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第二十五章 兄弟と兄妹
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この奇妙な関係――
兄クロードが病み上がりの妹ティルファを気遣ってのことなのか?
いや、それにしてもちょっと異常な感じ……。
あまり近しすぎる兄妹愛を見て、僕があっけに取られていると、クロードがアリスに横から声をかけた。
「アリス様――たいへん失礼ながら、私と、妹のティルファからぜひユウト君に御礼を申し上げたいのですが」
「おお! そうだったな!」
と、アリスが笑って答える。
「なにしろユウトはティルファの命の恩人だからな。あのひどい傷は、たぶんユウトの魔法でしか治せなかっただろう」
「それだけではありません。ユウト殿は亡き父の――ヴィクトル将軍の形見を戦場から持ち返ってくれました」
ティルファがうやうやしく手を差し出し、こぶしを開いた。
「このおかげで、どれだけ私の気持ちが救われたか」
ティルファの手のひらの上には、魔女ヒルダによってアンデッド化したヴィクトル将軍が、僕に残していったマント止めがあった。
「しかもお兄様をこの城に連れて帰ってきてくれるなんて」
ティルファはクロードにギュッと肩を寄せ、腕を組んだ。
「本当に感謝のしようがありません」
「はあ……。でも、傷の手当はともかく、クロード様に会ったのはたまたまのことで……」
「いやいや、ユウト君は二度も妹を助けてくれたことは間違いはありませんよ」
と、クロードが僕の手をいきなりつかんで何度も振った。
「ありがとう! 本当にありがとう! ご恩は忘れません。このお礼はいつか必ず返します」
「そんな大げさな。お礼なんていいですよ」
「ああ、そうだ! ユウト君はレーモン殿の足を治した『リペア』の魔法を教えて欲しいと言っていましたね。まずはその約束を果たしましょう。今日の午後にでもどうでしょうか?」
兄クロードが病み上がりの妹ティルファを気遣ってのことなのか?
いや、それにしてもちょっと異常な感じ……。
あまり近しすぎる兄妹愛を見て、僕があっけに取られていると、クロードがアリスに横から声をかけた。
「アリス様――たいへん失礼ながら、私と、妹のティルファからぜひユウト君に御礼を申し上げたいのですが」
「おお! そうだったな!」
と、アリスが笑って答える。
「なにしろユウトはティルファの命の恩人だからな。あのひどい傷は、たぶんユウトの魔法でしか治せなかっただろう」
「それだけではありません。ユウト殿は亡き父の――ヴィクトル将軍の形見を戦場から持ち返ってくれました」
ティルファがうやうやしく手を差し出し、こぶしを開いた。
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「しかもお兄様をこの城に連れて帰ってきてくれるなんて」
ティルファはクロードにギュッと肩を寄せ、腕を組んだ。
「本当に感謝のしようがありません」
「はあ……。でも、傷の手当はともかく、クロード様に会ったのはたまたまのことで……」
「いやいや、ユウト君は二度も妹を助けてくれたことは間違いはありませんよ」
と、クロードが僕の手をいきなりつかんで何度も振った。
「ありがとう! 本当にありがとう! ご恩は忘れません。このお礼はいつか必ず返します」
「そんな大げさな。お礼なんていいですよ」
「ああ、そうだ! ユウト君はレーモン殿の足を治した『リペア』の魔法を教えて欲しいと言っていましたね。まずはその約束を果たしましょう。今日の午後にでもどうでしょうか?」
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