7 / 10
7 朝から大変ですわ
しおりを挟む
「お姉様が悪いのです!!」
発表会の翌日、寮から出たわたくしを待ち構え、面と向かって開口一番発したベティーナの言葉。
甲高く、不快なものですわね。
「爽やかな朝を台無しにしないでほしいものね、ベティーナ」
いつもギリギリに殿下と登園していると聞いていましたから、油断しましたわ。
わたくしは早めにクラスに入りますから、随分と早起きをしたのでしょうね。
殿下がいらっしゃらないという事は、突発的な行動なのかしら?
でもこれだけ元気だと、仮病確定ですわ。
周りには学舎に向かう寮生が多くいらっしゃいますのに、全く気にしていないのは、ベティーナらしいですわね。
わたくしを睨みつけても、何もありませんわよ。
「お姉様が悪い!お姉様が悪い!お姉様が悪いのですわー!!」
ぽろぽろと涙を流しながら、叫ぶだけ叫んでおります。
まるで駄々をこねる子供ですわね。
わたくしは、そんなベティーナの横を素知らぬ顔で通り過ぎました。
「……ふぇ?」
構ってもらえると思ったのでしょうか。
わたくしの予想外の行動に、見ていなくで間の抜けた顔をしているベティーナが浮かびます。
「ちょ、ちょっと!なんで無視するのよ!!」
話す必要がないからかしら、と心で思いながらスタスタ歩きます。
「こういう時は、悪かったって認めるものでしょう!」
スタスタスタ、ですわ。
「ちょっと~待ちなさいよ!」
尖ったきつい声になってますわね。
少し引き離したからでしょうか。
わたくしの方が身長が高いですし、歩幅も体力もありますから。
それにしても、涙は何処へいったのでしょう。
もう少しで学舎に入る辺りで、憂鬱になる聞きたくもない声が後ろから響いてきました。
寮生だけではなく、登園の生徒も増えたいたところ。
殿下も何時もより早くの登園なのですね。
ベティーナが屋敷にいなかったから、急いだのかしら?
「ベティーナ、ダメじゃないか?病み上がりなんだから。昨日はあんなに辛そうだったのに、無理してこんなに早く……」
ベルンハルト殿下登場で、益々注目されておりますわね。
そして殿下、今のベティーナを見て誰も病み上がりなんて思っておりませんわよ。
「アンゲリータ、君がベティーナを呼び出したのか。病み上がりの妹になんて酷いことをするんだ」
「殿下~、辛いですぅ~」
わたくしに追い付こうと必死でしたものね。
「そうだろう、酷いことをされたね。もう大丈夫、俺がいるからな!」
「ハルト殿下~、ベティ嬉しいです」
「ベティ!!」
ひしっと抱き合う二人。
お互い愛称呼びですか、そうですか……
盛り上がるのは結構ですが、二人共周りを見ましょうね。
「あっ、寸劇が始まった」
そこの彼、そういう事は胸の内にしまっておいてくださいまし。
これから強制参加のわたくしは大変なのです。
発表会の翌日、寮から出たわたくしを待ち構え、面と向かって開口一番発したベティーナの言葉。
甲高く、不快なものですわね。
「爽やかな朝を台無しにしないでほしいものね、ベティーナ」
いつもギリギリに殿下と登園していると聞いていましたから、油断しましたわ。
わたくしは早めにクラスに入りますから、随分と早起きをしたのでしょうね。
殿下がいらっしゃらないという事は、突発的な行動なのかしら?
でもこれだけ元気だと、仮病確定ですわ。
周りには学舎に向かう寮生が多くいらっしゃいますのに、全く気にしていないのは、ベティーナらしいですわね。
わたくしを睨みつけても、何もありませんわよ。
「お姉様が悪い!お姉様が悪い!お姉様が悪いのですわー!!」
ぽろぽろと涙を流しながら、叫ぶだけ叫んでおります。
まるで駄々をこねる子供ですわね。
わたくしは、そんなベティーナの横を素知らぬ顔で通り過ぎました。
「……ふぇ?」
構ってもらえると思ったのでしょうか。
わたくしの予想外の行動に、見ていなくで間の抜けた顔をしているベティーナが浮かびます。
「ちょ、ちょっと!なんで無視するのよ!!」
話す必要がないからかしら、と心で思いながらスタスタ歩きます。
「こういう時は、悪かったって認めるものでしょう!」
スタスタスタ、ですわ。
「ちょっと~待ちなさいよ!」
尖ったきつい声になってますわね。
少し引き離したからでしょうか。
わたくしの方が身長が高いですし、歩幅も体力もありますから。
それにしても、涙は何処へいったのでしょう。
もう少しで学舎に入る辺りで、憂鬱になる聞きたくもない声が後ろから響いてきました。
寮生だけではなく、登園の生徒も増えたいたところ。
殿下も何時もより早くの登園なのですね。
ベティーナが屋敷にいなかったから、急いだのかしら?
「ベティーナ、ダメじゃないか?病み上がりなんだから。昨日はあんなに辛そうだったのに、無理してこんなに早く……」
ベルンハルト殿下登場で、益々注目されておりますわね。
そして殿下、今のベティーナを見て誰も病み上がりなんて思っておりませんわよ。
「アンゲリータ、君がベティーナを呼び出したのか。病み上がりの妹になんて酷いことをするんだ」
「殿下~、辛いですぅ~」
わたくしに追い付こうと必死でしたものね。
「そうだろう、酷いことをされたね。もう大丈夫、俺がいるからな!」
「ハルト殿下~、ベティ嬉しいです」
「ベティ!!」
ひしっと抱き合う二人。
お互い愛称呼びですか、そうですか……
盛り上がるのは結構ですが、二人共周りを見ましょうね。
「あっ、寸劇が始まった」
そこの彼、そういう事は胸の内にしまっておいてくださいまし。
これから強制参加のわたくしは大変なのです。
25
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説
元婚約者は入れ替わった姉を罵倒していたことを知りません
ルイス
恋愛
有名な貴族学院の卒業パーティーで婚約破棄をされたのは、伯爵令嬢のミシェル・ロートレックだ。
婚約破棄をした相手は侯爵令息のディアス・カンタールだ。ディアスは別の女性と婚約するからと言う身勝手な理由で婚約破棄を言い渡したのだった。
その後、ミシェルは双子の姉であるシリアに全てを話すことになる。
怒りを覚えたシリアはミシェルに自分と入れ替わってディアスに近づく作戦を打ち明けるのだった。
さて……ディアスは出会った彼女を妹のミシェルと間違えてしまい、罵倒三昧になるのだがシリアは王子殿下と婚約している事実を彼は知らなかった……。
婚約者様は連れ子の妹に夢中なようなので別れる事にした。〜連れ子とは知らなかったと言い訳をされましても〜
おしゃれスナイプ
恋愛
事あるごとに婚約者の実家に金の無心をしてくる碌でなし。それが、侯爵令嬢アルカ・ハヴェルの婚約者であるドルク・メルアを正しくあらわす言葉であった。
落ち目の危機に瀕しているメルア侯爵家であったが、これまでの付き合いから見捨てられなかった父が縁談を纏めてしまったのが全ての始まり。
しかし、ある日転機が訪れる。
アルカの父の再婚相手の連れ子、妹にあたるユーミスがドルクの婚約者の地位をアルカから奪おうと試みたのだ。
そして、ドルクもアルカではなく、過剰に持ち上げ、常にご機嫌を取るユーミスを気に入ってゆき、果てにはアルカへ婚約の破談を突きつけてしまう事になる。
お願いだから私のことを捨ててください
上野佐栁
恋愛
主人公はこの国の皇帝の伴侶として迎え入れられるはずだった。だけど、宮殿に向かう道中で実の父親に殺されて人生を終わらせる。これで終わりだと思った。たが、なんと四歳まで時を遡る。それまでのことを思い返し死の運命を回避するために父親から捨てられるような娘になろうとする物語。
酷い扱いを受けていたと気付いたので黙って家を出たら、家族が大変なことになったみたいです
柚木ゆず
恋愛
――わたしは、家族に尽くすために生まれてきた存在――。
子爵家の次女ベネディクトは幼い頃から家族にそう思い込まされていて、父と母と姉の幸せのために身を削る日々を送っていました。
ですがひょんなことからベネディクトは『思い込まれている』と気付き、こんな場所に居てはいけないとコッソリお屋敷を去りました。
それによって、ベネディクトは幸せな人生を歩み始めることになり――反対に3人は、不幸に満ちた人生を歩み始めることとなるのでした。
これでも全属性持ちのチートですが、兄弟からお前など不要だと言われたので冒険者になります。
りまり
恋愛
私の名前はエルムと言います。
伯爵家の長女なのですが……家はかなり落ちぶれています。
それを私が持ち直すのに頑張り、贅沢できるまでになったのに私はいらないから出て行けと言われたので出ていきます。
でも知りませんよ。
私がいるからこの贅沢ができるんですからね!!!!!!
穀潰しの無能は家から出ていけ?いや、この家の収入は全て私が稼いでいるんですけど?
水垣するめ
恋愛
私の名前はサラ・ウィルキンソン。伯爵令嬢だ。
私には両親と二人の兄がいる。
家族四人の仲はとても良かった。
しかし四人とも、私のことを嫌っていた。
ある日のこと。
私はいつも通り部屋で用事をこなしていた。
すると突然、部屋の扉が開かれた。
そして家族四人がゾロゾロと部屋へ入ってくる。
「サラ、無能なお前を家から追放する」
「……は?」
私は何を言われたのか分からなかった。
何故私が追放されなければならないのだろう。
「お前のような穀潰しは家に置くだけでも気分が悪くなるからな。害虫駆除だ、さっさと出ていけ」
「……本当にいいんですね?」
私はため息を吐きながら確認した。
「もちろん。お前なんかいても邪魔なだけだからな」
ジェームズがその太った腹をさすりながら答える。
私はそこで、完全にこの家族を見捨てることにした。
「そうですか。それでは私は失礼します」
私は椅子から立ち上がり、颯爽と部屋から出ていった。
四人はあっさりとしたその様子に唖然としていた。
もしかして私が醜く「追い出さないで!」と懇願すると思ったのだろうか。
まさか。
そんなことをする訳がない。
なぜなら。
私はこの家の財産。
当主の座。
土地。
商会。
その全てを所有しているからだ。
「私を追い出すなら、覚悟しておいてくださいね?」
家柄が悪いから婚約破棄? 辺境伯の娘だから芋臭い? 私を溺愛している騎士とお父様が怒りますよ?
西東友一
恋愛
ウォーリー辺境伯の娘ミシェルはとても優れた聖女だった。その噂がレオナルド王子の耳に入り、婚約することになった。遠路はるばる王都についてみれば、レオナルド王子から婚約破棄を言い渡されました。どうやら、王都にいる貴族たちから色々吹き込まれたみたいです。仕舞いにはそんな令嬢たちから「芋臭い」なんて言われてしまいました。
連れてきた護衛のアーサーが今にも剣を抜きそうになっていましたけれど、そんなことをしたらアーサーが処刑されてしまうので、私は買い物をして田舎に帰ることを決めました。
★★
恋愛小説コンテストに出す予定です。
タイトル含め、修正する可能性があります。
ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いいたします。
ネタバレ含むんですが、設定の順番をかえさせていただきました。設定にしおりをしてくださった200名を超える皆様、本当にごめんなさい。お手数おかけしますが、引き続きお読みください。
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる