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 一番明るい日光はすぐに消えた。その10倍ほどの時間で月光は消えて、さらに倍くらいの時間で火光が消えた。
「え?なんで?月光より火光の方が明るいのに長く持つの?どうして?」
 サラちゃんが驚いて声を上げる。
 うーん。私の仮説。
 日光は太陽光。太陽ってものすごいエネルギーを持ってるよね。だから魔力がたくさんいる。
 ……っていうか、小さな太陽みたいなものを魔法で出すって考えたら、ものすごくない?3時間小さな太陽出現させるんだよ?うひゃぁーだよ。
 そして、月光は太陽光の反射光だ。どっかで7%がどうのと書いてあるのを見た。何の数字か分からないけど、7%を反射してる?よくわからないけどそう考えれば、月光は日光の10分の1以下の魔力で大丈夫なはず。で、火光はエネルギー量が魔力なのであれば、ほとんどは熱にエネルギーは取られ、明るさに使われるのは少ないんじゃないかな?と。知らんけど。
「分からないけれど、光には他にも種類があるのは分かったよね?」
 うんと、サラちゃんが頷いた。
「で、天井の近くにあるあれ。あれは日光じゃないの。LED。えーっと発光ダイオードで作られたライトなの」
 サラちゃんが興味深く聞いている。
「LEDはもっと長持ちするんだけど、サラちゃんもチャレンジしてみて」
 うんとサラちゃんは頷いた。
「【LED】」
 光魔法改革だ!と、サラちゃんがLEDの光の玉を出すのを期待して見つめる。
 ……出ない。
 どうして!
 でも火光もすぐには出せなかったよね。なんだろう、具体的なイメージがしにくいのかな。
「えっと、LEDというのは発光ダイオード……半導体がどうので……あー、えっと、光るクラゲという生き物から青色ダイオードが作れるようになって」
 サラちゃんがぽんっと手を打った。
「光る生き物、蛍とかを集めた光ってことですか?」
「うーん、蛍をそのまま集めたんじゃなくて、光る成分を集めて加工してそれに電圧をかけると光るというか……あー」
 私自身がよくわかってないのに、こんなあやふやに説明されたって分かるわけないよね。
 蛍の光か……。頭の中で音楽が流れだした。光魔法改革終了。閉店ガラガラ。またのご来店をお待ちしております。
 サラちゃんが私が出したLEDの光の玉をじーっと見上げている。
 サラちゃんの呪文で私が出したLEDの隣に同じような光の玉が出現した。
「できました!」
 できるんかい!
「えーっと。【月光】【LED】これで、消費魔力比べればいいですよね」
 そして、もうしっかり私が次に知りたいことをを先取りして実験始めるし。
 恐ろしい子。なんて賢い子なのかしら。
 というわけで。
 MPという項目があるならば。体感としてLED:消費MP1、火光:消費MP5、月光:消費MP15、日光:150といった感じ?
 もちろん、それぞれ、明るさ、大きさ、継続時間で変動するけれど。
 同じ明るさで同じ時間の日光とLEDでは150倍も消費魔力が違うんじゃぁ、そりゃぁ……ねぇ?
 電球や蛍光灯でも何十倍も違うわけで……。
 サラちゃんは魔力が多い方だといっていたけど、他の光属性魔法の使い手はもっと日光も月光も継続時間も少ないわけだよね。
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