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7 朝から大変ですわ

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「お姉様が悪いのです!!」

 発表会の翌日、寮から出たわたくしを待ち構え、面と向かって開口一番発したベティーナの言葉。
 甲高く、不快なものですわね。

「爽やかな朝を台無しにしないでほしいものね、ベティーナ」

 いつもギリギリに殿登園していると聞いていましたから、油断しましたわ。
 わたくしは早めにクラスに入りますから、随分と早起きをしたのでしょうね。

 殿下がいらっしゃらないという事は、突発的な行動なのかしら?

 でもこれだけ元気だと、仮病確定ですわ。
 周りには学舎に向かう寮生が多くいらっしゃいますのに、全く気にしていないのは、ベティーナらしいですわね。

 わたくしを睨みつけても、何もありませんわよ。

「お姉様が悪い!お姉様が悪い!お姉様が悪いのですわー!!」

 ぽろぽろと涙を流しながら、叫ぶだけ叫んでおります。

 まるで駄々をこねる子供ですわね。

 わたくしは、そんなベティーナの横を素知らぬ顔で通り過ぎました。


「……ふぇ?」

 構ってもらえると思ったのでしょうか。
 わたくしの予想外の行動に、見ていなくで間の抜けた顔をしているベティーナが浮かびます。

「ちょ、ちょっと!なんで無視するのよ!!」

 話す必要がないからかしら、と心で思いながらスタスタ歩きます。

「こういう時は、悪かったって認めるものでしょう!」

 スタスタスタ、ですわ。

「ちょっと~待ちなさいよ!」

 尖ったきつい声になってますわね。
 少し引き離したからでしょうか。

 わたくしの方が身長が高いですし、歩幅も体力もありますから。
 それにしても、涙は何処へいったのでしょう。



 もう少しで学舎に入る辺りで、憂鬱になる聞きたくもない声が後ろから響いてきました。

 寮生だけではなく、登園の生徒も増えたいたところ。
 殿下も何時もより早くの登園なのですね。

 ベティーナが屋敷にいなかったから、急いだのかしら?

「ベティーナ、ダメじゃないか?病み上がりなんだから。昨日はあんなに辛そうだったのに、無理してこんなに早く……」

 ベルンハルト殿下登場で、益々注目されておりますわね。

 そして殿下、今のベティーナを見て誰も病み上がりなんて思っておりませんわよ。

「アンゲリータ、君がベティーナを呼び出したのか。病み上がりの妹になんて酷いことをするんだ」

「殿下~、辛いですぅ~」

 わたくしに追い付こうと必死でしたものね。

「そうだろう、酷いことをされたね。もう大丈夫、俺がいるからな!」

「ハルト殿下~、ベティ嬉しいです」

「ベティ!!」

 ひしっと抱き合う二人。
 お互い愛称呼びですか、そうですか……
 盛り上がるのは結構ですが、二人共周りを見ましょうね。


「あっ、寸劇が始まった」

 そこの彼、そういう事は胸の内にしまっておいてくださいまし。
 これから強制参加のわたくしは大変なのです。



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