230 / 454
第三部
第2章〜共鳴せよ! 市立芦宮高校文芸部〜⑨
しおりを挟む
天竹さんの提案で、ふたりづつのペアに別れて各クラブに取材を依頼することに決めたボクたちは、さっそく、まだ校内で活動をしている体育会系の部を中心に、クラブ訪問に向かったんだけど――――――。
まず最初に訪問を始めた運動系のクラブの反応は、望ましいものとは言えなかった。
「あ~、生徒会からLANEのメッセージが来てたヤツか……いまは、忙しいから、ちょっと……」
「あれ? あの連絡が来る前に広報部から黒田が来てなかったっけ? なんか、一年の女子とVtuberの企画をやるって言ってたから、OKしといたよ? キミらは、それとは別件なの?」
ボクと天竹さんが訪問した、硬式野球部、バドミントン部、バスケットボール部の部長たちの反応は、おおむね、このような感じだった。
話しを聞いてくれたバドミントン部の西尾部長には、自分たちが、竜司たちのチームと別の動画を作成するべく活動していること、Vtuberではなく、クラブ紹介風のプロモーションビデオを制作することを伝えたけれど、
「う~ん……感染症が収まって活動も本格化するから、学校の外にも部活をアピールしたいし、せっかく来てくれたとこ悪いんだけど……もう黒田たちと約束しちゃったからなぁ……ゴメンな」
と、丁重に断られてしまった。
ほとんど話しを聞いてもらえなかった野球部やバスケ部に比べると、その対応はソフトだったけど、初日の訪問結果は、クラブ取材に出遅れてしまった、ということを実感させるのに十分なモノだった。
ボクと天竹さんだけでなく、石沢さん、今村さんたちのペアも、結果は、似たようなモノだったらしい――――――。
初日の訪問を終えて、図書室に戻ってくると、他のペアからの報告があった。
「運動系は、どのクラブも、先に黒田くんたちが、話しをしに行ってるみたいだね……」
「どこの部も、同じような話しをして、何しに来たの……? って感じだったよね……」
二年生のふたりが、疲労感を漂わせながら苦笑いを浮かべると、一年生の高瀬さんと井戸川さんは、
「大丈夫でしょうか?」
「このまま、どこのクラブも、私たちの話しを聞いてくれなかったら、どうしよう……」
と、かなり弱気になっている。
そのようすを見た天竹さんは、部の代表者らしく、優しく後輩たちを励ます。
「まだ、1日目が終わっただけでしょう? 今日は、活動時間を考えて、私たちと接点の少ない体育会系の部活を中心に訪問したから……明日は、文化系のクラブを中心に訪問してみよう! きっと、私たちの話しを聞いてくれる部があるハズだから!」
上級生らしく下級生を力づけるような言葉をかける部長さんの姿にボクも共鳴し、
「竜司たちは、ふたりだけの活動だから、まだ、すべてのクラブに訪問できたわけじゃないと思う。明日は、竜司たちに先回りして、ボクたちの話しを聞いてもらおう!」
と、天竹さんに続いて、文芸部のみんなに語りかけた。
部長さんとボクの言葉が、少しは元気づける役に立ったのか、高瀬さんと井戸川さんは、
「はい、そうですね!」
と、穏やかな表情に戻り、笑顔を見せてくれた。
その後、芳しくない初日のクラブ訪問が終わったあと、天竹さんに、
「黄瀬くん、このあと、ちょっと付き合ってもらっても良いですか?」
と、声を掛けられたボクは、彼女とともに吹奏楽部が練習をしている芸術棟の音楽室に向かう。
文化系のクラブで夕方六時を過ぎても練習をしているのは、吹奏楽部くらいしかなく、どうしても、訪問時間は後回しになってしまう。
ただ、今回、音楽教室を訪問するのは、他の部を訪ねた理由とは異なるようだ。
天竹さんは、吹奏楽部の休憩時間を把握しているのか、ボクらが音楽教室を訪ねると、紅野さんたちは、楽器を置いて、入口に近い教室のすみに集まっていた。
「ノア……ちょっと、イイかな?」
天竹さんが声をかけると、ボクたちの同級生より先に、吹奏楽部の副部長である寿先輩が、こちらに気づいて反応する。
「おっ、黄瀬くんと天竹さんじゃない? なに、今から私たちの取材? 練習の邪魔にならなければ、いつでも、大歓迎だよ!」
寿先輩の会話の圧力に少し戸惑いながらも、天竹さんは、親友と上級生に対して、昨日と今日の成果報告を伝えた。
文芸部部長からの報告を聞いたふたりは、
「ふぅん……なるほどね……」
「そっか……葵や黄瀬くん、文芸部のみんなには、迷惑をかけちゃったね……ゴメンね」
と、それぞれの反応を示し、現在の状況が芳しくないことを理解してくれたようだ。
そして、吹奏楽部の副部長であり、生徒会会長でもある先輩は、
「いよいよ、これは吹奏楽部としては、黄瀬くんたちのチームに取材してもらわないと、だね……」
と言って、ニンマリと笑う。
その表情を見ながら、紅野さんは、上級生に釘をさす。
「ちゃんと、早見部長の許可を取ってからにしてくださいね」
「はいはい、わかってるって……」
そう返事をした副部長兼生徒会長は、
「ところでさ……黒田くんと白草さんは、まだうちのクラブに来てないよね?」
と、紅野さんと周りの部員さんたちに確認する。
「はい、まだですね……やっぱり、文化系クラブの取材は、後回しになるんでしょうか?」
紅野さんの声に、「う~ん……どうだろうね~」と答えつつ、寿先輩は、
「それなら、他の部の部長たちにも、PR動画作成に関する訪問があったか聞いておくよ。結果がわかり次第、連絡するから、明日は、まだ黒田くんたちが訪問してなさそうなクラブに行ってみたら?」
と、情報収集に協力する、というありがたい提案をしてくれた。
まず最初に訪問を始めた運動系のクラブの反応は、望ましいものとは言えなかった。
「あ~、生徒会からLANEのメッセージが来てたヤツか……いまは、忙しいから、ちょっと……」
「あれ? あの連絡が来る前に広報部から黒田が来てなかったっけ? なんか、一年の女子とVtuberの企画をやるって言ってたから、OKしといたよ? キミらは、それとは別件なの?」
ボクと天竹さんが訪問した、硬式野球部、バドミントン部、バスケットボール部の部長たちの反応は、おおむね、このような感じだった。
話しを聞いてくれたバドミントン部の西尾部長には、自分たちが、竜司たちのチームと別の動画を作成するべく活動していること、Vtuberではなく、クラブ紹介風のプロモーションビデオを制作することを伝えたけれど、
「う~ん……感染症が収まって活動も本格化するから、学校の外にも部活をアピールしたいし、せっかく来てくれたとこ悪いんだけど……もう黒田たちと約束しちゃったからなぁ……ゴメンな」
と、丁重に断られてしまった。
ほとんど話しを聞いてもらえなかった野球部やバスケ部に比べると、その対応はソフトだったけど、初日の訪問結果は、クラブ取材に出遅れてしまった、ということを実感させるのに十分なモノだった。
ボクと天竹さんだけでなく、石沢さん、今村さんたちのペアも、結果は、似たようなモノだったらしい――――――。
初日の訪問を終えて、図書室に戻ってくると、他のペアからの報告があった。
「運動系は、どのクラブも、先に黒田くんたちが、話しをしに行ってるみたいだね……」
「どこの部も、同じような話しをして、何しに来たの……? って感じだったよね……」
二年生のふたりが、疲労感を漂わせながら苦笑いを浮かべると、一年生の高瀬さんと井戸川さんは、
「大丈夫でしょうか?」
「このまま、どこのクラブも、私たちの話しを聞いてくれなかったら、どうしよう……」
と、かなり弱気になっている。
そのようすを見た天竹さんは、部の代表者らしく、優しく後輩たちを励ます。
「まだ、1日目が終わっただけでしょう? 今日は、活動時間を考えて、私たちと接点の少ない体育会系の部活を中心に訪問したから……明日は、文化系のクラブを中心に訪問してみよう! きっと、私たちの話しを聞いてくれる部があるハズだから!」
上級生らしく下級生を力づけるような言葉をかける部長さんの姿にボクも共鳴し、
「竜司たちは、ふたりだけの活動だから、まだ、すべてのクラブに訪問できたわけじゃないと思う。明日は、竜司たちに先回りして、ボクたちの話しを聞いてもらおう!」
と、天竹さんに続いて、文芸部のみんなに語りかけた。
部長さんとボクの言葉が、少しは元気づける役に立ったのか、高瀬さんと井戸川さんは、
「はい、そうですね!」
と、穏やかな表情に戻り、笑顔を見せてくれた。
その後、芳しくない初日のクラブ訪問が終わったあと、天竹さんに、
「黄瀬くん、このあと、ちょっと付き合ってもらっても良いですか?」
と、声を掛けられたボクは、彼女とともに吹奏楽部が練習をしている芸術棟の音楽室に向かう。
文化系のクラブで夕方六時を過ぎても練習をしているのは、吹奏楽部くらいしかなく、どうしても、訪問時間は後回しになってしまう。
ただ、今回、音楽教室を訪問するのは、他の部を訪ねた理由とは異なるようだ。
天竹さんは、吹奏楽部の休憩時間を把握しているのか、ボクらが音楽教室を訪ねると、紅野さんたちは、楽器を置いて、入口に近い教室のすみに集まっていた。
「ノア……ちょっと、イイかな?」
天竹さんが声をかけると、ボクたちの同級生より先に、吹奏楽部の副部長である寿先輩が、こちらに気づいて反応する。
「おっ、黄瀬くんと天竹さんじゃない? なに、今から私たちの取材? 練習の邪魔にならなければ、いつでも、大歓迎だよ!」
寿先輩の会話の圧力に少し戸惑いながらも、天竹さんは、親友と上級生に対して、昨日と今日の成果報告を伝えた。
文芸部部長からの報告を聞いたふたりは、
「ふぅん……なるほどね……」
「そっか……葵や黄瀬くん、文芸部のみんなには、迷惑をかけちゃったね……ゴメンね」
と、それぞれの反応を示し、現在の状況が芳しくないことを理解してくれたようだ。
そして、吹奏楽部の副部長であり、生徒会会長でもある先輩は、
「いよいよ、これは吹奏楽部としては、黄瀬くんたちのチームに取材してもらわないと、だね……」
と言って、ニンマリと笑う。
その表情を見ながら、紅野さんは、上級生に釘をさす。
「ちゃんと、早見部長の許可を取ってからにしてくださいね」
「はいはい、わかってるって……」
そう返事をした副部長兼生徒会長は、
「ところでさ……黒田くんと白草さんは、まだうちのクラブに来てないよね?」
と、紅野さんと周りの部員さんたちに確認する。
「はい、まだですね……やっぱり、文化系クラブの取材は、後回しになるんでしょうか?」
紅野さんの声に、「う~ん……どうだろうね~」と答えつつ、寿先輩は、
「それなら、他の部の部長たちにも、PR動画作成に関する訪問があったか聞いておくよ。結果がわかり次第、連絡するから、明日は、まだ黒田くんたちが訪問してなさそうなクラブに行ってみたら?」
と、情報収集に協力する、というありがたい提案をしてくれた。
0
あなたにおすすめの小説
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話
頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。
綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。
だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。
中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。
とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。
高嶺の花。
そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。
だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。
しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。
それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。
他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。
存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。
両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。
拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。
そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。
それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。
イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。
付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる