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国境へ
1 王都から脱出後
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私は馭者席に乗り、慣れない馬車を走らせた。
貴族の馬車は二頭立て以上が基本。
私に与えられていた馬は、二頭共老いた特徴のない馬だった。
上位貴族なら既に処分している代物だろう。
速度は出せなかったが、代わりに目立ちもしなかった。
私は最初、主要な街道を走った。
その方が行き来する馬車が多く、紛れられると思ったから。
エイヴァリーズ公爵家の屋敷を飛び出し、街道にある馬車置き場の隅や空き地に停めては仮眠する。
私の休憩と言うより、馬への休息と餌やりが主な目的だった。
宿屋へは泊まらないというか、泊まれない。
今の所、学園の魔道具を一つ売ったお金が全てだった。
まとめて売りたかったが、足が付くのを恐れた。
これは誰の言葉だったか……。
そう、学園のクラスで聞いた事だった。
「この前の休みで、従兄弟が遊ぶ金尽きてさ。学園の魔道具全部売っぱらってしまうつもりで魔道具屋に入ったんだって。目立たない様に王都を出た次の宿場町を狙ったんだけど、見事に休み明けに厳重注意されててさ」
「ああ、あそこは一つだけなら大丈夫なんだけど複数だと領主への報告義務があるんだってさ」
「そうなんだ。一つだけならいいんだな。いい事聞いた」
「従兄弟の失敗といえば、俺のとこは……」
あの街道には通行税が掛かる、この領地の街は入るのは高いとかこの国境は入出国が厳しい、あそこは近づかない方がいい等の話をしていた。
休み明けなんて特にクラス中を巻き込んで声が響くから、私は自然と行った事がない場所の知識を得ていた。
でも流石にポーションの事を話す貴族なんていないから、これは馬車置き場を管理している人に聞いた。
結果、当分ポーションを売る事は出来そうになかった。
とても高額なポーションは薬師協会が管轄しているとの事。
いくら私が性能が良いと言ったところで、信用はしてもらえない。
長く保管する物で、命に関わるものだからと言われたら納得の内容だった。
少し大きな街に行き、協会所属の薬師の店に卸す事を勧められた。
そこなら、魔道具で品質を確認して買い上げてくれるらしい。
私は大きな街に行く前に、街道からそれたある村に来ていた。
その村の村長は元々何処かの貴族の子だったらしい。
とてもご年配なのだが子供好きで、孫の様に接してくれるとの噂があるらしいのだ。
実際王都に来る前に難儀していた時に、助けてもらった生徒が何人かいたというから信用出来るだろう。
私も一晩の宿を借りられないかと、立ち寄ってみた。
貴族の馬車は二頭立て以上が基本。
私に与えられていた馬は、二頭共老いた特徴のない馬だった。
上位貴族なら既に処分している代物だろう。
速度は出せなかったが、代わりに目立ちもしなかった。
私は最初、主要な街道を走った。
その方が行き来する馬車が多く、紛れられると思ったから。
エイヴァリーズ公爵家の屋敷を飛び出し、街道にある馬車置き場の隅や空き地に停めては仮眠する。
私の休憩と言うより、馬への休息と餌やりが主な目的だった。
宿屋へは泊まらないというか、泊まれない。
今の所、学園の魔道具を一つ売ったお金が全てだった。
まとめて売りたかったが、足が付くのを恐れた。
これは誰の言葉だったか……。
そう、学園のクラスで聞いた事だった。
「この前の休みで、従兄弟が遊ぶ金尽きてさ。学園の魔道具全部売っぱらってしまうつもりで魔道具屋に入ったんだって。目立たない様に王都を出た次の宿場町を狙ったんだけど、見事に休み明けに厳重注意されててさ」
「ああ、あそこは一つだけなら大丈夫なんだけど複数だと領主への報告義務があるんだってさ」
「そうなんだ。一つだけならいいんだな。いい事聞いた」
「従兄弟の失敗といえば、俺のとこは……」
あの街道には通行税が掛かる、この領地の街は入るのは高いとかこの国境は入出国が厳しい、あそこは近づかない方がいい等の話をしていた。
休み明けなんて特にクラス中を巻き込んで声が響くから、私は自然と行った事がない場所の知識を得ていた。
でも流石にポーションの事を話す貴族なんていないから、これは馬車置き場を管理している人に聞いた。
結果、当分ポーションを売る事は出来そうになかった。
とても高額なポーションは薬師協会が管轄しているとの事。
いくら私が性能が良いと言ったところで、信用はしてもらえない。
長く保管する物で、命に関わるものだからと言われたら納得の内容だった。
少し大きな街に行き、協会所属の薬師の店に卸す事を勧められた。
そこなら、魔道具で品質を確認して買い上げてくれるらしい。
私は大きな街に行く前に、街道からそれたある村に来ていた。
その村の村長は元々何処かの貴族の子だったらしい。
とてもご年配なのだが子供好きで、孫の様に接してくれるとの噂があるらしいのだ。
実際王都に来る前に難儀していた時に、助けてもらった生徒が何人かいたというから信用出来るだろう。
私も一晩の宿を借りられないかと、立ち寄ってみた。
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