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14.ルシャナ
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ルシャナは悲しくて悲しくて、心が張り裂けそうだ。今も自分のためにと、望まぬ儀式を男のルシャナに施してくれているマンフリート。
男を抱くというのは罪深きことで、気持ち悪いことなのだろうに、嫌な顔一つせずに、ルシャナの命を救うために、結婚という大切な行事すら、犠牲にしてくれたのだ。
最初は、おやすみのキスが、実は愛情からくるものではなく、延命措置の為と知り、ひどく傷ついた。それからずっと拗ねていたのだが、さらに、彼は生きていてほしいからという理由だけで、結婚することをルシャナに相談することなく、決めてしまったのだ。
男と結婚するということは、ラジェールでは大罪だ。きっとここでも同じだと思うと、たとえ死のうとも、拒否するより他に方法はないのだ。
それも聞き入れてもらえず、愛情もないのに、今もルシャナの中に、マンフリート自身が入っているのだ。
組み敷かれたときにちらりとみた彼の立派な一物は、自分のものがオモチャに思えるほど大きく、どす黒く、匂い立つ香りは、まさに野生の雄そのものだ。
(あんなに大きいものをどうするんだろう……)
しかしほどなくして、それを自分の後ろの穴に入れると知ったときの恐怖は、計り知れなかった。
無理だと思ったし、きっと壊れてしまうとも思った。しかし案外柔軟だったのか、すんなりとはいかなかったけれど、こうして今も中に入っているのだ。
最初はひどく痛かったし、もう二度としたくないとさえ思った。恐怖でこのまま死んだほうがましだと思ったくらい……痛かったのだ。
しかし途中で光の粉が降ってきてから、痛みが一気に消えて、その中に頭の中で蕩けそうで、痺れる不思議な感覚があった。
(気持ちよかった……かも)
自分の中に、マンフリートの何かが放たれた時も、彼は苦しそうな顔をしながらも、どこか恍惚とした表情をしていたので、悪い事ではないのだと思った。
「ああ、あ……あぁ」
擦られると勝手に変な声が漏れてしまうので、口を手で塞ぐ。そのたびにマンフリートは決まって、声を殺さなくていい、むしろ聞かせてくれと言われた。だから必死に声を出さないようにしているのに、体が言うことを聞いてくれないのだ。
(恥ずかしいのに……僕の声じゃないみたいだし)
あられもない姿を晒し、彼に幾度となく貫かれた体には知らない感覚が次々と刻み込まれていった。
気を失いそうになると、軽く頬を撫でられ、それから口の中に舌を入れられて、荒々しくキスをされた。
もはやおやすみのキスどころではない、これが大人のキスなのだろう。
大切な宝物のようなキスは、今や微かにルシャナの脳裏に残っているだけだ。
「また……出すぞ」
痴態を晒して、恋をしていると思っている相手に愛されていないのに、事務的に施される本来ならば愛の行為に、悲しくて張り裂けそうだ。
心とは裏腹に体は悦びに打ち震え、何度も絶頂に押し上げられた。七回目までは数えていたのだが、すでに気力も記憶も途切れがちで、眠りたいのに眠らせてもらえなくて、でも寝ようとすると眠れないのだ。おそらく魔力でそうされているのだろう。
「あと、もう少しだから……っ」
命を救おうと必死になっている時に、その相手に一度もまともに口を聞いてもらえないのでは、いくら屈強なマンフリートであっても肉体的にも精神的にもきついだろう。
わかってはいても、ルシャナも揺さぶられて高められて、まともな思考が残っていないのだ。
ラウル王はこれが終わったら、結婚が成立すると言っていた。
こちらでは夫婦になるということは、そんな大層なことではないのかもしれない。儀式が終わり、そのときにすべてが明かされることだろう。
(このまま、マンフリート様の領地で暮らすんだよね。僕は、偽物の花嫁ってことだから、女性のふりでもするのかな?)
快感に身を委ねたくなくて、頭の中では違うことを必死に考えようとするのだが、それでも体は正直で、すぐに覚えたての快楽に酔いしれて、思考が途切れてしまうのだ。
「あぁ……、ああっ、あぁ!」
すでに、何をされているのかわからないほど揺さぶられ、注がれ、ドロドロの体のはずなのに、まるでマンフリートが放ったものを乾ききった体が吸収してしまうのか、すぐに、中は元通りになってしまうのだ。
制御不能で好き勝手に感じている自分の体も怖かったし、ひたすら抜き差しを繰り返すマンフリートを見ているのもつらかった。
恋愛小説の中での二人の交わりは、完全に愛による純粋な行為であり、子孫を残す目的のための行為とされている。そのどちらでもない今の二人の交わりを、なんと呼べばいいのかわからない。
涙すらマンフリートの舌で絡めとられ、もう自分のものは何一つないのだと、諦めの境地にいた。
徐々に視界が掠れていく。
(もう、終わり?)
「ああ、終わったよ、儀式は成功だ。ゆっくりお休み。よい夢を見て……起きたら、二人でゆっくりと過ごそう。とにかく目を瞑って……」
もう目を開けていられない。
言いたいこともいっぱいあるのに、話さなきゃいけないこともいっぱいあるのに……少しだけ寝かせて。
ルシャナはマンフリートに頭を撫でられながら、夢の国へと旅立った。
男を抱くというのは罪深きことで、気持ち悪いことなのだろうに、嫌な顔一つせずに、ルシャナの命を救うために、結婚という大切な行事すら、犠牲にしてくれたのだ。
最初は、おやすみのキスが、実は愛情からくるものではなく、延命措置の為と知り、ひどく傷ついた。それからずっと拗ねていたのだが、さらに、彼は生きていてほしいからという理由だけで、結婚することをルシャナに相談することなく、決めてしまったのだ。
男と結婚するということは、ラジェールでは大罪だ。きっとここでも同じだと思うと、たとえ死のうとも、拒否するより他に方法はないのだ。
それも聞き入れてもらえず、愛情もないのに、今もルシャナの中に、マンフリート自身が入っているのだ。
組み敷かれたときにちらりとみた彼の立派な一物は、自分のものがオモチャに思えるほど大きく、どす黒く、匂い立つ香りは、まさに野生の雄そのものだ。
(あんなに大きいものをどうするんだろう……)
しかしほどなくして、それを自分の後ろの穴に入れると知ったときの恐怖は、計り知れなかった。
無理だと思ったし、きっと壊れてしまうとも思った。しかし案外柔軟だったのか、すんなりとはいかなかったけれど、こうして今も中に入っているのだ。
最初はひどく痛かったし、もう二度としたくないとさえ思った。恐怖でこのまま死んだほうがましだと思ったくらい……痛かったのだ。
しかし途中で光の粉が降ってきてから、痛みが一気に消えて、その中に頭の中で蕩けそうで、痺れる不思議な感覚があった。
(気持ちよかった……かも)
自分の中に、マンフリートの何かが放たれた時も、彼は苦しそうな顔をしながらも、どこか恍惚とした表情をしていたので、悪い事ではないのだと思った。
「ああ、あ……あぁ」
擦られると勝手に変な声が漏れてしまうので、口を手で塞ぐ。そのたびにマンフリートは決まって、声を殺さなくていい、むしろ聞かせてくれと言われた。だから必死に声を出さないようにしているのに、体が言うことを聞いてくれないのだ。
(恥ずかしいのに……僕の声じゃないみたいだし)
あられもない姿を晒し、彼に幾度となく貫かれた体には知らない感覚が次々と刻み込まれていった。
気を失いそうになると、軽く頬を撫でられ、それから口の中に舌を入れられて、荒々しくキスをされた。
もはやおやすみのキスどころではない、これが大人のキスなのだろう。
大切な宝物のようなキスは、今や微かにルシャナの脳裏に残っているだけだ。
「また……出すぞ」
痴態を晒して、恋をしていると思っている相手に愛されていないのに、事務的に施される本来ならば愛の行為に、悲しくて張り裂けそうだ。
心とは裏腹に体は悦びに打ち震え、何度も絶頂に押し上げられた。七回目までは数えていたのだが、すでに気力も記憶も途切れがちで、眠りたいのに眠らせてもらえなくて、でも寝ようとすると眠れないのだ。おそらく魔力でそうされているのだろう。
「あと、もう少しだから……っ」
命を救おうと必死になっている時に、その相手に一度もまともに口を聞いてもらえないのでは、いくら屈強なマンフリートであっても肉体的にも精神的にもきついだろう。
わかってはいても、ルシャナも揺さぶられて高められて、まともな思考が残っていないのだ。
ラウル王はこれが終わったら、結婚が成立すると言っていた。
こちらでは夫婦になるということは、そんな大層なことではないのかもしれない。儀式が終わり、そのときにすべてが明かされることだろう。
(このまま、マンフリート様の領地で暮らすんだよね。僕は、偽物の花嫁ってことだから、女性のふりでもするのかな?)
快感に身を委ねたくなくて、頭の中では違うことを必死に考えようとするのだが、それでも体は正直で、すぐに覚えたての快楽に酔いしれて、思考が途切れてしまうのだ。
「あぁ……、ああっ、あぁ!」
すでに、何をされているのかわからないほど揺さぶられ、注がれ、ドロドロの体のはずなのに、まるでマンフリートが放ったものを乾ききった体が吸収してしまうのか、すぐに、中は元通りになってしまうのだ。
制御不能で好き勝手に感じている自分の体も怖かったし、ひたすら抜き差しを繰り返すマンフリートを見ているのもつらかった。
恋愛小説の中での二人の交わりは、完全に愛による純粋な行為であり、子孫を残す目的のための行為とされている。そのどちらでもない今の二人の交わりを、なんと呼べばいいのかわからない。
涙すらマンフリートの舌で絡めとられ、もう自分のものは何一つないのだと、諦めの境地にいた。
徐々に視界が掠れていく。
(もう、終わり?)
「ああ、終わったよ、儀式は成功だ。ゆっくりお休み。よい夢を見て……起きたら、二人でゆっくりと過ごそう。とにかく目を瞑って……」
もう目を開けていられない。
言いたいこともいっぱいあるのに、話さなきゃいけないこともいっぱいあるのに……少しだけ寝かせて。
ルシャナはマンフリートに頭を撫でられながら、夢の国へと旅立った。
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