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惚れ薬入りクッキー
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ラウル公爵家ではパーティーが行われていた。長男デイビットのお披露目会だった。お見合いも兼ねているのか、良家のお嬢様たちがズラリならんでいる。
デイビットは一通り挨拶をすませると、もううんざりだというように、肩をすくめた。そんなデイビットの目のはしに小さく走る影があった。妹のユキだった。ユキは手に何かを隠し持っている。
「あのいたずら娘め、何を持っているんだ?」
小さくひとり言をいい、デイビットはそーっとパーティーを抜け出して、妹のほうへ向かった。ユキは中庭のバラ園の間に座り、クッキーを食べていた。デイビットは、小さな声で言った。
「いたずら娘、何を食べているんだ?」
「お兄様?これは特別なクッキーよ?お母様のお部屋から持ってきたの。昨日きた商人から購入したものだわ。特別なクッキーって言ってたもの。お母様ひとりじめは、ずるいわ」
ユキはそう言うとモグモグ食べていた。
「ユキ、兄様にもわけてくれないかい?」
「もちろんよ、お兄様」
そう言うとクッキーを差し出した。
「オレにも少しわけてくれないかな?」
突然現れたのは、第3王子レイド様だった。
「もちろんですわ、レイド王子様」
ユキは挨拶をして、クッキーを差し出した。3人同時にパクリとクッキーを口にいれた。
本当に特別なクッキーだった。惚れ薬の入ったクッキーだったのだ。母が今日のお見合いでデイビットが気に入った娘に食べさせようと考えていたのだった。
デイビットはユキに恋をした。
レイド王子様はユキに恋をした。
ユキはレイド王子様とデイビットに恋をした。
母はユキがクッキーを食べたのを知り激怒したが、レイド王子様と食べたことをきくと喜んだ。
「デイビットが困ったことに、なったわねぇ」
と、つぶやいた。
デイビットは一通り挨拶をすませると、もううんざりだというように、肩をすくめた。そんなデイビットの目のはしに小さく走る影があった。妹のユキだった。ユキは手に何かを隠し持っている。
「あのいたずら娘め、何を持っているんだ?」
小さくひとり言をいい、デイビットはそーっとパーティーを抜け出して、妹のほうへ向かった。ユキは中庭のバラ園の間に座り、クッキーを食べていた。デイビットは、小さな声で言った。
「いたずら娘、何を食べているんだ?」
「お兄様?これは特別なクッキーよ?お母様のお部屋から持ってきたの。昨日きた商人から購入したものだわ。特別なクッキーって言ってたもの。お母様ひとりじめは、ずるいわ」
ユキはそう言うとモグモグ食べていた。
「ユキ、兄様にもわけてくれないかい?」
「もちろんよ、お兄様」
そう言うとクッキーを差し出した。
「オレにも少しわけてくれないかな?」
突然現れたのは、第3王子レイド様だった。
「もちろんですわ、レイド王子様」
ユキは挨拶をして、クッキーを差し出した。3人同時にパクリとクッキーを口にいれた。
本当に特別なクッキーだった。惚れ薬の入ったクッキーだったのだ。母が今日のお見合いでデイビットが気に入った娘に食べさせようと考えていたのだった。
デイビットはユキに恋をした。
レイド王子様はユキに恋をした。
ユキはレイド王子様とデイビットに恋をした。
母はユキがクッキーを食べたのを知り激怒したが、レイド王子様と食べたことをきくと喜んだ。
「デイビットが困ったことに、なったわねぇ」
と、つぶやいた。
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