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特別編3:異世界
神様代行
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──〔another side〕──
本体達を送り出して、それぞれが帰還するのを見届けてから私達は悪神の討伐完了を報告する為に要塞に戻る事にした。
行きは《テレポート》が使えなくて陸路を行く事になったけど、ウルドベルズ様を吸収し返した事で奪われた能力を全て取り返しているから魔法の使用は出来る。
ザクスさんとルルちゃんを連れて行くのは良くないかもと思ったけど、この際ハッキリと言わせてもらう為に敢えて一緒に来てもらう事にした。
要塞の前に《テレポート》で移動すると警備の兵士の人達が驚きながらもこちらに呼び掛けてきた。
マークさんが受け答えをしてくれて簡単に要塞の中に通してくれた。
会議室の様な所で待っていると首相さん達がやって来る。
「ミナ様、お帰りになってないと言う事は…」
「いえ、この世界の魔神は全て討伐しました」
「おお…!」
側近の人達と一緒に声を上げる首相さん。
「…それで、ミナ様は何故元の世界にお帰りにならなかったのでしょう?」
「話すとややこしくなるのですが、先日ここに来た私と今ここにいる私は別人です」
私は分身体である事、この世界の神様が不在になってしまった事で世界崩壊の危険性があるからここに留まる事になった事を説明した。
「成る程…事情は分かりました。皆、長旅でお疲れでしょうから今日はゆっくり休んでいただいて、明日の昼にでも詳しい話を伺いましょう」
首相さんは側近の人に指示を出してそれぞれに部屋を用意してくれた。
ザクスさんとルルちゃんにも一部屋ずつ。
[想定通りに進んでいます]
…うん。ちょっと残念かな。
ここに来る前に私達は打ち合わせをしていた。
私が異世界の神という事は本体が説明してしまっているから今更隠す事は無い。
この世界の管理者権限を持っている事も話してしまって良いだろう。
『自国の首相を悪く言うのはどうかと思いますが、あの方は野心家です。目の前の脅威が無くなれば次にやりそうな事はある程度予想できます』
『だな。その中で一番最悪なのはミナの排除だろう。俺達かザクス、ルルを人質にして言う事を聞かせようとするかも知れない』
『うん。こっちのミナさんが分身体で、本来の10分の1くらいの力しか無いって知ったら無茶な事をして来るかも』
マークさん、ゴードンさん、ニールさんは自分の国が不利になる事を承知で私の味方をしてくれた。
『特にルルを普通の客人扱いし出したら気をつけた方が良い。一人の所を攫って交渉材料にされかねない』
『…やっぱり私、行かない方が良いのではないでしょうか?ミナさんの足手纏いにはなりたくないです』
ザクスさんの話を聞いて顔を青くしているルルちゃん。
『大丈夫だよ。全員私が守るから。今はクルエナール連邦が信頼できる国かを判断したいから少しだけ付き合って』
『分かりました』
想定される結果に対しての行動は、全部アウラさんが計画してくれた。
私はいざという時の為に、加護を5人に与えておいた。この加護はアモルエトールのシステムにあるもので、加護を受けた人の身体能力の向上に加えて私といつでも意思疎通が出来る様になるらしい。
目や耳を借りて状況を把握する事も出来た。
私とザクスさんとルルちゃんは部屋で待機中。騎士さん達は首相さんに呼び出されて報告をさせられていた。
『…ふむ。それで、彼女を籠絡する事は出来たのかね?』
『ミナさんは素晴らしい人です。クルエナールだけの為に利用するなどと考えてはならないと…』
マークさんが意見するとつまらなそうに溜息を吐く首相さん。
『つまり君達に与えた任務は失敗だったのだね。残念だ』
『我々の話を聞いてください!』
『君達に意見など求めていない。魔神が消え、世界を制する手札はここにある』
食い下がるマークさんを一瞥して話す首相さん。
『ミナを扱いきれると本当にお思いですか?』
ゴードンさんは怒りを押し殺して聞いている。
『ただの小娘だろう。神だか何だか知らんが情に訴えるかすれば簡単に操れよう』
『愚かな事はおやめ下さい。これまで通りの友好的な関係でいいじゃないですか』
ニールさんも必死だった。…私に聞かれている事は3人とも知っている。
『どうやら君達3人は私のやる事に反対の様だ。まあいい、これから起こる事を見ていると良い』
[ザクス、ルルの部屋の前に騎士が集まっています]
…やっぱりこうなっちゃったかぁ。
私はそれぞれの部屋に転移して二人を回収する。ついでに扉が開かない様に魔法で固めておいた。
「駄目だったみたいだな」
「はい。マークさん達が説得してくれましたけどダメでした」
ザクスさんと話しながらマークさん達の様子を確認。まだ説得を続けてくれている。
「騎士様達を連れて逃げるのでしたよね?」
「うん。みんなで森に帰ろう」
心配そうなルルちゃんの手をとって落ち着かせる。
『君達には本当に困ったな。こうまで頑固とは…これはご家族にも相談が必要の様だ』
まさかこうなる事を想定して既に3人のご家族に何かしているの?
[検索…現在3人の家族には監視が付いている模様]
首相の命令でいつでも捕まえられる状況にあると。
そこまでするなら私も怒るよ?
本体達を送り出して、それぞれが帰還するのを見届けてから私達は悪神の討伐完了を報告する為に要塞に戻る事にした。
行きは《テレポート》が使えなくて陸路を行く事になったけど、ウルドベルズ様を吸収し返した事で奪われた能力を全て取り返しているから魔法の使用は出来る。
ザクスさんとルルちゃんを連れて行くのは良くないかもと思ったけど、この際ハッキリと言わせてもらう為に敢えて一緒に来てもらう事にした。
要塞の前に《テレポート》で移動すると警備の兵士の人達が驚きながらもこちらに呼び掛けてきた。
マークさんが受け答えをしてくれて簡単に要塞の中に通してくれた。
会議室の様な所で待っていると首相さん達がやって来る。
「ミナ様、お帰りになってないと言う事は…」
「いえ、この世界の魔神は全て討伐しました」
「おお…!」
側近の人達と一緒に声を上げる首相さん。
「…それで、ミナ様は何故元の世界にお帰りにならなかったのでしょう?」
「話すとややこしくなるのですが、先日ここに来た私と今ここにいる私は別人です」
私は分身体である事、この世界の神様が不在になってしまった事で世界崩壊の危険性があるからここに留まる事になった事を説明した。
「成る程…事情は分かりました。皆、長旅でお疲れでしょうから今日はゆっくり休んでいただいて、明日の昼にでも詳しい話を伺いましょう」
首相さんは側近の人に指示を出してそれぞれに部屋を用意してくれた。
ザクスさんとルルちゃんにも一部屋ずつ。
[想定通りに進んでいます]
…うん。ちょっと残念かな。
ここに来る前に私達は打ち合わせをしていた。
私が異世界の神という事は本体が説明してしまっているから今更隠す事は無い。
この世界の管理者権限を持っている事も話してしまって良いだろう。
『自国の首相を悪く言うのはどうかと思いますが、あの方は野心家です。目の前の脅威が無くなれば次にやりそうな事はある程度予想できます』
『だな。その中で一番最悪なのはミナの排除だろう。俺達かザクス、ルルを人質にして言う事を聞かせようとするかも知れない』
『うん。こっちのミナさんが分身体で、本来の10分の1くらいの力しか無いって知ったら無茶な事をして来るかも』
マークさん、ゴードンさん、ニールさんは自分の国が不利になる事を承知で私の味方をしてくれた。
『特にルルを普通の客人扱いし出したら気をつけた方が良い。一人の所を攫って交渉材料にされかねない』
『…やっぱり私、行かない方が良いのではないでしょうか?ミナさんの足手纏いにはなりたくないです』
ザクスさんの話を聞いて顔を青くしているルルちゃん。
『大丈夫だよ。全員私が守るから。今はクルエナール連邦が信頼できる国かを判断したいから少しだけ付き合って』
『分かりました』
想定される結果に対しての行動は、全部アウラさんが計画してくれた。
私はいざという時の為に、加護を5人に与えておいた。この加護はアモルエトールのシステムにあるもので、加護を受けた人の身体能力の向上に加えて私といつでも意思疎通が出来る様になるらしい。
目や耳を借りて状況を把握する事も出来た。
私とザクスさんとルルちゃんは部屋で待機中。騎士さん達は首相さんに呼び出されて報告をさせられていた。
『…ふむ。それで、彼女を籠絡する事は出来たのかね?』
『ミナさんは素晴らしい人です。クルエナールだけの為に利用するなどと考えてはならないと…』
マークさんが意見するとつまらなそうに溜息を吐く首相さん。
『つまり君達に与えた任務は失敗だったのだね。残念だ』
『我々の話を聞いてください!』
『君達に意見など求めていない。魔神が消え、世界を制する手札はここにある』
食い下がるマークさんを一瞥して話す首相さん。
『ミナを扱いきれると本当にお思いですか?』
ゴードンさんは怒りを押し殺して聞いている。
『ただの小娘だろう。神だか何だか知らんが情に訴えるかすれば簡単に操れよう』
『愚かな事はおやめ下さい。これまで通りの友好的な関係でいいじゃないですか』
ニールさんも必死だった。…私に聞かれている事は3人とも知っている。
『どうやら君達3人は私のやる事に反対の様だ。まあいい、これから起こる事を見ていると良い』
[ザクス、ルルの部屋の前に騎士が集まっています]
…やっぱりこうなっちゃったかぁ。
私はそれぞれの部屋に転移して二人を回収する。ついでに扉が開かない様に魔法で固めておいた。
「駄目だったみたいだな」
「はい。マークさん達が説得してくれましたけどダメでした」
ザクスさんと話しながらマークさん達の様子を確認。まだ説得を続けてくれている。
「騎士様達を連れて逃げるのでしたよね?」
「うん。みんなで森に帰ろう」
心配そうなルルちゃんの手をとって落ち着かせる。
『君達には本当に困ったな。こうまで頑固とは…これはご家族にも相談が必要の様だ』
まさかこうなる事を想定して既に3人のご家族に何かしているの?
[検索…現在3人の家族には監視が付いている模様]
首相の命令でいつでも捕まえられる状況にあると。
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