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特別編3:異世界
神の国
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──〔another side〕──
あれからかなりの月日が流れた。
かなり早い段階でオラクルの中で世界の時間を加速させる方法を見つけて実行しておいたから、外の世界ではそんなに時間が経っていないと思う。そうしたのには理由があった。
あの日、流石に人質を取ると言われたらこちらも穏やかに済ませる事はできなかった。
人に被害の出ない様に要塞の上半分程を吹き飛ばして首相さん達に警告する。
『私はクルエナール連邦だけに味方するつもりはありません』
その後、ザクスさんとルルちゃん、騎士さん達のご家族も転移で連れ出して大森林の獣人族の村に避難。何も知らない騎士さん達のご家族に事情の説明しながら今後の対応について話し合っていたら、数日後には軍隊を差し向けてきた。
私達の動きを読んでいたのかも知れない。
クルエナールがこの世界で最強の国家だとしても、例え私がオリジナルの10分の1程度の出力が出なくても手加減しなければどうとでも出来る。
私達に構わないでほしいと警告をしたのだけど、相手は森ごと焼き払うつもりで来ていたので已む無く排除した。
軍の動きを見て、政府高官であるマークさんのお父さんも連邦の味方をするつもりを無くしたらしく、森に住む獣人を国民とした国家を樹立しようと言い出した。ゴードンさんとニールさんのご家族もこの動きに賛成で、積極的に手伝ってくれる事になった。
ここまでは良かったのだけど、国の王を私にしようと言い出して困ってしまった。私はこの世界のものではないし、そもそも神様の代行なのだから人間に必要以上に介入してはいけないと思ったから。
…まあ今更なんだけどね。
断ろうとしたんだけど、『獣人族達には後ろ盾が必要です』と言われたらやらざるを得ない。アウラさんのサポートも貰いながら新しく興る国の王になる事にした。
断ろうとした理由はもう一つあって、大森林に攻めてきたクルエナール軍を追い払った時に物凄い違和感を感じていた。
かなりの数の人を殺めてしまったのだけど、罪悪感よりも高揚感があった事。こんな事なんて今まで一度もなかったのに…。
それから心の奥底から聞こえてくる声。
(滅ボセ…皆殺シニシロ…)
(全テヲ無ニ帰セヨ…)
アウラさんに聞いてみても[声は聞こえません]って言われた。
私にだけ聞こえてるんだ?
これってもしかして悪神化したウルドベルズ様だったり…?
いやいや、あの神様は完全に取り込んだのだから私に話しかけて来る事なんて無い筈だ。だとしたら悪神としての何か…例えば虚空の覇者さん達が言っていた《闇》だったりするのかも。
…本体に戻らなくて正解だったね。
時間を加速させたのは私が悪神化するかを見定める為。そうなってしまっても本体の私達が必ず倒してくれる。
こんな私がこの世界の神様代行なんてやっていて良いのか分からないけど、今は出来る事をやろうと思う。
ーーーー
──結局、クルエナール連邦には滅んでもらった。
大森林で興った獣人族の国を対外的に認めてもらう為にクルエナール連邦以外の国に承認を得る事は意外と簡単に出来たのだけど、あの国とは最後まで歩み寄る事は出来なかった。
私を邪神と呼んで次々と軍隊を送り込んできたあの国は、遂には14歳以上の男女を全て徴兵すると発表して徹底抗戦の構えを示した。
これには国民も強く反発して内戦状態に。併合させられていた国が次々と挙兵してクルエナール連邦内は酷い状態になってしまった。
離反した国の中には私達に味方する国も多く、長い戦争で疲弊した人達に援助の手を差し伸べて友好関係を強固なものにしていった。
連邦が完全に崩壊、消滅するには二年かかった。
それまでに失った生命は数え切れない。
獣人族の国は旧クルエナール連邦を取り込む様な形で急拡大していき、この大陸で獣人を迫害する者は居なくなった。
これで平和になったかと思ったのだけど世界はそう簡単には出来ていない。
今度は獣人族が旧クルエナール連邦の高官だった部族を迫害する様になった。
勿論私はやめる様に言ったけど目の届かない所で横行して、また沢山の血が流れてしまった。
…同じ事の繰り返しだ。
(汚レタ魂ヲ駆逐セヨ)
この世界の人達にはみんな仲良くしてもらいたいと思うのだけど、何かあれば直ぐに戦争を始めてしまう。
領土の拡大、資源の確保、怨恨などなど…その兆候がある度に私が出向いて調停してきた。
(愚カナ人種ニ等シク滅ビヲ)
他の大陸の国とも争いが続いた。
理由は似た様なもので、侵略者には容赦なく反撃を行ったけど、それ以外には可能な限り友好的に触れ合ってきた。
外交に関しては騎士さん達とご家族が協力してくれて上手く取りまとめてくれていたし、国の重要な役職には種族の隔たりなく平等に就けるようにしてきたつもりだ。
もう少し安定したら私は国王を辞して神界に帰ろうと思うのだけど…。
(生ケル者全テヲ滅ボセ)
(世界ニ終焉ヲ──)
「あーもう!うるさいなぁ!」
ずーっと無視してきたけどそれを良い事に好き勝手に語りかけてきて、四六時中そんなこと言われたら頭がおかしくなっちゃうでしょ‼︎
それに何?等しく殺せだの穢れた魂を滅ぼせだの人種を滅ぼせだの、言ってる事が滅茶苦茶じゃない!結局私に何をさせたいの!?
言っておくけど世界を終わらせるなんて絶対にしないから!今まで沢山苦労してきたけど私はこの世界の人達に絶望して全員死んじゃえって考えにはならないよ!
ここで出会って来た人達の全てが良かった訳じゃないけど、ここでの出来事を無かった事になんて絶対にするつもりはないから‼︎
「私は神様代行として、本当の神様が見つかるまでこの世界を守り続けるんだから!だから何を言っても無駄なんだからね‼︎」
はぁっ…はぁっ…。
よく分からない謎の声に全力で言い返してしまった。
誰かに見られたら頭がおかしくなったと思われそう…。
「あのぅ…ミナ、さん…?」
おずおずとか細い声で私を呼んだのはルルちゃんだった。
うわぁ…見られてた…。
ここは元大森林に建てられたお城、私の部屋だ。ルルちゃんは私の補佐役として長年付き添ってくれている。
「何かあったのですか…?」
「う、ううん!何でもないよ!ホント何でもないから」
心配そうに私の事を見つめるルルちゃん。
この数年でルルちゃんは私よりも背が伸びてすっかり大人のお姉さんになっていた。この世界の獣人族は成長が早いらしく、寿命も人間の半分くらいだそう。
ルルちゃんは私に業務完了の報告があって来てくれたらしい。一通り報告を終えると「何かあったらいつでも相談してくださいね」と言って部屋を出て行った。
変な心配をさせちゃったね。
ーーーー
あの日以降あの変な声は聞こえなくなった。私が思う通りにいかないと分かって諦めてくれたのかな?
もしあの声が《闇》そのものだったのなら、こんな事で引き下がる事は無いのだろう。次はどんな手段で来るのか、何にしたって私は自分の意思で世界を滅ぼす事はないよ。
あれからオラクルに行って《闇》について調べてみたけど何も手掛かりを見つける事は出来なかった。
でも、何となくだけど分かった事がある。私の考えがもしも正しかったら──
あれからかなりの月日が流れた。
かなり早い段階でオラクルの中で世界の時間を加速させる方法を見つけて実行しておいたから、外の世界ではそんなに時間が経っていないと思う。そうしたのには理由があった。
あの日、流石に人質を取ると言われたらこちらも穏やかに済ませる事はできなかった。
人に被害の出ない様に要塞の上半分程を吹き飛ばして首相さん達に警告する。
『私はクルエナール連邦だけに味方するつもりはありません』
その後、ザクスさんとルルちゃん、騎士さん達のご家族も転移で連れ出して大森林の獣人族の村に避難。何も知らない騎士さん達のご家族に事情の説明しながら今後の対応について話し合っていたら、数日後には軍隊を差し向けてきた。
私達の動きを読んでいたのかも知れない。
クルエナールがこの世界で最強の国家だとしても、例え私がオリジナルの10分の1程度の出力が出なくても手加減しなければどうとでも出来る。
私達に構わないでほしいと警告をしたのだけど、相手は森ごと焼き払うつもりで来ていたので已む無く排除した。
軍の動きを見て、政府高官であるマークさんのお父さんも連邦の味方をするつもりを無くしたらしく、森に住む獣人を国民とした国家を樹立しようと言い出した。ゴードンさんとニールさんのご家族もこの動きに賛成で、積極的に手伝ってくれる事になった。
ここまでは良かったのだけど、国の王を私にしようと言い出して困ってしまった。私はこの世界のものではないし、そもそも神様の代行なのだから人間に必要以上に介入してはいけないと思ったから。
…まあ今更なんだけどね。
断ろうとしたんだけど、『獣人族達には後ろ盾が必要です』と言われたらやらざるを得ない。アウラさんのサポートも貰いながら新しく興る国の王になる事にした。
断ろうとした理由はもう一つあって、大森林に攻めてきたクルエナール軍を追い払った時に物凄い違和感を感じていた。
かなりの数の人を殺めてしまったのだけど、罪悪感よりも高揚感があった事。こんな事なんて今まで一度もなかったのに…。
それから心の奥底から聞こえてくる声。
(滅ボセ…皆殺シニシロ…)
(全テヲ無ニ帰セヨ…)
アウラさんに聞いてみても[声は聞こえません]って言われた。
私にだけ聞こえてるんだ?
これってもしかして悪神化したウルドベルズ様だったり…?
いやいや、あの神様は完全に取り込んだのだから私に話しかけて来る事なんて無い筈だ。だとしたら悪神としての何か…例えば虚空の覇者さん達が言っていた《闇》だったりするのかも。
…本体に戻らなくて正解だったね。
時間を加速させたのは私が悪神化するかを見定める為。そうなってしまっても本体の私達が必ず倒してくれる。
こんな私がこの世界の神様代行なんてやっていて良いのか分からないけど、今は出来る事をやろうと思う。
ーーーー
──結局、クルエナール連邦には滅んでもらった。
大森林で興った獣人族の国を対外的に認めてもらう為にクルエナール連邦以外の国に承認を得る事は意外と簡単に出来たのだけど、あの国とは最後まで歩み寄る事は出来なかった。
私を邪神と呼んで次々と軍隊を送り込んできたあの国は、遂には14歳以上の男女を全て徴兵すると発表して徹底抗戦の構えを示した。
これには国民も強く反発して内戦状態に。併合させられていた国が次々と挙兵してクルエナール連邦内は酷い状態になってしまった。
離反した国の中には私達に味方する国も多く、長い戦争で疲弊した人達に援助の手を差し伸べて友好関係を強固なものにしていった。
連邦が完全に崩壊、消滅するには二年かかった。
それまでに失った生命は数え切れない。
獣人族の国は旧クルエナール連邦を取り込む様な形で急拡大していき、この大陸で獣人を迫害する者は居なくなった。
これで平和になったかと思ったのだけど世界はそう簡単には出来ていない。
今度は獣人族が旧クルエナール連邦の高官だった部族を迫害する様になった。
勿論私はやめる様に言ったけど目の届かない所で横行して、また沢山の血が流れてしまった。
…同じ事の繰り返しだ。
(汚レタ魂ヲ駆逐セヨ)
この世界の人達にはみんな仲良くしてもらいたいと思うのだけど、何かあれば直ぐに戦争を始めてしまう。
領土の拡大、資源の確保、怨恨などなど…その兆候がある度に私が出向いて調停してきた。
(愚カナ人種ニ等シク滅ビヲ)
他の大陸の国とも争いが続いた。
理由は似た様なもので、侵略者には容赦なく反撃を行ったけど、それ以外には可能な限り友好的に触れ合ってきた。
外交に関しては騎士さん達とご家族が協力してくれて上手く取りまとめてくれていたし、国の重要な役職には種族の隔たりなく平等に就けるようにしてきたつもりだ。
もう少し安定したら私は国王を辞して神界に帰ろうと思うのだけど…。
(生ケル者全テヲ滅ボセ)
(世界ニ終焉ヲ──)
「あーもう!うるさいなぁ!」
ずーっと無視してきたけどそれを良い事に好き勝手に語りかけてきて、四六時中そんなこと言われたら頭がおかしくなっちゃうでしょ‼︎
それに何?等しく殺せだの穢れた魂を滅ぼせだの人種を滅ぼせだの、言ってる事が滅茶苦茶じゃない!結局私に何をさせたいの!?
言っておくけど世界を終わらせるなんて絶対にしないから!今まで沢山苦労してきたけど私はこの世界の人達に絶望して全員死んじゃえって考えにはならないよ!
ここで出会って来た人達の全てが良かった訳じゃないけど、ここでの出来事を無かった事になんて絶対にするつもりはないから‼︎
「私は神様代行として、本当の神様が見つかるまでこの世界を守り続けるんだから!だから何を言っても無駄なんだからね‼︎」
はぁっ…はぁっ…。
よく分からない謎の声に全力で言い返してしまった。
誰かに見られたら頭がおかしくなったと思われそう…。
「あのぅ…ミナ、さん…?」
おずおずとか細い声で私を呼んだのはルルちゃんだった。
うわぁ…見られてた…。
ここは元大森林に建てられたお城、私の部屋だ。ルルちゃんは私の補佐役として長年付き添ってくれている。
「何かあったのですか…?」
「う、ううん!何でもないよ!ホント何でもないから」
心配そうに私の事を見つめるルルちゃん。
この数年でルルちゃんは私よりも背が伸びてすっかり大人のお姉さんになっていた。この世界の獣人族は成長が早いらしく、寿命も人間の半分くらいだそう。
ルルちゃんは私に業務完了の報告があって来てくれたらしい。一通り報告を終えると「何かあったらいつでも相談してくださいね」と言って部屋を出て行った。
変な心配をさせちゃったね。
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あの日以降あの変な声は聞こえなくなった。私が思う通りにいかないと分かって諦めてくれたのかな?
もしあの声が《闇》そのものだったのなら、こんな事で引き下がる事は無いのだろう。次はどんな手段で来るのか、何にしたって私は自分の意思で世界を滅ぼす事はないよ。
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