転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

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特別編3:異世界

人混みの中で

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──〔human side〕──

私達はレフィさん達の居るフレースの街へ急いだ。

立ち寄った村から南東へしばらく飛ぶと森林の中にある大きな外壁が見えてくる。

騒ぎは聞こえてこないし戦闘は起こっていないみたい。

「さあ、勇者狩りの始まりだ?」
「話しの通じる人とは戦ったら駄目なんだぞ」
「分かってる。言ってみただけ」

ソラちゃんとテュケ君が街を見下ろしながら話していた。

「レフィ達は中央の広場付近に居ると言っていたわ。門から入るわよ」

緊急性を感じなかったリオさんの指示で門より少し離れた所に着地して歩く。

門には衛兵さんに止められたけど、ソラちゃんが勇者の証を見せたら『通ってよし』とだけ。何も確認しないんだ?

「ん、これは便利」
「どこの街でもこの感じじゃ無いことを祈るわ」

満足げに頷くソラちゃんとため息混じりに言うリオさん。

確かに警備としては良くないよね。ならず者の勇者だったら…そもそも公認を得られてないかな。

で、中に入って周りを確認。
街の中は賑やかで普段通りの街っぽいんだけど。

「レフィは『手こずっている』と言っていたけど、苦戦しているとは言っていなかったわね」

リオさんは神経を尖らせて周りを警戒していたけど脱力しながら呟く。

「情報収集に手こずっているんなら、俺達が役に立つんじゃないか?」

テュケ君の言う通り、私達はこの世界での身分証明を手に入れたしお金も沢山持っている。レフィさん達を支援する事は簡単かも?

「そうだね。まずはレフィさん達を探そう」

一応警戒をしつつも中央の広場を目指す。石畳の大きな通りの両側には露店が並んでいて興味をそそられる。

普通に活気のある良い街だね。

「美味しそうな匂い~」
「まだダメよ」

フラフラと露店の方へ行こうとするソラちゃんをリオさんが捕まえる。

「用が済んだら食べ歩きをしようね」
「ん。早く済ませよう」

串焼きの屋台とかフルーツを絞って作るジュースとか美味しそうなものが目に付くけど、今は我慢だよ?

広場は円形で、乗り合い馬車の発着場に高級そうなホテルとか、店構えのしっかりしたレストランやカフェもある。
歩いてきた通りよりも数は減っているけど露店も幾つか出ていた。

ここから四方に大通りが伸びていて、どの方向にも絶え間なく人が移動している。

「お嬢ちゃん達、そこに立っていると危ないよ!」

後ろから声をかけられて振り返ると大きな荷馬車がゆっくりとこちらにやってきていた。

「ごめんなさい」と一声掛けて隅っこに寄ると、御者のおじさんは軽く手を振って荷馬車を進める。
この広場を中継して他の通りに入っていったので、商人街はもっと奥の方にあるみたいだね。

「レフィ達はどこかしら?」

リオさんは背伸びをしながら周りを見渡す。こんなに人が多いと見つけるのは大変そう。

この世界の人達はアスティアと同じ位の能力っぽいし、魔力で探知できないかな?

…あ、これかな?

「広場の反対側に大きな魔力反応がありますよ」
「行ってみましょう」

通行人や馬車を避けて広場の反対側へ向かう。

「あれ、アニエスさんじゃないか?」
「ホントだ」

広場の端で長身の男性に声を掛けられているアニエスさんを見つけた。

「ナンパされてる?」
「聞き込みでしょ?」

そう話しながら近づいて行くソラちゃんとリオさん。
他の人は居ないみたいだけど…とにかくアニエスさんに話を聞いてみよう。

「俺が君の欲しがっている情報を話したら今日一日付き合ってくれる?」

男の人は腰に長剣を下げていたから冒険者的な人か、勇者かも知れない。
長めの金髪に両耳ピアス、幾つも指輪をしていてあまり仲良くなりたくないタイプのお兄さんだった。壁際に立つアニエスさんにかなり近付いて、手を付いてアニエスさんの行く手を遮っている。

「壁ドンね」
「ん?壁ドンって隣の人が煩い時にやるんじゃないの?」
「それってボケてるの?」

ソラちゃんとリオさんは歩く速度を落として二人の様子を見ている。
いやいや、助けてあげないと。

「それは困ります。私達、人を探しているので」

アニエスさんは柔らかく笑顔を作ってハッキリと断っていた。
こういうのに慣れているのかな。

「アニエスさん」
「ミナさん、どうしてここに?」
「レフィさんと話をして、手こずってるって聞いたので応援に来ました」
「そうだったのですね。ありがとうございます。みんなとははぐれてしまって…」

アニエスさんはレフィさんとは話をしていないみたい。

「ねぇ、君達はこの子のお友達かい?」
「え?はい」

アニエスさんに声を掛けていたお兄さんが私に聞いてくる。

「私達は忙しい。聞いた事を答える気がないならどっか行って?」
「そんなこと言わないでみんなで遊ばない?」

ソラちゃんに冷たく言われてもヘラヘラと笑って動じないお兄さん。

「ねえ、あなたは勇者?」
「そうだよ。俺はこの街の認定勇者、ロガス・シュルト」
「勇者なら他の勇者の事も知っているわよね?私達に詳しく教えてもらえないかしら」

リオさんが詰め寄ってもヘラヘラしたまま。むしろ喜んでるんじゃないかな?

「…見つけたぞクソ野郎」

不意に声を掛けてきたのは、背中には大剣を背負ったいかにも戦士という風貌のおじさん。つかに手を掛けて剣を抜こうとしているし、ただごとじゃなさそう。

「またアンタか。男には興味ないんだけどな」

アニエスさんやリオさんと話していた態度から一変、冷たい視線を送っている。

「その減らず口を二度と聞けなくしてやる!」

ちょ、ちょっと…こんな所で大剣を振り回したら危ないよ!

テュケ君が正面に回り込んで止めに入ってくれる。
でもそれより早く…

「えい」

ソラちゃんがおじさんの足を掴むと思い切り引っ張って転ばせた。そのまま片手でおじさんを持ち上げると石畳に叩き付ける。

「ぐはっ…!何をする!?」
「暴れるなら街の外でやって?」
「ええい、離せ!」
「分からないならしょうがない」

ソラちゃんはおじさんを持ち上げては地面に叩き付けるを繰り返し始める。何度かやっている内に静かになっちゃった…。

「ソラちゃんやり過ぎだよ!」
「そう?」

おじさんに回復魔法を掛けておく。

「…君、勇者なの?」
「うん。アストの公認勇者のソラだよ」
「そうなんだ。ちなみにソイツも勇者だよ」
「おー情報源が増えた。じゃ、静かな所で話をしよ?」

ニコリと笑うソラちゃんに引き攣った笑顔を返すお兄さん。
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