アナザー・リバース ~未来への逆襲~

峪房四季

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Scene11 〝正しい〟が持つ魔力

scene11-6 超越者の目線 前編

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 ――ドクンッ!

「う゛ッ!?」

 まるで心臓を鷲掴みにされた様な刹那の不快感。
 ほんの一瞬のことですぐにその感覚は霧散したが、とても無視出来ない感覚が襲い司は和成を引き摺りながら歩む足を止めて胸に手を当てる。

「なん……だ。い、今の……?」

 戸惑う司。
 これまで〝D・E〟を手にして幾度と無く感じて来た様々な身体の異変とは明らかに別物。
 精神や肉体に関わるモノではない。もっと根源的な何かに干渉があった様に感じられた。

「閣下、如何なさいましたか?」

 歩んで来ていた司の妙な動きに自分の方から駆け寄って来るルーツィア。
 司はしばし胸に手を当てたままでいながらも、もうその妙な違和感は残っておらず手を降ろし首を傾げてルーツィアの心配そうな顔を見返す。

「いや……うん、大丈夫。なんだか一瞬胸が詰まる様な感じがしたけど、もう何ともない」

「そうですか。途中から閣下の戦闘を拝見しておりましたが、その男……妙に能力が向上していた様子。何か姑息な効果を付与して来たのではないかと思いましたが杞憂であれば何よりです。それと……」

 ホッとした顔を見せるルーツィア。
 ただ、次の瞬間にはその顔が神妙な面持ちへと変わり、一歩後ろへ下がり改まった所作で司の前に片膝を付いて長い金髪が地面に広がるのも構わず頭を垂れて来た。

「え? 何? どうしたのさ、ルーツィアさん?」

「閣下……実は以前閣下と模擬戦をした時、私は正直まだ自分が閣下より〝強い〟と考えておりました。そして、紗々羅が閣下に服従させられた際にも、私はまだ辛うじて閣下に勝てるつもりでいました」

 唐突に胸の内を暴露して来るルーツィア。
 内心そんなことを思っていたというのはある意味一種の見下しなのかもしれないが、だからと言って司の中に不満はない。彼女の戦場における万能さは卓越しているし、いざ真正面から戦うことになればオッズは恐らく彼女の方が上だろうと司も思う。
 しかし……。

「私は軍属の出……つまりは戦闘こそが本領の身。ですが、先ほどの戦いで私は無比アニークト様と博士ラーニィド様以来のとの邂逅を……貴方様に感じました」

 ルーツィアの頭がさらに低くなる。
 良く見ればその身体は微かに震えていた。

「え? いや……ちょっと待ってくれ。さっきの戦いで俺に達真や良善さんに近しいモノを? か、買い被り過ぎだろ。あの二人と比べたら俺なんてまだ全然……」

 あまりにルーツィアが畏まっているのでそれほど感じはしないが、二人の力の一部を知る司からすればそれはただの皮肉に等しい。
 だが、ルーツィアは譲らなかった。

「そう思われるのは閣下の視線の高さから見ての感想かと。確かに現時点の閣下はあのお二人にはまだ及ばぬでしょう。ですが、我々の様な蟻にとっては極論を言ってしまえば〝人〟も〝象〟も大差はありません。一足で全てを踏み潰す圧倒的な差。私はかつて無比様には単純な力で、博士様にはその存在感で〝絶対に勝てない存在〟であると分からされました。そして、此度の戦いを目にし……私は今、閣下に魂の底から……〝畏怖〟を、感じております」

「い、畏怖って……――あ」

 そこで司はようやく自分が未だに〝D・E〟の力を発現したままでいたことに気付いた。今までは意図的に自分の身体の中でスイッチのONとOFFを切り替える様な感覚があったのに、その境目を全く感じない。

「お気付きですか? 閣下の身体は能力を常時開放している状態が正常へと切り替わったのです。OFFでいることが通常では無くONであることが通常。これは明らかに生物としてより高次への到達を意味します。能力を息に置き換えると分かりやすい。意識しなければ息が出来ない生物と意識せずとも息が出来る生物。どちらが優れているかは言うまでもありません。私も以前その域へ達そうとしましたが、最後には博士様に『お前には無理だ』とはっきり言われました」

「能力を使える方が……正常な状態?」

 司は自分の手を見下ろしながらあえて呟いてみる。しかし、そう意識してみてもルーツィアの言う通り自分が今能力をONにしていることが『俺は今息をしている』程度の当たり前過ぎる感覚でしか捉えられない。ただ、もう制御することが出来ないのかと言えばそんなことはなく、より意識してみると次第に全身に巡る〝D・E〟の圧が下がり能力をOFFへと持っていけた。

「……うわ、違和感がある。わざわざ意識して力を抑えてる感じだ」

 司の瞳から血色が抜け、ルーツィアの肩がガクリと下がり少し息が乱れる。
 どうやら〝D・E〟の成長度合いには〝能力の感じ取り方ブースト〟があり、それを掴めるかどうかでさらに伸び代が変わってくるらしい。

(能力を使ってる方が本来の姿正常か……確かにそれは本当の人外だな。なるほどこいつと戦う前と後の俺の違いは〝人外〟と〝人外になれる〟の差があったってことか)

「もしかして、さっきまで俺と向かい合ってるのキツかった?」

「……は、はい。無比様の時は大きな手で圧し潰される様な感覚。博士様の時は遥か頭上から見下ろされている様な感覚。そして、先ほどまでの閣下からは、まるでずっと自分の胸の内を見透かされている様な感覚がございました。際限無く不安が掻き立てられて気が気でない。恐れ入りますが、無比様や博士様の様に戦闘時以外は力を抑えて頂きたく存じます。特に……今の美紗都では数分と保たず気を失いかねません」

 胸の内を見透かす……再認識した司の能力である感情の制御が関係しているのかもしれない。
 一定のレベルを超えた〝D・E〟保有者に現れる自動デバフとでも言うべきなのか。
 とにかく、自分の生き物としてのカテゴリーが変わったのだということは分かった。
 しかし、それでもまだどうにも収まりが悪い。

「そんなにか? それほどの力を得るきっかけを掴んだ気はしないんだけど――――」



が変わったんだよ」



「「――えッ!?」」

 不意に聞こえた声。
 司とルーツィアが揃って顔を上げると、崩れたビルの瓦礫に座り薄ら笑いを浮かべる達真の姿があった。

「無比、様……?」

「お前……どうしてここに?」

「ひひッ! 細かいことは気にするな。司、お前は今自分の力が急激に変わった実感が無いだろ? まぁ、そのゴミが相手だったせいで分かりにくかったんだろう。血縁のよしみで俺がそのことについて教えてやるよ」

 瓦礫を飛び降りて司の前に歩み寄って来た達真は、司の手から和成を受け取り、軽く手を振って和成の身体を反転させて足首から首へとその持ち位置を変える。
 一瞬息が詰まる様な潰れ声を上げた和成だったが、それでも目覚める様子は無く首がカクンと反り落ち様に、達真は失笑を浮かべながらしばらく和成を観察したあと鼻で笑い司を見た。

「おおよそ第三階層の半分ちょいってところか? 紗々羅とルーツィアでさえ七割くらいで頭打ちになってるのを考えれば、こいつもなかなかいい線いってるじゃんか。けど、あんな軽薄だと威厳が無くて分かりにくいよな?」

 和成の中にある〝D・E〟の成長度合いを読み取ったらしい達真。
 そういうのは良善の専売特許かと思われていたが、達真もある程度能力値の読み取りくらいは出来るらしい。
 口から出任せをそれっぽく言っているだけかもしれないが、なんだかんだと言って人類史最悪の組織で首領をしているという強引な説得力に司も思わず気圧されてしまった。

「軽薄って……お前がそれを言うか?」

「あぁん? フッ……まぁいい。とにかく、こいつはもう俺達と〝ロータス〟の戦いの中で十分主役級の力がある位置に立ってる。そして……司、さっきまでのお前もほぼ同格だった。戦場に現れたら潮目を変えれるレベルの存在。そんなお前とこいつが戦いお前が勝った。そこらのザコを倒したのとは違う。それなりに価値のある相手から手にした『勝った』という認識が能力前進のきっかけだ。お前は今、第三階層の九割方の所まで来てる。あと少しこのカスで摂取し切れなかったきっかけを掴めば、第四階層に辿り着けるだろ……そうすればまた世界が変わるぜ?」

「価値のある相手に勝った認識……そこらへんの雑魚を倒すより、小ボスや中ボスを倒す方が経験値が多いって話か?」

「ははッ! あの師匠の弟子にしては浅い例えだが俺は好みだ。まぁ、そういう捉え方でもいいじゃね? 俺は〝D・E〟を『宿主の分身』と捉えている。俺達の身体の中で蠢くナノマシン共は、その名の通り宿主のもっとも渇望している願いに一番強く反応する。お前も何度か経験しているだろ? 自分をもっとも理解してくれる身体を共有したもう一つの存在。もはや自分自身……他人とは思えない」

「……意外にセンチメンタルなんだな? そんな風に考えたことは無かったけど……まぁ、分からんこともないかな」

「……そうか」

 別に好きではないが、だからといって何から何かで達真を否定するほど嫌っている訳でもない司。
 彼の言葉であろうと共感出来る物であれば同意する。
 そもそも、良善の様な理詰めの解説より感覚的な達真の言葉は元々の司の考え方的にも楽でいい。
 だが、そんな司の軽い同意に、達真は何か確認が取れたとでもいうかの様に頷いて傍らに控え二人の会話を邪魔しない様にしているルーツィアを見る。

「おい、ルーツィア」

「は、はいッ! なんでござい――ぐッ!? あ、ぁ……がッ!?」

 頭を垂れて控えていたルーツィアが達真に名指しされて顔を上げてその顔を見た瞬間、ルーツィアは一瞬で顔面蒼白になり、すぐにその両目が裏返って泡を吹きその場に倒れてしまった。

「お、おい! 何して――」


「なぁ、司? 良善の弟子を辞めて……俺と組まないか?」


「…………は?」

 涼しい顔で唐突に投げ付けられる爆弾発言。
 だが、司から見た達真の感覚なら部下に泡を吹かせて倒れさせるくらいは、まだこの狂人的におふざけの範囲だろうと判断する。

「な、何言ってんだよ、お前。今はお前の冗談に付き合ってる暇は無いんだよ! 七緒がまだ戦ってるし、美紗都のケアもしてやらないといけない。鷺峰の件やこの世界の俺とか、やらないといけないことが山積み状態なんだぞ? それなのに補佐に欠かせないルーツィアに何してくれてんだよ!?」

 達真の隣を抜けてルーツィアを抱え起こそうとした司。
 しかし、すれ違いざまに達真は司の肩を掴みその足を止めさせた。

「うわッ!? な、なんだよ?」

「冗談じゃねぇ……大マジだ」

 肩を引かれて振り返らされ、鼻頭が触れかけるほど顔を寄せて来る達真。
 その顔にはいつもの軽薄さは微塵も無く、確かに真剣な話をしているという認識が伺えた。

「……冗談じゃないならそれはそれで問題だろ。〝Answers,Twelve〟が仲良し集団じゃないのは理解してる。でも、利害が一致した協力関係ではあるはずだ。それを反故にする意味がどこにあるんだよ?」

 至極真っ当な司の言い分。
 そもそも、組織のトップである達真がその組織を裏切るなどまるで意味が分からず、司は『お前と良善さんを比べたら良善さん一択だろ』という内心をまだ口にはせず達真の言い分を待ってみる。
 それに対する達真の返しは、いつもの軽薄な笑みを口元に戻していながら眼だけは笑っていないというアンバランスな表情。

 血色に輝く瞳はまだ司も理解出来る程度の深みまでで抑えられているものの、そもそも〝D・E〟が起動している時点でもうすでに穏やかではない。

「予防策さ。実はな、俺は一度良善あいつに出し抜かれたことがあるんだ。皮肉って茶化して終わってやったが、正直内心はらわたが煮えくり返ってた……殺してやりたいと思った……。そして、それはあいつも同じ。あいつはいずれここにいる俺も始末したいと考えてる。いや、出来るんなら今すぐにでもそうするだろう。ただ、俺とあいつがスクラッチ無制限でやり合うと、あいつは自分の悲願を達成出来なくなる可能性がある。だから、あいつにとって俺はとにかく死ぬほど邪魔な存在なんだ」

「…………」

 一体何の話だ?
 二人だけの話を何の要点も無くヒソヒソと語られてもこっちには何がなんだが分からない。
 ただ、何となく察せれたのは……。

(こいつの中での俺の扱いが変わったみたいだな。今まで論外だった俺がこいつの中で考慮するに足る要因の一つになったから話に加わらせようとしてるのか?)

 ルーツィアは平伏して来て達真は今までになく切り込んだ会話をして来た。
 どちらも自分より〝D・E〟の扱いに長けた者がこれほどまでに自分の評価を更新している。
 それ自体は嬉しい限りだ。しかし、ついさっきその輪郭に指が掛かった程度で司自身得心を得ていない。
 余計な波風は立てず、復習の時間が欲しいのに達真は全くこちらから目を逸らさない。

(さ、て……どう動くべきかな?)

 別にどっちに付くかを悩んでいる訳ではない。
 もし本当にどっちかを選ばないといけないなら、残念ながらこの子孫は司へのフラグが足りていない。
 しかし、掴まれた肩と射抜く視線は、もしも司が断る様なことがあれば乱暴な手段に打って出ることも辞さない雰囲気を醸し出している。

「……お前が急に俺の成長を感じてスカウトしてるのは分かるけど、だったらなおさら今の俺はその力をより確実にするため、良善さんの知恵を借りたい所なんだが?」

「くくッ、一生懸命言葉を選んだ返事だな。一応筋が通ってて俺も今回は引き下がるべきっぽく聞こえる感じがしゃらくせぇ…………なぁ、司ぁ?」

 司の肩を掴む達真の手に少し力が増す。
 すると、その触れられていた肩がスッと冷たくなってゆき……そこから先の展開は早かった。



「ゴチャゴチャうるせぇんだよ。黙って従え」

「――ッッ!?」



 達真の瞳に赫色の渦が巻く。
 反応は出来た。
 しかし、それはあくまで身構えれただけの話であって、達真が司を身体で押すように一歩前へ踏み出してその足が地面に付いた瞬間、司の身体は数百m吹き飛びビルを二棟貫通して三棟目の外壁に大穴を開けてどこかのオフィスを蹴散らして出来たデスクの山に倒れ込む。

「ぐはぁッ!? がッ……げほッ!? ごほッ!!」

 全身がバラバラに砕け散るかと思った。
 ただ、幸いにも四肢は残っており、至る所に骨折の感覚はあるが司は何よりも自分がまだ人の形を保っていることに安堵した。

「うぐッ……はぁ、はぁ……い、今の〝アクエケス〟を……吹っ飛ばした時の力か?」

 ――アルクビエレドライブ。
 巨大な戦艦に体当たりで勝ってしまえる達真の〝D・E〟第三階層の力。
 あの時は結構な助走距離があったが、今回は狭い一歩分のみ。
 その差が司の身の明暗を分けたらしい。

「この前くらいに……助走を付けられてたら、肉片一つも残らな……あれ? 待てよ?」

 自分の体の前後にブラックホールとホワイトホールを作り出し、時空の歪みを生み出す達真の能力。
 だが、その説明を良善にして貰った際、達真はあの開けた空中で周囲を無秩序に飛び回りわざわざ助走を付けて能力を発動していた。
 良善の解説ではそれくらい距離を稼がないと能力が使えないらしい。

 つまり、先ほどのたった一歩は手加減どころか、本来であれば能力が発動出来ないはず。
 そこまで思い出して、司の中に一つ仮説が浮かぶ。

「まさか、良善さんに偽情報を掴ませて――がッ!?」


 ――ガシャアアアアアアアアアアァァァァァンッッッ!!!


 身体を起こしつつ全身に〝D・E〟を回して治癒を進めようとした司。
 しかし、吹き飛ばされた自分の軌線を辿り二棟のビルを潜り突っ込んで来た達真の手が司の顔面を掴み背後のデスク山を吹き飛ばして司の身体を床にめり込ませる。

「ぐぶッ!? がッ! こ、のぉッ!? ――うぐッ!?」

「司ぁ……俺は確かにお前にお誘いをした訳だが、別に〝お願い〟したつもりは無いぞ? この俺が誘ったんだ……お前に拒否する権利は無いだろ?」

 指の隙間から見る達真の表情は若干不機嫌な色と相手の常識観を疑う蔑みの色が伺えた。
 きっと今までこの男は自分の意向に他人が無条件で従うのが当たり前だったのだろう。
 自分に従うのは当然であり、素直に従わないことは非常識であるとすら思っているかもしれない。
 千年後の子孫とはいえ、よくも自分からここまで変われたものだと感心すらしてしまえる。

 そして、その迫力も〝Answers,Twelve〟の首領に相応しい傍若無人さだ。
 これまでの軽薄な態度より、こっちの方が威厳を感じられる。
 だが……。

「うぶッ!? ぐぅ……こ、交渉下手にも、ほどがあるだろ!? こうなったらもう俺は、絶対に……お前には付かねぇぞッ!? ――うぐッ!」

「くははッ! 大丈夫だ。俺は優しいからな。どんなに生意気に噛み付いたり暴言を吐いたりしても、最後にちゃんと謝れば……許してやるよぉ」

「このぉッッ!!」

 舌なめずりなど粋った三下の所作だと思っていたが、本物がやるとモノが違う。
 顔面を掴む重機の様な握力に頭蓋骨が軋みを上げ、もしかするともうヒビくらいは入っているかもしれない。
 どうやら達真はこのまま司を痛め付けて心を折り自分に屈服させようとしているらしい。
 第三階層内で関門を通過した司を〝見込みアリ〟と判断し、さらに成長して手間が掛かる様になる前に首輪慣れさせようという腹積もりか?

「く、そ……がああああぁぁぁッ!!」

 達真の指の隙間に見開かれた司の瞳にも赫色が灯る。
 ここでそのまま引き下がる司ではない。
 和成の時とは比較にならない全力の〝D・E〟解放。
 しかし……。

「ぐぅぅッッ!? う、ぐうぅぅ……ッッッ!!!」

「いいぞぉ~~頑張れ頑張れ。全力を出さないと納得出来ないだろうからな……絞り出してみろよ♪」

 まるで巨大な手に握り込まれているかの様に司の圧が抑え込まれてしまう。
 出力の手応えは間違いなく過去最高値なのにそれでも感じざるを得ない途方も無い力量差。
 両手で掴み払おうとする腕もビクともせず、押し返すどころかこちらが潰されない様に耐えるだけで精一杯だった。

「う゛ぐぅッ!? ぐ、ぁ……あぁッ!? ぐぅぅッッ!!」

 ニヤニヤと笑う達真の顔が癪に障るし……よく似ている。
 きっとこの男はなのかもしれない。
 他者を愚弄することが楽しくて仕方なく、もっとそれを味わいたいという欲望に〝D・E〟が呼応している。
 ギラ付く眼差しはまるで生き甲斐を得ている様に輝いてすらいて、まさに趣向と実益がマッチしていた。

「きははッ、余裕が無いなぁ? 必死だなぁ? さっきまであのカスを圧倒していたのに、これじゃあみっとも……――お?」

 達真の髪が後ろへなびく。
 司の放つ存在圧は依然として達真に抑え込まれている。
 しかし、それでも僅かに漏れ出るそれが達真の髪を微かに撫でていたのだ。
 そして、その鍔競り合いが一分を越えた辺りで、すでに滝の様に汗を搔き歯を食い縛る司とは対照的に、達真の顔は徐々に興奮の色を増していた。

「うぐぐッ! うッ……ぐッッ!! はぁ、はぁ……ぐぅぅぅッッ!!!」

「……いいぞ、司。やるじゃないか。俺的にはなのにお前はまだ耐えてる。いい……いいぞ、お前。あぁ……惜しいな。ここで一旦間をおいてやれたら、楽しいタイマンが出来るかもなんだが、生憎あいつに勘付かれると面倒に――――」




「何の話だ?」




「――ッッ!?」

「…………チッ、早ぇよ」

 向かい合う司と達真の目が同時に見開かれる。
 そんな二人の背後には月明りの逆光を受け、なびくコートのポケットに両手を入れて佇む良善が忽然と姿を現れていた…………。







 司が和成を圧倒し、ルーツィアと合流していた所に達真が現れたのと同時刻。
 戦況を予測して円を安全圏まで退避させている最中だった良善は、中心部から大分離れて次第に建物の高さが低くなり始めた辺りのとある雑居ビルの屋上に降り立ったところで、突然背後を振り返り立ち止まっていた。

「ひゃッ!? うぅ……え? あ、あの……ラーニィドさん?」

「…………」

 手提げカバンの様に襟を掴まれていた円は恐る恐る顔を上げる。
 さっきまで何か嬉しいことでもあったのかどこか機嫌が良さそうな微笑を浮かべていたのに、突然その雰囲気が反転し、明らかに良善が苛立っている気配を察したからだ。
 しかし、次の瞬間……事はそんな次元では済まないことを知ることになる。


「ラインを越えたな……達真」


「――ひぃッ!?」

 これまで柔和で渋いおじ様といった印象を持っていた円の目に映る全く別人の様な良善。
 そのこめかみにはおどろおどろしい青筋が浮かび、帽子の鍔の陰に怪しく揺蕩う漆血色の眼光。
 そこへ地の底から響き上がる様な声が合わさり、円はもう二十年弱慣れ親しんでいたはずの息の仕方を忘れてしまった。

「か、はッ!? あ、ぁ……かふッ、あッ! あぁぁ……ッ!?」

 両手を自分の首に当てて俯く様に腰を曲げる円。
 肺が動かない。喉がピタッと閉じてしまったかの様に空気が口の中からその先へと進んで行かない。
 手足の末端から感覚が消えてゆき、頭がぼんやりして視界が霞んでいく。

「ハァ! ハァ! ハァ! か、かッ! は、くッ!? あぁ……し、し……ぬぅ……ッ!」

「ん? あぁ……すまない。少し圧を当ててしまったか」

 小刻みに震えて声を掠れさせる円に気付き、良善は膝立ちになって円の頭にトンッと手を置く。
 するとその瞬間、肺へ一気に新鮮な空気が流れ込んで円の全身に酸素が巡り直る。

「かはッ!? ごほッ! げほッ!? ハァ――ッ! ハァ――ッ! ハァ――ッ!」

 薄汚れた雑居ビルの屋上であることなど気にする余裕も無く、円はその場で顔から倒れ込み頬が汚れることも無視して、まずは呼吸をと乱れながらに何度も息を整える。

「くッ! しまったな……流石にこの子を連れて行く訳にはいかんし、ここで置いていくのも……――ん!?」

 咳き込み丸まる円の背中を撫でつつ、珍しく悩み迷っている様な顔をしていた良善。
 すると今度は殺気立った圧を放つことなく再び顔を上げた。

「丁度いいところに! ……私だ。そこから十時の方向へ来い。少々合流したい事情が出来た」

 こめかみに親指を当て独り言を口にする良善。
 そこから約数分、少しずつ円の呼吸も落ち着いて来た所で、同じく戦闘区域から離脱中だったこの側流世界の御縁司を背負う曉燕が雑居ビルの屋上へ降り立った。
 ただ……。

「良善様ッ!!」

「おっと……これは想像以上に酷いな」

 曉燕に背負われて良善達の前に現れたこの世界の司は、全身がドス黒い痣だらけで誰の目から見ても瀕死な有様。
 さらにそんな深刻な外傷よりもさらにその内部の方が危ういのか、曉燕は外骨格を使い司の身体の至る所にチューブ状の物体を差して処置を行っていた。

「ハァ……ハァ……り、良善様、申し訳ありません。彼を見て頂けませんか!?」

 滝の様に汗を搔いている曉燕。
 成人男性一人を抱えている肉体的な疲労ではなく、どうやら余程緻密なナノマシン制御をしながらここまで退避して来たらしい。
 正直な所、良善としてはさっさと円を預けてこの場を離れたかったのだが、思った以上に如月和成が人の心を捨てれていたらしく、今のこの司は曉燕に丸投げしていい状態ではなさそうだった。

「ハァ……ハァ……え? だ、誰? ……あ、曉燕さ――え? つ、司? ひぃッ!? い、いやぁぁぁッッッ!! 司ぁッ!! 司ぁぁッッ!!」

「静かにしなさい、円嬢。今から診る」

 取り乱して司に駆け寄ろうとする円を制した良善は、目を閉じて仰向けに寝かされた司の胸元に手を置く。
 すると、その手を置いた箇所から曉燕そして円の目にもはっきりと淡い光の波紋が司の全身に波の様に広がったのが見えた。

「完全骨折・十三、不完全骨折・二十二、裂傷・七、打撲・三十一……よくもここまで自分と同じ人間の身体に暴行が出来たモノだ。脳内出血もあるな、折れた肋骨が消化器官を損傷させて腹膜も炎症を起こしている。だが、それよりも不味いのはショック性の心停止か……曉燕のナノマシンが物理的に心臓マッサージをしているからどうにか持ち堪えている状態だな」

「すぐに私の外骨格を彼の体内から出します。私如きの治療より良善様の治療の方が確実に――」

「いや、待て。ここまで来るともう下手に切り替える方が危険だ。それにお前の精度も悪くはない。私が少し処置の位置を修正するからこのまま続けろ」

「は、はい!」

 良善の手解きで曉燕の処置がより効率的に整えられ、そこからさらに二~三助言を受け、曉燕は主である司から任されたこの司を必ず助けるべく瞬きも忘れるほどの集中で治療に専念し直し、司の胸元から手を離して立ち上がった良善に円が歩み寄る。

「あ、あの……司は?」

「心配はいらない。曉燕に任せてこのまましばらく安静にして治療を続ければ安全域まで戻せるだろう。君達はしばらくここにいたまえ。私は少々やることがある」

 そう言って円の肩をポンポンと叩いて離れさせ、さっきまで背を向けて来ていた中心部の方を睨む良善。
 その身体から再び寒気のする圧が滲み出て来て円は震えが上がり曉燕の傍まで距離を取る。

「…………邪魔な物が多いな」

 小さく呟きパチンッと指を鳴らす良善。
 すると、円の背後にガラスの様に透明な円柱が六本現れた。
 その中には右端から気を失った真弥、千紗、ルーツィア。さらにキョトンとした様子の美紗都と、負傷しているのか苦悶の表情を浮かべ顔色が悪い紗々羅と七緒がそれぞれ円柱の中に収められていた。

 そして、円柱が霧散する様に消えると、六人の身体が地面に降ろされる。
 真弥、千紗、ルーツィアはそのまま倒れ込み、美紗都はルーツィアに助けられた後、和成に手も足も出なかった口惜しさをグッと堪え大人しく自主退避をしている途中で突然の瞬間移動に見舞われたらしく困惑。七緒は顔を歪めて〝Arm's〟が砕けた右肩の辺りに手を置き苦悶の表情で座り込む。
 そんな中、真っ先に声を上げたのは紗々羅だった。

「うぐッ……り、良善さん! 不味いわ! 〝ロータス〟の奴ら、いよいよ自分達の当初の目的さえ見失ってる! もしかしたらあいつらはもう――――」

「今更焦るな、紗々羅嬢。そんなことは当の昔に想定済みだ。それより、私が戻るまで君達はここで待機していなさい。これから始まるのは今の君達には立つ資格の無いステージだ。司にとってもまだ早い。全く……本当はもう少し慣らしてからにしたかったというのに……」

 忌々しげに吐き捨てた良善は、まるで瞬きの合間を縫う様にその場から地面を蹴る音も無く消え去ってしまい、残された者達はしばらく無言の中を過ごす。
 そして……。

「……はぁ、ルーツィアも思いっ切りやられちゃってるわね。とうとう私らも雑魚側か。あ、七緒……傷は大丈夫?」

 自虐的な苦笑を浮かべ、明確に自分やルーツィアが格落ちしたことを認めた紗々羅が肩を押さえ浅い息を吐く七緒を見た。

「は、はい……何とか……」

 〝Arm's〟を部分解除して肩口を露わにする七緒。
 赤黒く染まった痛々しいその患部は何かに殴打されたらしく、素人目にも肩の骨が砕けている様に見受けられた。

「酷い怪我……何か添え木になるモノを! って、紗々羅さんも怪我してるじゃない!」

 曉燕が司を見てくれているので少し落ち着きを取り戻した円が二人に近付く。
 そして、体勢が辛そうな七緒に美紗都も寄り添い介抱する。

「この怪我……天沢にやられたの?」

 元小隊隊長対副隊長の一騎打ち。
 上官ではあるが全体指揮として後衛が本職の七緒と前衛後衛を繋ぐ万能型である奏では、こと一対一で戦うとなれば奏の方に分があり七緒が押し負けるのも仕方ない気がした。
 しかし、実際の所は……。

「えぇ、でも……あれは奏じゃない。正確に言えば。私の知る無駄の無い効率的な戦い方をする奏とは真逆。力任せで強引。『自分が受けたダメージより相手に与えるダメージが多ければ最後には勝てる』みたいな……」

「確かにそんな感じだったわね。私は途中まで様子見してたんだけど、前に一度能力に目覚めたばかりの司様とあの子がやり合っていた時の動きと比べても、間合いの取り方や踏み込みの感覚、何から何まで戦い方が別人だったわ。しかも能力も桁違いに上がってた。恥ずかしいけど『七緒がヤバい』と思って加勢した私もキっツい一発ご馳走されちゃったし……」

 そう言って着物の裾を捲る紗々羅。
 白く細い足を伝い、足袋まで滴る血の出所は真っ赤に染まる太もも。
 その傷口は鋭い攻撃で突き刺されたというよりも鈍器で肉を叩き潰されたといった具合の重傷。
 すでに二人の傷はどちらもナノマシンの自己修復が進んではいるものの、しばらくはまともに動けそうにない状態だった。
 しかし、それ以上に思う所があったのか、突然七緒が堪え切れずに大粒の涙を流し始めた。

「千紗と……同じよ。〝ロータス〟が自分達を正義だと定義するかつての〝Answers,Twelve〟から受けた仕打ち。それを自分達も全く同じ要領で実践してる! 千紗の時はまだ辛うじて理解の余地があった。敵のトップ二人が迫って来ていて、全滅を避けるために致し方無く……最悪な選択だけどまだ辻褄が合ってた。でも今回は明らかに違うッ! どこかで千紗を使って試した過剰強化を奏にも施してこの側流世界にへ送り込んだんのよッ! 千紗は身体がバラバラになってしまいそうなくらい痛いって言ってたけど、私と戦ってる間の奏は狂った様にずっと笑ってた。痛みを感じさせない状態にして強引に戦闘継続力を確保させてるんだわ。よくも……よ、くも……ッ!」

 顔を覆い髪を掴んで悔し涙を流す七緒。
 戦場で決死隊として送り込まれるよりも耐え難いかつての地獄の再来。
 それだけは……それだけは一線を越えてはならないのではないか?
 七緒の震える怨嗟に一応その元の地獄を与えていた側である紗々羅は、配慮する様に少し声のトーンを落として口を開く。

「前に美紗都を助けた時に捕まえた【修正者】の大隊長が言ってたでしょ?〝ロータス〟のナノマシン研究機関〝ハーベスト〟その時ブチギレてた良善さんはその組織の概要をあらかた調べ上げていた。表向きは接収した〝Answers,Twelve〟の関連施設に残る技術を人類のために有効転用するっていう名目で動いてるらしいけど、世界を征服しうる技術の数々にきっと目が眩んじゃったんでしょうね。でも、実際は殆ど上手く再現出来てない。今回の過剰強化も後先考えて使ってるのか怪しいモノだわ」

「……もしかしたら、天沢が自滅するかもってこと?」

 美紗都の眉間に皺が寄る。
 納得出来ない。あの女は司を苦しめた元凶のど真ん中だ。
 そのことを悔い改める前に死ぬなど許せないと思ったが、美紗都のその言葉に七緒の嗚咽がさらに悲痛な呻きに変わり、美紗都はもうそれ以上言葉が続かなかった。

 重苦しい雰囲気。
 だが、良善に待機を命じられてしまった以上、ここにいるメンバー出来ることは何もない。
 とりあえず話は保留。
 動ける美紗都と円は、気を失っているルーツィア、真弥、千紗の休める様に仰向けに整えてやったりと、手持無沙汰を何とか紛らわせる時間が続く。
 しかし、その最中……。

「…………ん?」

 ピクリと肩を跳ねさせ、傷を庇いながら手で身体を引き摺り屋上の端へ向かう紗々羅。

「ち、ちょっと! 何してるのよ、傷が酷くなるって!」

「シッ!」

「むぐッ!?」

 無茶をする紗々羅を抱え止めようとする美紗都。
 しかし、紗々羅はそんな美紗都の口元を手で塞ぎ黙らせる。
 そして、そのまま紗々羅は着物の襟元から小さな漆蓋の手鏡を取り出して、ほんの少し屋上の縁からそれを出して地上を見る。

「……わぁお、誰か跡をつけられてた?」

「え? な、何……?」

 小さな手鏡に一瞬映ったのはこのビルの一階にある正面口。
 そこには、警察か自衛隊か……とにかく明らかに特殊部隊を思わせる十数人の武装した人影が続々とビルの中へ突入していた…………。
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