」
「・・・・・・」
ニルエを見やった。
「ニルエ、君も熊人に好かれて、大変だったんだな」
「兄さん・・・」
「連絡先、交換しよう? レア様が熊人の取り扱い方法を教えてくださるし、相談に乗ってくれるから」
「・・・うん」
連絡先を交換し、ニルエと握手した。
「大丈夫、また会えるから。レア様が熊人のツガイ被害者の会みたいなもの、開催しようかなって言ってるし、僕も含めて、第一回の開催を打診しておくから」
「うん、絶対にお願いするよ」
「ニールーエー?」
バルドさ・・・バルドがグリグリと、頭部をニルエの背中に押し付ける、何とも可愛らしい仕草をした。
「んもぅ! 今いいとこなんだから! 少しは待ってよ!? 嫌いになるよ!?」
「やだっ!」
へにょりと、勇敢なまぁるいお耳が伏せをする。
ほほぅ。何だかんだ、主導権はニルエにあるようで、まだ大丈夫・・・そうかな?
「・・・・・・」
こっちはというと、あはは、さっきから、レディアンの視線が背中に突き刺さって、こ、怖いんだが。
ふわりとニルエに抱き締められた。
「兄さん、会えて本当に良かった」
「・・・僕もだ」
まさか、会えるなんて・・・。
「ふふ、ようやく、泣いてるの?」
「・・・・・・うるしゃい」
自分でも笑える。急に実感が沸いて来たのだから。
「だって、会えるなんて、思ってもみなかったし」
「うん」
「君には嫌われているだろうって思ってた。母さんは君にはきっと僕のことをいい風には伝えてなかっただろうし」
「・・・そうだね、そうだった」
ぎゅっと、強く抱き締められた。
「でも、おれは自分の目で確かめたかったから。元より、いい母親だとは思って無かった、反面教師ってやつだよ」
「・・・そっか」
僕も、僕よりも大きな背中を抱き締め、返せた。
「・・・探してくれてありがとうニルエ」
「・・・うん。おれの、大好きな兄さん」
少し余韻に浸っていると。
「あっ」
「わっ」
熊人に引き裂かれた。
「いつまで抱き合っているんだアーニャ」
「いつまで抱き合ってるんだよニルエちん」
思わずニルエと苦笑を浮かべた。
「じゃぁまたねニルエ。また連絡する」
「うん、またね兄さん」
「黒ずきん氏、次はわしとコラボしよう」
「っ!? ほほほほ本当ですかっ!?」
キ、キ、キ、キチャーッ!! アチャーッ!!
何という、心臓が飛び出そうなくらい嬉しいオファーッ!
バルドさ・・・さんはウインクして見せる。
「あぁ、仕事として、こちら側も君のようなストリーマーは利益に繋がる。ミルフィオリをクリアしたら、次のゲームを送ろう」
「ふぁいっ! ありがとうございますっ!」
「じゃぁ」
結構ラブラブな二人の背中を眺める。
「アーニャ、よだれ、よだれが出てる」
「はっ、すいませんお見苦しい所を」
よだれを拭って、二人を見送った。
0
あなたにおすすめの小説
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
愛を知らない少年たちの番物語。
あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。
*触れ合いシーンは★マークをつけます。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる