夜の動物園の異変 ~見えない来園者~

メイナ

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第2章

第1話『ナイトサファリの異変』

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 夜の動物園は、昼間とはまるで別の顔を見せる。
 サファリゾーンの奥では、静寂が深まるほどに不気味さが増していく。

 その夜、飼育員のひとりが、不安げに懐中電灯を握りしめながらサファリゾーンを巡回していた。

「……ここも異常なし、か。」



 ぶつぶつと独り言をつぶやきながら、彼は再び辺りを見渡す。
 照らされた地面には、踏み荒らされた草が広がり、土がまだ湿っている。

「……?」

 何かが、そこにいた──そんな気配が残っていた。

「……まぁ、気のせいか。」



 自分にそう言い聞かせ、彼は足早にその場を後にした。
 その時──

「ザッ……ザッ……」

「えっ……?」



 振り返った先には、何もいない。

 だが確かに──

「ザッ……ザッ……」

 耳を澄ますと、確かに足音が響いていた。
 だが、それはどこからともなく聞こえてくるだけで、姿は見えない。

「……まさか。」



 嫌な汗が背中を伝った。
 飼育員は、震える手で無線機を握った。

「……園長……サファリゾーンの奥に、何か……何かがいます!」




---

 翌日。

「……つまり、姿は見えないが、足音がしたってことですか?」

 透子は眉をひそめ、飼育員の証言を反芻した。

「ええ、確かに聞いたんです……。しかも、シマウマのエリアの奥から──」



「……なるほど。」

 透子が腕を組んで考え込んでいると、背後から焦った声が飛び込んできた。

「透子を呼べ!透子を呼べぇぇ!」



 突然の大声に、透子は驚いて振り返った。
 そこには、顔を真っ赤にした園長が駆け込んできた。

「透子!頼む、すぐに見てくれ!」



「……またですか。」



 透子はわずかに肩をすくめた。

「だって、お前しかいないんだ! うちの動物が何かに狙われてるかもしれないんだぞ!?」



「……わかりましたよ。行けばいいんでしょ。」



 透子が溜め息をつくと、園長はほっと息を吐いた。


---

◆ 【シマウマのエリア】

「……やけに静かですね。」

 えまがポツリと呟く。
 シマウマのエリアは、まるで音を吸い込んだかのように静まり返っていた。
 檻の中で群れているはずのシマウマたちは、普段なら葉を食べる音や軽い鳴き声が聞こえてくる。

 だが、今は──

「……本当に、誰も鳴いてない。」



「おかしいわね。」

 透子は辺りを見回し、無言で檻に近づいた。

「……待ってください、透子さん。」



 えまの声に振り返ると、えまが檻の外に何かの足跡を見つけていた。

「これ……。」



 透子が足跡にしゃがみこみ、指で慎重になぞる。

「……なんだか、シロの檻にあった足跡に似てません?」

えまの言葉に、透子は険しい表情を見せた。

「……確かに似てる。守護者の足跡と……。」

「じゃあ、この足跡は守護者のもの?」



「いや……」



 透子は首を横に振った。

「これって……なんの足跡だ?」

 ロイの檻の中にあったものとそっくりの足跡。
 だが、なぜそれがここに──?

「……守護者がここに現れた……? でも、それならどうして?」



 透子は目を細め、足跡がシマウマの檻の奥へと続いているのに気づいた。

「……透子さん!シマウマが……!」



 えまの声に振り向くと、シマウマたちは異様に固まって震えていた。
まるで何かに怯えるように、四方を見回している。

「こんなに静かに震えてるなんて……。普段なら警戒音を出すのに。」



「……何かが、檻の外にいたのよ。」

 透子の目が、さらに鋭く光った。

 その時だった──

「ザザッ……ザザッ……」



 再び、**"見えない足音"**が響いた。

「えっ……?」

 えまが思わず透子の腕を掴む。
 しかし、音の正体は見えない。

「……これは、ただの足跡の問題じゃないみたいね。」



 透子の目が、鋭く光った。


---

◆ 【次回予告】

第2話『消えたシマウマ』
・「檻の中のシマウマが姿を消した?」
・守護者の足跡が続く先に、さらなる謎が待ち受ける──
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