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第二十一章 最強の竜騎士 その名は……
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「こうやって並んで走っていると、どうしてもあの頃のことを思い出しちゃうわ。ねぇマティアス、あなたもそう思うでしょう?」
すこぶる機嫌のいいグリモ男爵は、馬を飛ばしながらもマティアスにちょくちょく話しかける。
が、マティアスは普段通りの無愛想さで「ああ……」「そうだな……」などと、一言二言返事をするのみだ。
「んもう! あなたってホント昔とちっとも変ってないのね。本当は熱いハートを持っているのにいっつも自分を押し殺しちゃって。下手すりゃただの冷たい漢《おとこ》だって世間様に誤解されちゃうわよ! ――ねえ、ちょっとユウちゃん!」
男爵は元カレのそっけない態度に次第にプンプンし始め、僕に八つ当たりを始めた。
「ユウちゃんまでなあに、その浮かない顔! そんなんことじゃ勝利の女神にもスタコラ逃げられちゃうわよ。んーまったく、戦いが始まる前からこれじゃあ先が思いやられるわね」
「……そんな無茶言わないでくださいよ。この状況で明るく振る舞えって方が無理です」
「だとしても、さっきより顔の深刻度が増しているのはどういうこと? あ、もしかして、今しがた通り過ぎた森の中ことが気になっているのかしら」
「ええ、その通りです。なにしろそこにあるはずのものがなかったんですから。また新たな心配の種です」
そこにあるはずのもの――
それは森の中に放置してきた、ヒルダとシャノンに殺られた竜騎士の遺体のことだ。
戦いがあったのは昨日の夕方なのだから、当然そこにそのままの状態で残されていなければおかしい。
なのに遺体は森の中から影も形もなく消滅していたのだ。
「つまり僕たちが去った後で誰かが回収したんでしょうが――おそらくヒルダの仕業かと思います。再び遺体をアンデッドとして利用するために……」
「それはアタシにもわからないわ。けどさ、そのヒルダって魔女はユウちゃんのおかげで魔力を全部なくしちゃったんでしょ?」
「はい、それは確かですけど」
「じゃあそんなに不安がることはないわよ。そのいけすかない女、魔法を使った悪さが当分できないんだから」
グリモ男爵はあくまで楽観的だ。
実際にヒルダという女を見ていないから、その恐ろしさが分からないのも無理はないが……。
すこぶる機嫌のいいグリモ男爵は、馬を飛ばしながらもマティアスにちょくちょく話しかける。
が、マティアスは普段通りの無愛想さで「ああ……」「そうだな……」などと、一言二言返事をするのみだ。
「んもう! あなたってホント昔とちっとも変ってないのね。本当は熱いハートを持っているのにいっつも自分を押し殺しちゃって。下手すりゃただの冷たい漢《おとこ》だって世間様に誤解されちゃうわよ! ――ねえ、ちょっとユウちゃん!」
男爵は元カレのそっけない態度に次第にプンプンし始め、僕に八つ当たりを始めた。
「ユウちゃんまでなあに、その浮かない顔! そんなんことじゃ勝利の女神にもスタコラ逃げられちゃうわよ。んーまったく、戦いが始まる前からこれじゃあ先が思いやられるわね」
「……そんな無茶言わないでくださいよ。この状況で明るく振る舞えって方が無理です」
「だとしても、さっきより顔の深刻度が増しているのはどういうこと? あ、もしかして、今しがた通り過ぎた森の中ことが気になっているのかしら」
「ええ、その通りです。なにしろそこにあるはずのものがなかったんですから。また新たな心配の種です」
そこにあるはずのもの――
それは森の中に放置してきた、ヒルダとシャノンに殺られた竜騎士の遺体のことだ。
戦いがあったのは昨日の夕方なのだから、当然そこにそのままの状態で残されていなければおかしい。
なのに遺体は森の中から影も形もなく消滅していたのだ。
「つまり僕たちが去った後で誰かが回収したんでしょうが――おそらくヒルダの仕業かと思います。再び遺体をアンデッドとして利用するために……」
「それはアタシにもわからないわ。けどさ、そのヒルダって魔女はユウちゃんのおかげで魔力を全部なくしちゃったんでしょ?」
「はい、それは確かですけど」
「じゃあそんなに不安がることはないわよ。そのいけすかない女、魔法を使った悪さが当分できないんだから」
グリモ男爵はあくまで楽観的だ。
実際にヒルダという女を見ていないから、その恐ろしさが分からないのも無理はないが……。
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