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第二十二章 無敵形態

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「やったわね、ユウちゃん! なかなかすごい魔法だったわ! アタシ感心しちゃった」

 戻ってきた僕たちに男爵が声をかけてくれた。
 それから男爵は、横で待機しているリューゴと王の騎士団キングスナイツの面々に向かって言った。

「さあ、バトンタッチよ! 次はあなたたちの出番! 作戦の成功と無事を祈っているわ!」

「お任せ下さい! みんな行《ゆ》くぞ!」
 
 リューゴは兜のバイザーを下ろすと、勇ましく号令をかけ王の騎士団キングスナイツの先頭に立って馬を出発させた。
 その後方に三十数騎の竜騎士たちが続く。

 が、敵は1500という圧倒的多数。
 しかも視界不良の霧の中だ。
 いくら敵を倒すことが目的でないとはいえ、本当に彼らは大丈夫なのだろうか――?

 不安を感じつつ、突進する王の騎士団キングスナイツ見守っていると、霧の中に入る直前にリューゴが叫んだ。


『無敵形態《インヴィンシブルモード》!!』


 すると驚いたことに、リューゴの全身から突如黄金の火柱が上がった。
 その火柱はまばゆいばかりに光り輝き、オーラとなって王の騎士団キングスナイツ全体を燃え上がらせるように包み込んだ。

 あれは、もしかして――

 いや、間違いなく、無敵形態インヴィンシブルモード……。
 ごくごく短時の間、無敵となるルール違反な禁じ手。
 
 僕の遊んでいたオンラインRPGアナザーデスティニーに一度は実装されたが、強すぎてすぐに廃止された究極のスキル。
 それが今、現実のものとなって目の前で展開されるとは、ただ驚愕するしかない。

 そして分かった。
 このスキルを持つからこそ、リューゴをしてロードラント王国最強の竜騎士と言わしめる所以ゆえんなのだと。

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