18 / 42
幕間―別視点【四人ピックアップ】
便利な道具を勝手に捨てられた(前編)
しおりを挟む
―――妹マリアーヌ・エイヴァリーズ公爵令嬢視点
私は親しい方達と王都の有名なお店で、美味しくランチを楽しんでいた。
今日は大変な事があったから、午後の授業はなくなったわ。
食事が終わっても、話に花が咲いた。
「マリアーヌ、大変だったな」
「今まで気づいてやれず申し訳ない」
「兄弟が不出来だと大変だよな。俺の所も……」
「本当にマリアーヌ様可哀相。これからは相談してくれよな」
皆の気遣いや言葉が気持ちいい。
愛されている私は皆の注目を浴びるのが当然なんだから。
ひとしきり皆の言葉を楽しんで、美味しいお茶やお菓子も食べて店を出た。
店を出る前にオーレイヤン殿下は仰った。
「大変だったけど、もうマリアーヌが心配する事なんて起きないさ。ところで準備は進めているか?」
「勿論ですわ、殿下。いつもの様に完璧に仕上げて見せますわよ」
そう、私の便利な道具がね。
内心ほくそ笑みながら、自信のある笑顔で私は言った。
そう、私の計画は完璧なのよ。
これからの事を考えながら屋敷に帰宅すると、信じられない事が起きていた。
両親が私の道具を勝手に捨てたというのだ。
「私達の大切なマリアーヌ。この家に不要な者はいなくなったよ」
笑顔の両親は、既に学園長に話をして退学の手続きを済ませたそうだ。
その間に消えていたから行方は分からないと言った。
信じられない。なんて事をするのよ!
「お父様、暫定ではありますが、あれは次期公爵ではありませんか。どうしてこの様な事に……」
「ハハ、何そんな事を気にしているのか。それはもう随分前から王妃と話がついている。いずれマリアーヌが王族となり、子を複数成すだろう。その内の一人を貰い受ける。その予定だったからあれは必要ないんだよ」
そんな話聞いてない。
「幼い頃からたくさん子が欲しいと言っていたではないか。マリアーヌの子なら優秀だろう。王族の血が入れば当家はまた箔が付く。これ程良い案はない」
「そうよマリアーヌ。幸い殿下とも親しくして頂き、貴方も健やかに育ちましたもの。学園を卒業したら結婚でしょう。もう少しリディアーヌの出来が良ければよかったのでしょうけど、退学ですものね。将来貴族としても使えないならもう必要ないですわ」
「これ、縁起でもない名を言うな」
朗らかに話す両親と私の認識は違っていた。
まさかの身内に計画を壊されるとは思わなかった。
私は親しい方達と王都の有名なお店で、美味しくランチを楽しんでいた。
今日は大変な事があったから、午後の授業はなくなったわ。
食事が終わっても、話に花が咲いた。
「マリアーヌ、大変だったな」
「今まで気づいてやれず申し訳ない」
「兄弟が不出来だと大変だよな。俺の所も……」
「本当にマリアーヌ様可哀相。これからは相談してくれよな」
皆の気遣いや言葉が気持ちいい。
愛されている私は皆の注目を浴びるのが当然なんだから。
ひとしきり皆の言葉を楽しんで、美味しいお茶やお菓子も食べて店を出た。
店を出る前にオーレイヤン殿下は仰った。
「大変だったけど、もうマリアーヌが心配する事なんて起きないさ。ところで準備は進めているか?」
「勿論ですわ、殿下。いつもの様に完璧に仕上げて見せますわよ」
そう、私の便利な道具がね。
内心ほくそ笑みながら、自信のある笑顔で私は言った。
そう、私の計画は完璧なのよ。
これからの事を考えながら屋敷に帰宅すると、信じられない事が起きていた。
両親が私の道具を勝手に捨てたというのだ。
「私達の大切なマリアーヌ。この家に不要な者はいなくなったよ」
笑顔の両親は、既に学園長に話をして退学の手続きを済ませたそうだ。
その間に消えていたから行方は分からないと言った。
信じられない。なんて事をするのよ!
「お父様、暫定ではありますが、あれは次期公爵ではありませんか。どうしてこの様な事に……」
「ハハ、何そんな事を気にしているのか。それはもう随分前から王妃と話がついている。いずれマリアーヌが王族となり、子を複数成すだろう。その内の一人を貰い受ける。その予定だったからあれは必要ないんだよ」
そんな話聞いてない。
「幼い頃からたくさん子が欲しいと言っていたではないか。マリアーヌの子なら優秀だろう。王族の血が入れば当家はまた箔が付く。これ程良い案はない」
「そうよマリアーヌ。幸い殿下とも親しくして頂き、貴方も健やかに育ちましたもの。学園を卒業したら結婚でしょう。もう少しリディアーヌの出来が良ければよかったのでしょうけど、退学ですものね。将来貴族としても使えないならもう必要ないですわ」
「これ、縁起でもない名を言うな」
朗らかに話す両親と私の認識は違っていた。
まさかの身内に計画を壊されるとは思わなかった。
88
お気に入りに追加
8,473
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?
つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです!
文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか!
結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。
目を覚ましたら幼い自分の姿が……。
何故か十二歳に巻き戻っていたのです。
最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。
そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか?
他サイトにも公開中。

夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。
辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる