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夏の海

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 俺と千夏がゲートの中に入ると、そこは常夏の砂浜だった。

「わぁ...! 海ですよ! 先輩!」

「そうだな。...海か」

 俺は眩しいくらい綺麗な海を見ていると真菜と初めて行ったゲート攻略の事を思い出した。

(...あの時もこんな感じだったな)

 まだまだ力のない時だったが、俺はあの時も割と充実していたと思う。

「じゃあ早速ゲートの攻略に向かいましょう!」

「そうだな」

 そう言いながら俺と千夏は砂浜を歩き始める。

 ザッザッザッ...。

 程よい砂を蹴る音と心地よい砂浜のにおいがやっぱり懐かしい...。

 途中に出てくる敵も雑魚ばかりだし、今更感のあるやつばかりなのが凄く良い。

 なんて言うのかな、例えるのなら子供の頃昔やったゲームを今になってもう一度やるくらいの感じだろう。

「なんだか昔やったゲームに似てますね先輩」

「...?」

 俺は彼女の言っている事がよくわからない。

「お前とゲームをやったことなんてないぞ?」

「...でしょうね」

 そこで一旦会話が途切れてしばらく歩き続ける。

 ゲートからだいぶ離れた場所にやってきた辺りで彼女はこんな事を言い出した。

「...この辺でいいかな?」

「千夏? お前さっきから何を言っている?」

 先ほどから会話がうまく成立していない気がする。

 そう思った時だった。

「まだ思い出さない?」

「...?」

「和希と一緒に居られない現実よりも和希と一緒に居られる異世界を私は選ぶよ」

 彼女はそう呟くと見知らぬ緑髪の少女へと姿を変えるのだった。
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