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第12話 それぞれの思惑
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DNA検査結果を夫に付きつけられた香澄。
――――
§ 河西夫妻 §
「香澄、教えてくれ。相手は誰だ。」
「……」
「分かったとしてどうするつもりですか」
「僕は知りたいんだ。僕が香澄をどれだけ愛しているか知っているだろう。
にも関わらずだ。俺と結婚しながらもお前が体を委ねる事が出来る男を知りたい。
離婚するとか言わない。美羽は、俺とお前の子供だ。だが、美羽の本当の親を知りたい。その上でお前と一緒に育てたいんだ」
夫の言葉に嘘はないだろう。しかし。
……。
「なぜ言えない。俺よりも美羽よりもその男が大事なのか」
「……そんな事ない。そんな事ない。相手は、園で会った、中田洋二です」
「いつからだ」
「あなたと結婚する前から」
「……っ! 結婚してからも関係を続けたのか」
私は頷くだけだった。
頭に血が上り、今にも香澄を殴りつけたい気持ちを抑えた。
「どうやって知った」
「大学時代の知合いです。一時別れていましたが、仕事でまた知合いました」
「どちらから誘った」
「彼からです」
「今も会っているのか」
「いえ、美羽が出来たと分かった時、別れました」
「……っ!」
何という事だ。僕は、香澄があの男と終わった後、俺はさせられていたのか。証拠を隠すために。お笑いだな。この女のおもちゃにされたのは僕だったか。
怒りとも呆れ共言えない感情が湧いて来た。今ここにいる事は無理だ。
「香澄、少し離れよう。頭が、いっぱいでパンクしている。だが、香澄はここに居ろ。美羽の面倒を見るんだ。実家にも帰るな。お前を愛している事は事実だ」
「少しって」
「分からない。一週間か一ヶ月か」
夫は、それだけ言うとスーツケースに必要な洋服を入れて出て行ってしまった。
私は、あまりのショックに涙も出ず、呆然としていた。
美羽が泣いている。行ってあげないと。
夫とは、もう二週間も会っていない。幸いスマホには出てくれる。それだけでも安心だ。今は美羽の事だけを考えて生きよう。夫は必ず帰って来る。そう信じる。
§ 中田洋二 §
俺は、二日程して家に戻った。
「あなた。……」
憔悴していた薫が玄関で待っていた。緩く抱擁してあげると
「ごめんなさい。ごめんなさい」
大きな声で泣きながら、涙を拭こうともせずに頬を濡らしていた。
「大丈夫だ。薫。お前と美香は俺の大切な家族だ」
更に大声で泣き始めたので
「薫、美香が泣きべそ掻き始めたぞ。お前を見ているからだ。もう泣くのは止めなさい」
「ぐしゅ。はっい」
薫と別れる理由はない。利用できる女だ。俺に取って都合の良い女だ。いずれ俺の子供を作ればいい。美香も利用できる。
俺は、美香の件が分かってから、二週間後、香澄に連絡した。緊急連絡網を使って。これなら出るだろう。あの男も、ばらし終わった頃だ。
「もしもし、河西です」
「もしもし、久しぶり。中田です」
「えっ、……何か御用でしょうか」
「用があるから電話した。お前の夫の秘密を教えてやる。会わないか」
碌な事はないだろう。夫の秘密と言っても、大したことはないはず。今、夫はいない。動かない方がいい。
「結構です」
いきなり切った。
少し経って、またかかって来た。出ないでいるといつまでもなり続ける。
「いい加減にして下さい」
「えっ、香澄。どうした」
しまった。康人さんだ。
「ごめんなさい。さっきから、悪戯電話みたいなものが掛かって来て」
「なに。本当か」
「はい」
「一人で大丈夫か」
「……帰って来て下さい」
「まだ、だめだ。今日掛けたのは、園のイベントが近いだろう。だからだ」
「えっ、父の日の事」
「そうだ。母の日の後、行う予定になっていた」
私は、別居していても美羽の事を気にしてくれると思うと嬉しかった。
「出席してくれるんですか」
「無理だ。だから断っておいてくれ」
「……そうですか」
「それだけだ。美羽は元気か」
「あなたが居ないので寂しがっています」
「……仕方ない。もう少し待て」
「分かりました」
その後、電話が切れた。
また、電話が鳴った。康人さんかと思い電話に出ると
「俺だよ。中田だ」
「電話かけないで下さい」
切ろうとした時、
「お前の夫と、俺の妻の件だ」
「えっ、どういう意味ですか」
「ははっ、会ったら教える。もうあの男は、お前の子供美羽だったか。あの子が俺の子だと知っているんだろう」
「なぜそれを」
「会えよ。色々教えてやる」
「……分かりました。美羽の事があるので、普段の日の午前中十時から一時間位なら」
「分かった。早速、明日会おう。場所は、メールで知らせる。変わってないよな」
「変わっていません」
「じゃあ、明日な」
明日が楽しみだ。
洋二が言っていた。康人さんと洋二の奥さん、確か薫さんと言っていた。どういう関係。それになぜ、美羽を自分の子供と言ったのか。事実であることは、この前の夫の言葉から分かったけど。
嫌な予感しかしなかった。
―――――
しかし、次回からの展開。私も読めなくなってしまいました。
次回をお楽しみに。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
――――
§ 河西夫妻 §
「香澄、教えてくれ。相手は誰だ。」
「……」
「分かったとしてどうするつもりですか」
「僕は知りたいんだ。僕が香澄をどれだけ愛しているか知っているだろう。
にも関わらずだ。俺と結婚しながらもお前が体を委ねる事が出来る男を知りたい。
離婚するとか言わない。美羽は、俺とお前の子供だ。だが、美羽の本当の親を知りたい。その上でお前と一緒に育てたいんだ」
夫の言葉に嘘はないだろう。しかし。
……。
「なぜ言えない。俺よりも美羽よりもその男が大事なのか」
「……そんな事ない。そんな事ない。相手は、園で会った、中田洋二です」
「いつからだ」
「あなたと結婚する前から」
「……っ! 結婚してからも関係を続けたのか」
私は頷くだけだった。
頭に血が上り、今にも香澄を殴りつけたい気持ちを抑えた。
「どうやって知った」
「大学時代の知合いです。一時別れていましたが、仕事でまた知合いました」
「どちらから誘った」
「彼からです」
「今も会っているのか」
「いえ、美羽が出来たと分かった時、別れました」
「……っ!」
何という事だ。僕は、香澄があの男と終わった後、俺はさせられていたのか。証拠を隠すために。お笑いだな。この女のおもちゃにされたのは僕だったか。
怒りとも呆れ共言えない感情が湧いて来た。今ここにいる事は無理だ。
「香澄、少し離れよう。頭が、いっぱいでパンクしている。だが、香澄はここに居ろ。美羽の面倒を見るんだ。実家にも帰るな。お前を愛している事は事実だ」
「少しって」
「分からない。一週間か一ヶ月か」
夫は、それだけ言うとスーツケースに必要な洋服を入れて出て行ってしまった。
私は、あまりのショックに涙も出ず、呆然としていた。
美羽が泣いている。行ってあげないと。
夫とは、もう二週間も会っていない。幸いスマホには出てくれる。それだけでも安心だ。今は美羽の事だけを考えて生きよう。夫は必ず帰って来る。そう信じる。
§ 中田洋二 §
俺は、二日程して家に戻った。
「あなた。……」
憔悴していた薫が玄関で待っていた。緩く抱擁してあげると
「ごめんなさい。ごめんなさい」
大きな声で泣きながら、涙を拭こうともせずに頬を濡らしていた。
「大丈夫だ。薫。お前と美香は俺の大切な家族だ」
更に大声で泣き始めたので
「薫、美香が泣きべそ掻き始めたぞ。お前を見ているからだ。もう泣くのは止めなさい」
「ぐしゅ。はっい」
薫と別れる理由はない。利用できる女だ。俺に取って都合の良い女だ。いずれ俺の子供を作ればいい。美香も利用できる。
俺は、美香の件が分かってから、二週間後、香澄に連絡した。緊急連絡網を使って。これなら出るだろう。あの男も、ばらし終わった頃だ。
「もしもし、河西です」
「もしもし、久しぶり。中田です」
「えっ、……何か御用でしょうか」
「用があるから電話した。お前の夫の秘密を教えてやる。会わないか」
碌な事はないだろう。夫の秘密と言っても、大したことはないはず。今、夫はいない。動かない方がいい。
「結構です」
いきなり切った。
少し経って、またかかって来た。出ないでいるといつまでもなり続ける。
「いい加減にして下さい」
「えっ、香澄。どうした」
しまった。康人さんだ。
「ごめんなさい。さっきから、悪戯電話みたいなものが掛かって来て」
「なに。本当か」
「はい」
「一人で大丈夫か」
「……帰って来て下さい」
「まだ、だめだ。今日掛けたのは、園のイベントが近いだろう。だからだ」
「えっ、父の日の事」
「そうだ。母の日の後、行う予定になっていた」
私は、別居していても美羽の事を気にしてくれると思うと嬉しかった。
「出席してくれるんですか」
「無理だ。だから断っておいてくれ」
「……そうですか」
「それだけだ。美羽は元気か」
「あなたが居ないので寂しがっています」
「……仕方ない。もう少し待て」
「分かりました」
その後、電話が切れた。
また、電話が鳴った。康人さんかと思い電話に出ると
「俺だよ。中田だ」
「電話かけないで下さい」
切ろうとした時、
「お前の夫と、俺の妻の件だ」
「えっ、どういう意味ですか」
「ははっ、会ったら教える。もうあの男は、お前の子供美羽だったか。あの子が俺の子だと知っているんだろう」
「なぜそれを」
「会えよ。色々教えてやる」
「……分かりました。美羽の事があるので、普段の日の午前中十時から一時間位なら」
「分かった。早速、明日会おう。場所は、メールで知らせる。変わってないよな」
「変わっていません」
「じゃあ、明日な」
明日が楽しみだ。
洋二が言っていた。康人さんと洋二の奥さん、確か薫さんと言っていた。どういう関係。それになぜ、美羽を自分の子供と言ったのか。事実であることは、この前の夫の言葉から分かったけど。
嫌な予感しかしなかった。
―――――
しかし、次回からの展開。私も読めなくなってしまいました。
次回をお楽しみに。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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