初恋♡リベンジャーズ

遊馬友仁

文字の大きさ
166 / 454
第二部

第3章〜カワイくてゴメン〜④

しおりを挟む
 おそるおそる、たずねるワタシに、鳳花部長は、

「う~ん、そうねぇ……」

と、指をほおに当てて、思わせぶりに考えるふりをしたあと、

「大丈夫! 心配しなくても合格よ!」

ニコリと微笑んで、安心させるように、ワタシに歩み寄り、軽く肩に触れてくれた。

「だから、大丈夫だって言っただろ、佐倉なら……」

 ワタシたちのようすを眺めながら、黒田センパイが口を挟む。
 実際、前日から、今日のことを考えて、緊張していたワタシに、

「心配すんな、佐倉なら余裕だよ」

と、声をかけてくれていたのは、事実だが……。

「あなたは、佐倉さんを見習って、もう少し、緊張感を持ってね、黒田くん……」

 表情を変えないまま、クギを差す最上級生の言葉にも、「りょ~かいです」と、軽く返事をしつつ、

「でも、佐倉以上に、しゃべれるヤツを見つけて来る方が難しいッスよ?」

黒田センパイは、当然だろう、と言うように言い切った。
 またも、不意打ちでワタシを持ち上げるセンパイの言葉に、急に恥ずかしさを覚えながら、その感情を誤魔化すように、

「あ、あの、部長……! ここをこうすれば、もっと良くなるとか、なにかアドバイスがあれば、お願いします!」

と、鳳花センパイにたずねると、彼女は、またも、

「う~ん、そうねぇ……」

と、言いながら、小首をかしげると、

「佐倉さんには、その可愛らしさを活かして、女子から人気を得られるようにしてほしいな」

と、笑顔で言い切った。

「女子からの人気、ですか……」

 技術的なことや心構えのようなことではなく、リスナーとして、ターゲットとするべき生徒を提示されたワタシは、戸惑いつつ、「わかりました……がんばってみます」と答える。
 そんなワタシたちの会話を聞きながら、黒田センパイが、割り込んできた。

「センパイ、オレは!? オレも、やっぱり女子から人気を得られるようにすべきッスか?」

 満面の笑みで語りながら、空気を読まずに発せられた言葉に、鳳花センパイは、あきれつつ、

「あのね、黒田くん……私が、あなたに女子ウケを期待してると思ってるの? 黒田くんは、男性から支持されているラジオ・パーソナリティーを研究して、クラスの冴えない男子たちを取り込む方法を考えてくれる?」

と、アドバイスを送る。

「ちょ……マジっすか!?」

 すぐに反応する黒田センパイの言葉を笑って聞きながら、黄瀬センパイも、ワタシたちの
いるブースに入ってくる。

「それなら、竜司の得意分野だから大丈夫だよね!」

「そうそう! 自分も含めて、周りには冴えない非モテの男子ばかりだからな…………って、なんでやねん!? さすがに、オレの周りの連中も、『冴えない男子』なんて名指しされたら、普通にキレるわ!」

「でもね、黒田くん……周りの意見に流されがちな女子や陽キャラの男子と違って、『自分は周りに流されないぜ』って思ってる、インセル……もとい、陰キャラ男子の支持を得ておくことは、大事なことよ? インターネット上で人気のコンテンツなんて、すべて、この法則に当てはまってるから……」

「スゲェ偏見だ……」

「――――――と、いう訳で、黒田くんに女子ウケが期待できない以上、女子から支持を得られるかは、佐倉さんに掛かっているわ。ヨロシクね」

 あくまで淡々と自身の見解を述べる鳳花センパイと小気味よく返答する二人のセンパイ男子の会話に、可笑しさをこらえていると、黒田センパイが、ワタシに声をかけてきた。

「まあ、部長の方針はともかくとして、二人で放送をやっていくんだ……佐倉、あらためて、ヨロシクな! 困ったことがあったら、なんでも相談してくれよ」

「こちらこそ、ヨロシクお願いします! ワタシは、女子に受け入れてもらえるようにがんばりますから……センパイも、『冴えない男子』の皆さんから人気が出るように、がんばってくださいね!」

 こちらの返答に、黒田センパイは、「そこは、がんばりたくね~」と、ボヤく。
 そんなワタシたちの会話の一方で、黄瀬センパイは、鳳花センパイに気になることをたずねていた。

「ところで、部長……放送番組のタイトル、このままで良いんですか? いまのままだと、有名アイドルグループと名前が被ってません?」

 ここで、責任者である鳳花部長は、またまた、何かを思案するような仕草をする。

「う~ん、たしかにそうね~。でも、出演者である佐倉さんと黒田くんの名前にあやかったタイトルは、捨てがたいし……」

 そう言って、彼女は、少しの間、慎重に考えを巡らせるように沈黙したあと、パチンと手を叩いて、

「ここは、あのアイドルグループに配慮して、ひらがな、カタカナを入れ替えましょう!」

と、宣言した。
 そんな彼女の一存により、ワタシたちの担当する放送番組名は、

『モモくろ・ミュージック・カウントダウン』

に決定した。
 放課後になってすぐに、ムダな時間を過ごさなければならなくなったが、こうして、頼りになるセンパイたちと楽しい時間を過ごすことができている中学校での新しい生活に、小学生の時にはなかった充実感を感じる。
 けれど、四月中に、「放送部制作の番組に出演する」という自分の想いが叶えられたことに、満足していたワタシは、このあと、自分が巻き込まれるトラブルに対して、注意を払うことができていなかった――――――。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

処理中です...