傲慢な超幸運王子はある意味最強

東間

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護衛騎士

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「何だか元気がありませんね?お兄様」

ミィファルトはスノーヴァの顔色を見て首を傾げる。
拳を強く握り何かを耐えている様だった。

「先程の路地裏に何かあったのですか?」

「な、何でもない」

スノーヴァは何時もよりぎこちなく笑う。
それを見たミィファルトは眉間をしかめた。

「……体調わるいならかえれば良いだろう」

ずっと黙って観察していたアルファスがスノーヴァの手を掴む。

「ぼくは疲れた。かえるぞ」

「《は?何様なのお前》」

「そうですね。結構散策できましたし、帰りますか」

「《は?何で愛し子の意見聞かないわけ?》」

アルファスとミィファルトが会話を進めていると精霊達がイラつき始める。

だが…

「そうだな」

「《》」

スノーヴァが同意すると同時に精霊達は再び元の笑顔に戻ったのだった。


†††

「スノーヴァ王子!なぜ何時も護衛を置いていくのですか!」

クリパルクが早朝スノーヴァに怒鳴り込む。

「黙れ」

「お断りします。黙りません!何時も置いてかれて団長にしごかれる俺の気持ちを理解するまでもー離れませんから!」

スノーヴァの体質を知らないクリパルクは犬の様にギャンギャン喚く。
スノーヴァが朝に弱い事をクリパルクの上司であるレオンはしっかりとクリパルクに伝えた。

だがクリパルクの周りに朝が弱い人間がいないので程度を知らなかった。

スノーヴァは机に置いてある果物の中からリンゴを取り出す。
そしてそれをクリパルクの股間に向かって投げた。

「ッ!?~~~!!!」

クリパルクが声にもならない叫びをあげる。

「《攻撃力上昇を付与してみました》」

「《やるやん!》」

「《気が利く~》」

妖精達はクスクス笑いクリパルクの周囲をフワフワ飛んでいた。

「城下町へ行く。お前も来い」

スノーヴァは城下町用の服を着ると剣を腰に携えた。

「え、城下町!?王子が城下町に行ける訳無いでしょう!?」

「一人で行かないだけ感謝しろ」

スノーヴァは小麦色の粉を肌に塗り鬘を被り、帽子を深くかぶった。

「一般人の私生活を知るのも僕の務めだ。」

首が千切れるほど左右に振り拒否を示していたクリパルクだったが、スノーヴァが再びリンゴを取り握り潰すと、すぐに諦めたのだった。

✝✝✝

「そう言えばスノーヴァ王子。第四側妃リリアン様が倒れられたらしいですよ?
第一側妃も倒れられてまだそんなに時間が経ってないのに‥‥なんだか不気味ですね?
帰りたくなりません?
ここ最近侍女達の中にも体調を崩し家へ戻された者がいるらしいですよ?
帰りたくなりません?
暗殺とか呪殺とか扱う者がいたら俺じゃ勝てませんて!
まだ帰りたくなりませんか!?
俺まだ恋人もいないんです。ここで人生終わらせるのは憐れだと思いませんか?いや憐れだと思ってください!
せっかく第一王子の護衛騎士兼騎士団長の部下にまで出世したのにここで生を終わらすなんて残酷すぎる!
きっとこの後暗殺(ets)が待ち構えているんですよ!それで見目の良い俺達は慰み者を扱う店へ売り飛ばされたり人体実験されたり!ありとあらゆる苦行と屈辱を与えられるんです!
あぁ!せめて熟した淑女の胸の中で安楽死したかった人生だった!!!」

「貴様クレフェルト階級だろう」

「その前はレイフィですよ!?第一王子と騎士団長の直々の部下なら、ってクレフェルト階級を授かったんです!!実力はレイフィ階級レベルですよ!!ほぼ不正ですよ!!」

「グレーゾーンだな」

「ブラック!真っ黒ですよ!」

クリパルクは【騎士階級】クレフェルトだ。

【騎士階級】は実力や出生、統率力等を加味し決定される騎士団内の階級制度だ。
階級順位は最上位の[ミオ]から始まり[レミオ][レミオル][レフ][クレフェ][クレフェルト][クローズ][レイフィ][レイフィト][レイフォスター][レクト]だ。

クローズ階級から抜けるのは難関な試験と面接を合格しなければならない。
だがクリパルクはそれをスルーしクレフェルトへ上がったのだ。

「大出世だな」

「そうだすよ!半年でクレフェルトですよ!?大大大出世ですよ!!」

貴族出身の騎士はレイフォスターから。
市民出身のクリパルクらはレクトからスタートだ。

半年でレイフィも異常なスピードだがスノーヴァもクリパルクも気が付いていない。

「好きなだけ僕に感謝すれば良い」

「感謝はしていますが今、王子を外出させているのがバレると良くてクビなので何とも言えません!!」

クリパルクは泣いた。

「最後に熟女の店に行きたかった!!!そして逝きたかった!!」

†††

『【スノーヴァ】でいたいのなら憎しみを忘れろ。貴様が人を殺せば殺す程あいつは力を持つだろう』

スノーヴァはふとその言葉を思い出した。
それは幼いスノーヴァの話し相手の一人だった猫だ。

スノーヴァは首を傾げた。

「嫌な感じだ」

市民街は今日も活気づき賑わっている。
誰もが笑みを浮かべ働いている。

だがその隅で泣く精霊達を見るとスノーヴァは素直に喜べなかった。

「スノーヴァーーーーーじゃなくてス、スス、スノー?スー??様あ、様はダメか。スー行こう」

「…なんだその変な名は。カスミと呼べ」

「そっちの方が変じゃないですか?帝国人の様ですよ、その名」

「ならイヴァン」

「分かりましたイヴァンさーーーーーー………。ゴホン。分かりましたイヴァン」

スノーヴァとクリパルクは何軒かの店をまわる事にしたのだった。

串肉のお店でクリパルクは何かを思い出したかのように掌を叩いた。
クリパルクはスノーヴァに小声で耳打ちした。

「そう言えば隠し通路、気軽に教えちゃダメですよ?」

スノーヴァは串肉を食べながら言った。

「お前を信用しているんだ」

「それは何よりの褒美ですね」

スノーヴァは『(妖精に殺されていない)お前を信用しているんだ』と言ったのだが知らないクリパルクは純粋に笑った。


    
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