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小さなバラの思い出

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あの頃。僕は、魂の放浪を続け、痛みを抱えたまま、頭を抱え、夢に行き、希望を目指し、たどり着いた今日というこの日に、新しい恋人に出会った。
彼女は、僕の指を見つめ、はめたバードリングに口づけをするように、さえずる夕暮れの4時の鐘が鳴る、恋に落ちた衝撃が、リングから流れ込んで、今のまま、生きてくことが、できない。死すら願ったこの幻響に声、あなたの響きが、僕の鼓動を鳴らして、打つ、血を流れる白血球の騒めき、優雅なる調べは、彼女の瞳に光る、涙の川に、溺れる、まるで、魂の死を迎える夕暮れの空に煙となって吐かれるシガーの踊り、踊るように君は、僕の瞳の中で、泳ぐ、スターフィッシュ、君の柔らかい肌の香り、会話のなかで、一瞬見せる憂いの吐息は、白い歯、覗き込むように繊弱な天使が、舞い降りる、それは、羽のない、自由の鳥、もがれることを望んで、僕は、君の唇に恋をした。
ああ、なんて素敵なあなた、一夜でもいい、そんなことを考えて、電車に乗って、帰る、途中で、息が詰まる、胸の奥で、笑う、あなたの顔は、まるで理想の肉体、理想を超える思想は、あなたとつながりたい気持ち、真実の愛は、まるで、心と体が、ばらばらになる、撃たれた詩、弾丸はあなたの視線、止むことのないリビドーが、僕の身振りと手ぶりに、かわす体のアートが、交わす会話のレスポンス、「好きです」なんて伝えたら、あなたは、きっと泣くでしょう。戸惑うあなたを手探りで求めて、体を這う虫のように、あなたに潜り込みたい、潜水艦が、魚雷を発射して僕のスターフィッシュは、爆発した、夕暮れの鐘が鳴る、僕はアスファルトの荒野で、キスをする窓に、映り込む、夕影が、もう、消えないでと叫んだ、あなたはそこにいない。僕の場所から去っていく、夢を語るな、ただ愛だけを語れ。
ああ、憧れのあなた。
ずっと一緒にいて欲しいけれど、いつか別れが来るから、今は命の輝きと煌めくあなたの瞳、頬を寄せて、あなたの胸を引き寄せて、このまま、いっそ死んでしまいたい、くらいに、愛しています。
世界は違う、けれど、恋をする感情は、同化して、ろ過した清水に映った、哀憐のあなた、どうかここで僕を殺してください。
感情を止められないから、あなたの鼓動を、止めるほど、強く抱きしめたい。
僕の胸に顔をうずめて、エレガントでキュートな君は、僕の永遠の憧れ。
小さなバラが咲いている。
まるで、あなたの唇のようだ。
いっそ棘に刺さって、血を流して、この大地に恋の疫病のように倒れたい。
覚悟はあります。
そう、何もない詩人だけれど、あなたを幸せにできる、現実は殺して、夢を返して、大地に転がる私の死体は、小さなバラの精。
もう戻れないほど。愛しています。
憧れの野ばら。
棘のある君
棘をそいで、あなたを抱きしめる。
僕はでも、あなたの棘すら信じるから、できない、ただ待っている、今は、あなたが振り向いてくれることを。
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