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第十五章 信条と約定

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 素知らぬ顔をするシャノンを見て、ローブの魔女=ヒルダはますます激昂した。

「子供だと!? そいつのどこが子供だというのだ? どこからどう見てもロードラントの正規兵ではないか! 当然覚悟はできているはずであろう! さあ、早く殺せ!」

「その子が兵士であろうが王女の護衛であろうが、そんなこと関係ないわ」
 と、シャノンは首を振る。
「私から見れば彼はまだ幼い。ただそれだけのこと」

「シャノン、キサマ……」
 ヒルダの声は怒りのあまり裏返っている。
「多少腕が立つからといっていい気になるなよ。自分が金で雇われた番犬だということを忘れるな!」

「へえ、今度は私を番犬呼ばわりするの。ずいぶんと失礼ね、ヒルダ」

「黙れ! 犬が主人の命令に背けばどうなるか、わかっているな!」

「いいえ、ちっともわからない」
 ヒルダの脅しにも、シャノンは顔色一つ変えない。
「確かに私はお金で動く傭兵だけど、だからこそ逆に自由。まあこの状況を一人で乗り切れる自信があるのならさっさと契約を切ってくれていいのよ」

「クソがっ!」
 ヒルダは口汚く罵り続ける。
「ハイオークといいキサマといいまったく使えんヤツラばかりだ! どいつもこいつもロクに言うことを聞かず、その上仕事はいい加減ときている!」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ハイオーク……!?
 僕はヒルダのその言葉を聞いて驚いた。

 それってつまり、ハイオークを使ってロードラント軍を攻めさせたのは、この女――魔女ヒルダだということなのか?
 ということはやっぱり彼女はイーザの一員?

 でも、それならなぜヒルダは昼間の戦いに参加しなかったのだろう? 
 彼女の闇魔法があれば、ロードラント軍はもっと早く壊滅していたに違いないし、僕たちが戦場から逃げ出す余裕もなかったかもしれない。

 それをしないで、こんな辺鄙へんぴな場所で残党狩りをしているなんておかしな話だ。
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