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1年半ぶりの再会
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大広間に向かうと、既にジスが玉座に座りワインを手にしているところだった。こく、と形のいい喉仏が跳ねる。僕が来たことに気づくと飲み干したグラスをテーブルに乗せて、僕のほうへ歩み寄る。
ふわ、と抱きしめてくれるジスの温もりに、堪えていた涙が再び頬を伝う。
「泣き虫は治っていなさそうだな」
「……そんなことないよ。天上の国ではいっぱい耐えたもん」
思わず口調が幼くなってしまう。桜を産んで以来、自分には母親であるという自覚が芽生え、決して他人に甘えてはいけないと思っていたから。だから、今こうして身も振りも構わずに甘えさせてくれるジスがいることが有難い。
僕はジスの背中に手を回して、しばらく胸元に顔を埋める。
「長い、旅だったよ……」
「ああ。よく戻ってくれた」
ジスが僕の頭をよしよしと撫でてくれる。それが心地よくて、自分から頭を擦り付けていた。
「……ねえ。もう少しこのままでいていい?」
「もう少しと言わずに、そなたの気が済むまででよい」
僕はジスに身体を預けて、瞳を閉じる。自然と、テルー城で暮らした日々が瞼の裏に浮かんでくる。僕の在り処になってくれるこの城に感謝した。しかし、それと同時に思い出してしまうのはシュカ王子の悲痛な声と表情。あんな顔のシュカ王子は見たことがなかった。桜も環境が変わってもすくすく育ってくれるだろうか。やっとジスに会えたというのに、僕の頭の中には不安でいっぱいだ。そんな僕を見かねたのかジスが僕の頬っぺを、むにゅ、と指でつまむ。
「そんなに難しい顔をしなくてもいい。わたしはそなたが王子の世継ぎを冥界に連れ帰ってくれただけで十分有難いのだ。天上の国でのことは1度忘れて、わたしと阿月、そして桜の子育てに集中すればいい」
「……ジス」
ジスの緋色の瞳が温かく灯る。僕のこころの篝火のように、照らしてくれる。
僕にはひとつだけ聞いておきたいことがあった。
「でも、どうしてジスは天上の国に来ることが出来たの? 前に冥界の魔王であるジスは天上の国には行けないと聞いた気がするんだけど……」
「ああ。それなら」
と、ジスは僕のネックレスを指さす。
「わたしの身体の1部が天上の国にあれば、わたしはそこにのみ出現することができるんだ」
「そうだったんだ。だから、僕にジスの角を砕いたネックレスを渡したんだね」
「そなたのお守りだ」
ふふ、と微笑むジスを見て納得がいった。その表情のまま、ジスは
「まずはよく寝て、よく食べよう」
と言う。
「そうだね。じゃあ、僕は桜を連れてくるからーー」
不意に背中からジスに抱きとめられた。僕の前に回る腕の力強さに驚く。
「今宵だけ、そなたと2人きりで過ごしたい」
「え……僕と2人きりで?」
「ああ」
ジスの腰の辺りから、僕のおしりに当たる昂りが全てを表していた。
「……だめか? わたしはこの日を待ち侘びて、とても期待してしまったんだが……」
「桜のことをライアとメビウスが見てくれるなら、いいよ」
ふ、とジスは満足げに微笑む。
「わかった。2人に伝えておこう」
ジスに背中を押されて、改築したと聞いた部屋に戻る。扉をぱたりと閉めてから、ジスが僕を抱き寄せる。
ふわ、と抱きしめてくれるジスの温もりに、堪えていた涙が再び頬を伝う。
「泣き虫は治っていなさそうだな」
「……そんなことないよ。天上の国ではいっぱい耐えたもん」
思わず口調が幼くなってしまう。桜を産んで以来、自分には母親であるという自覚が芽生え、決して他人に甘えてはいけないと思っていたから。だから、今こうして身も振りも構わずに甘えさせてくれるジスがいることが有難い。
僕はジスの背中に手を回して、しばらく胸元に顔を埋める。
「長い、旅だったよ……」
「ああ。よく戻ってくれた」
ジスが僕の頭をよしよしと撫でてくれる。それが心地よくて、自分から頭を擦り付けていた。
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僕はジスに身体を預けて、瞳を閉じる。自然と、テルー城で暮らした日々が瞼の裏に浮かんでくる。僕の在り処になってくれるこの城に感謝した。しかし、それと同時に思い出してしまうのはシュカ王子の悲痛な声と表情。あんな顔のシュカ王子は見たことがなかった。桜も環境が変わってもすくすく育ってくれるだろうか。やっとジスに会えたというのに、僕の頭の中には不安でいっぱいだ。そんな僕を見かねたのかジスが僕の頬っぺを、むにゅ、と指でつまむ。
「そんなに難しい顔をしなくてもいい。わたしはそなたが王子の世継ぎを冥界に連れ帰ってくれただけで十分有難いのだ。天上の国でのことは1度忘れて、わたしと阿月、そして桜の子育てに集中すればいい」
「……ジス」
ジスの緋色の瞳が温かく灯る。僕のこころの篝火のように、照らしてくれる。
僕にはひとつだけ聞いておきたいことがあった。
「でも、どうしてジスは天上の国に来ることが出来たの? 前に冥界の魔王であるジスは天上の国には行けないと聞いた気がするんだけど……」
「ああ。それなら」
と、ジスは僕のネックレスを指さす。
「わたしの身体の1部が天上の国にあれば、わたしはそこにのみ出現することができるんだ」
「そうだったんだ。だから、僕にジスの角を砕いたネックレスを渡したんだね」
「そなたのお守りだ」
ふふ、と微笑むジスを見て納得がいった。その表情のまま、ジスは
「まずはよく寝て、よく食べよう」
と言う。
「そうだね。じゃあ、僕は桜を連れてくるからーー」
不意に背中からジスに抱きとめられた。僕の前に回る腕の力強さに驚く。
「今宵だけ、そなたと2人きりで過ごしたい」
「え……僕と2人きりで?」
「ああ」
ジスの腰の辺りから、僕のおしりに当たる昂りが全てを表していた。
「……だめか? わたしはこの日を待ち侘びて、とても期待してしまったんだが……」
「桜のことをライアとメビウスが見てくれるなら、いいよ」
ふ、とジスは満足げに微笑む。
「わかった。2人に伝えておこう」
ジスに背中を押されて、改築したと聞いた部屋に戻る。扉をぱたりと閉めてから、ジスが僕を抱き寄せる。
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