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襲撃者

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「もうやめてください! それでも看守なんですか!?」

「何だこのガキ..!」

 ケロ次郎の発言にブーヤンがキレる。

「調子に乗るなよ!? ガキが!!!」

 看守長の暴力によって今度はケロ次郎が痛めつけられる!

 血を吐きながら口論を続ける彼にブーヤンの怒りがヒートアップしていく。

「ここでは俺たち人間様が正義なんだよ!!!」

 腕力に物を言わせてくるこいつに正義はないだろう。

「こ...こいつ!!!」

「何だその目は? さっさと諦めろ! お前達は一生ここで俺たちに玩具にされる弱い存在なんだよ!」

 彼がそこまで言い切ると突然監獄に火の手が上がる!

「何だ!?」

「なんの騒ぎだ!?」

 怒りを露わにするブーヤンに伝令が入る。

「ブーヤン様!」

「なんだ!?」

「大変です! このアイシア刑務所に襲撃者が入りました!」

「数は!?」

「それが...、1

「1人? 笑わせるな! さっさと取り押さえろ」

 ブーヤンがそう言いながら部下を下がらせようとしていると、部下が大きな声でこう言いました。

「1人なのですが、とんでもなくロリ美少女の魔族でブーヤン様のお気に召すかと...」

「ほう? それはそれは...」

 じゅるりと舌舐めずりをするブーヤンは本当に気持ち悪い。

「おい、アリカ」

「な...なんだよ!」

「お前、今すぐ俺の椅子になれ」

「はっ!? 冗談だろ!?」

(俺がブーヤンの椅子になれって!? 無理に決まっているだろう!)

 どう考えても肥満体の体を俺の華奢な体で支える事なんて出来るわけがない。

 それなのに80~100キロはあるであろう巨体が40キロあるか無いかの俺にのしかかる!

「よっこらしょっと」

「ぐぬぬ!!!」

 彼が四つん這いの俺の上に乗った瞬間から凄まじい重量がかかる!

 一瞬にして崩壊しそうになるのを気力で耐える!

 全身から乳酸が抜けて行く!

 まずい! 絶対に持たない!

「ほらほらアリカ~! がんばれがんばれ!!!」

 パンっ! パンッ!

 いきなり尻を叩いてくるブーヤンには怒りが込み上げる!

「馬鹿っ! やめろ!! 崩れちまう!!!」

「崩れたら妹に命はないと思え」

「ぐぬぬ...」

 そう言われると頑張るしか無い!

 俺が再び力を入れた瞬間だった。

「あらら~? ここの看守さんはここにいますか~?」

 可愛らしいロリのボイスが聞こえてきたのは。
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