異世界転移聖女の侍女にされ殺された公爵令嬢ですが、時を逆行したのでお告げと称して聖女の功績を先取り実行してみた結果

富士とまと

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川と森

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「なっ、なんだよ、ケーキを食ってる時よりおいしいって顔してるけど、そんなにうまいのか?」
 あら?美味しいが顔に出てましたか?
 殿下はテーブルに置いた皿からポテチをつまむと躊躇なく口に入れた。
「んっ、うんまぁ!」
 まだ口の中にポテチが入っている段階でそう言うと、2枚目、3枚目とポテチを手に取り食べた。
 どうやら殿下も気に入ったようです。と、思ったら、突然殿下が手を止めた。
「もしかして……俺にこれを用意してたから、俺が勝つことができたのか……?俺に気を使って勝たせたのか?」
 あら?勝ちを譲られたということでショックを受けてしまったみたい。せっかくやる気を出させようと思ったのにこれは逆効果になってしまったのでは……?
「いいえ、違いますわ。辺境伯領出身者がいるということで調理場へ話を聞きに行ったのですが、生憎と今日は休みで会えなかったのです。勝つ気でおりましたが、勝負に負けたのは運が無かったからです。これはあくまで調理場へ行ったついでです」
「運で、俺は勝ったのか……?」
「運も実力のうちとは言いますが、次は負けませんわよ?」
 殿下はどうにもスッキリしない表情をしている。
「今回は、引き分けということでどうだ?こんなうまい菓子を用意したエリータもすごいと思う」
 夢の中での殿下は私を馬鹿にすることが好きで、少しでも自分が勝ったと思うようなことがあればけちょんけちょんに言っていたのに……。俺の方が早く走れるだの、俺の方が背が高いだの……くだらないことで……。それが、エリータもすごいなんて褒めるなんて……。どうしたんだ、いったい!頭でも打ったのか?
「あーっと、それで私は謎を解くことができませんでした。殿下、教えていただけますか?」
 と、教えを請うてみた。エリータは知らないのか俺が教えてやると偉そうな態度に変わるかと思ったら、全然そんなことはない。……なんか調子が狂うなぁ。
 殿下がポテチの皿を机の隅にどかして、地図を広げる。
「ここに、森があるんだ」
 川の内側に村をつくらない理由を調べていたんじゃなかった?なんで、森?
「川はさ、水だけじゃなくて、森の土も運んでくるんだって。森は木を元気に育てるだろ?その元気に植物を育てる土を運ぶ。洪水が起きると、その土がどばーっと広がるんだって」
 殿下が地図の上で手を動かして、水害のあった村の上に出す。
「だから、水害が起きた外側の土地は、作物が良く育つ。それで、外側に畑を作って生活してるらしい。内側の土地は数年で作物の育ちが悪くなるんだって」
「へー、そうなんだ。すごいですわね。まさか川だけが理由ではなく、森が関わっていたなんて……」

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