ヒスパニック・トランスレイサー

おいしいたまご

つるりとした、舌触り、ざらりとした目が、突っ張るように、とびぬける恒春の夢、追い続ける、規則の中で、破り続ける殻、中から生まれてくる希望のようなひな鳥、髪を結って、香水のフレーバー、落とすように、落ちていく、汚れが、まだついてる、そのまま後を追って、追いついたら、先を行く、冒険は続く、この夢が覚めないなら
速さの重さが、丸みを帯びたヒップに、耐熱するガラスのような声で、産声を上げる。
あなたはたまご。
わたしのたまご。
茹でたら、沸騰するように、頬を染める、唇の赤い、ガラスのような経験が、飛び散る破片のつける傷跡、指を絡める、キャラメルのような甘い香り、折々の織物、七色以上の絹衣、おりものの穢れる獣草、摘み取る前に、私を待つのは、まだ早い晩冬のオオカミ、生き抜く早春を待って、雪ぬれた、草原を走る、私の声が、雪放つ雪だるま、スノーカントリー、田舎で、生活する、枯れる白金草、君の頬に、移るこの夢芳香、タマゴの指さす方向に、向かう、アイスバーンになった、道を、大きなそりで、滑っていく、その滑るような背中に、水滴が、凍って、雪を調べる、君の心をチェックアウト
蛇口から掻きだした汚れが、私の本を汚すなら、濡れるカバーアート、絵画よりも美しいあなたの裸体から、毛穴を抜けて、しみ出す、それをなめとるのが、戸惑いのベッドホール。
大きな楽器に、なってと言った、小さな花のようなたまご、咲き続ける結髪の夕刻の降り注ぐ雲間のレインボーライト。
街は、静かだ。
君の言葉は、いつも、私の、道しるべ
お汁粉を吸って、そのあんこが、本の上に落ちたら、このまま君と、落ちて、逝く。
絡みあう腕と足が、バラバラのベッドに落ちていった薔薇の花びら、君は従順な目をしている貞操の退屈が、毛布を払う、乱れた髪の毛をそっと指で整える、ふっと香る、春の兆し、待つ人は、待てない、まだ早い、この、夢が、冷めるには、
お汁粉の湯気が、鼻先に、庭先のモンシロチョウはまるで君、私は待てない、あみを使って、掴まえる、君の四肢を解きほぐす言葉を持たないから、むしろ標本にして、ピンでとめる、君にネクタイを直してもらいピンでとめてもらう。
お互いに縛り合って、がんじがらめの童貞操、君と朝の用事は、ベッドインの毛布が揺れる、時を止めてしまいたい、君が、望まなくとも。
憂鬱な影に、投げかける言葉の乱立、互いの距離を測って、待ちきれない、木枯らし、声を枯らして、からしのついたおでん、皿のわきに添えた、黄色い液体にそっとたまごをさらして、まるで、電燈の下に飛ぶ電光の蝶が、求めるままに、食らいつく、羽が皿に落ちて、逆さ睫毛から涙が流れる、目をつぶって、そっと抜いて、ピンセットからサンセット。
電燈が、太陽に見えたら、テーブルの上の夕飯を腕でのけて、君を胸に手繰り寄せる。
耳元で、「卵よりもたまごが剥きたい」
殻を割って、自分の美貌に、気づく君は、小鳥のボーン
迫力のある演技をして、私にしなだれかかる、まるで、皿の中にいる蝶の亡骸。
殻は無き卵のおでんにヌードの香り。
君の香水は、色彩の反射光、防ぐ手立てもなく、私は、君の裸体にひれ伏して、そのままごとりとコーン
脇の下からコーンの清潔な香りに、香水に嫌悪する。
君の素顔の匂いが、もし、洗われない心なら、もうほっておいてくれ。
心が泣く前に、君を雪原で鳴き殺したい。
にくたらしい肉体に、ぶすっと差した、私のナイフアイズ
もう逝った？
ううん、まだ。
君の体から黄金とあんこが流れて、やがて川になって、鳥が番ったら、生まれてくる。
また出会おう卵の姿で。
たまご、たまご、たまご、ああ、たまーごー！
君の黄身を渡したい。
わたまで食いたい。
また明日。
またの下、尖った、亀裂音が、ラッパの上天に達して、流転の終末に、弔いの花を。
君には一月草が似合う。
受け取って、分解分子エッチなエッチな、タマゴさん。
よーぽん！
ようどらんは、タマゴの体液、ずずっとすって、ああ、おいしい、また君をおでんに入れて、むき身のナイフで、貫きます。
おでんはやっぱり卵だね。