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特別編3:異世界

ルトシカ突入

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飛空艇は静かに離陸してドンドン上昇していく。
ルトシカと繋がっている門はかなり上空にあるらしい。

途中で3隻が合流してくる。その内2隻は船というより潜水艦とか、見方によっては飛行船にも見える。

「バカでかいラムが付いているのがエヴァルの船『アルマータグレイヴ』変な形をしている小さい方がリコッタの船『ロアゾブルエステレラ』、大型の方がメレの船『ルミエドゥースゾハル』だ。メレの船はドック艦で、あの中に我々の船を入れて修理を行えるんだ」

エリザベートさんが合流してくる船を指差しながら解説してくれた。

メレ君の船から《シャプロンルージュ》の起動が行われて全員がリンクする。

情報が次々と表示されてくる。
はじめから簡易表示で見やすいね。

「あなた達はこんな船をどうやって手に入れたの?」
「私らは元々鋼鉄の島を狙う海賊だった。あの島は無人で、宝の山なんだと親父に教えられてきたからな。私達が13回目の攻撃をした時、《ピクシーハンズ》の連中も鋼鉄の島にいてな、戦闘になって私とリコッタが捕まった」
「で、縛り首になったと」
「そうそう、海賊は極刑だからな…ってそんなわけあるか!」

ソラちゃんのボケにノリツッコミをするエリザベートさん。

ノリが良くて助かります。

「まあ親父に唆されて色々やらかしてしまったんだが…その後、島の管理者と和解して村ごと移住させてもらって、その時に島の守護者になる代わりに船を飛空艇に改造してもらったんだ。元々遺跡から掘り出したもので作られた船だったんだが、島の超技術で更にパワーアップした」

元々は敵同士が和解して今に至るって感じなんだね。

「鋼鉄の島というのは何なのでしょう?」
「何と聞かれてもなぁ…管理者の話だと世界の礎になった始まりの欠片とか何とか言っていたぞ」

世界の礎?この世界の成り立ちに関係しているのかな。

これが終わったら行ってみたいかも。

飛空艇は雲を抜けて更に上へ。遠くに空間がパックリと開いている箇所が見えてきた。大きい…飛空艇でも余裕で通れる直径がある。

「正面、出て来るぜ!」

船員の1人が声を上げる。

頭を出してきたのは巨大な魚。身体を唸らせてこちらに入って来ようとしている。

「メレ、出て来たぞ!お前の出番だ!」
『早速出番だね。任せて!特装弾用意ー!』

メレ君の声が聞こえてきた。
大きな潜水艦みたいな船が2つに分かれて中が見える。

あれは…!

『魔力式噴進弾、発射!』

ドックの中にあったのは巨大なミサイル!?

炎を噴き上げながら勢いよく魚に突っ込んでいくミサイル。そのまま頭に命中するかと思ったら直前で弾けて小さな弾頭に分かれた!

でもそれじゃ威力は無くなってしまうんじゃ…?

魚の頭を中心に次々と弾頭が炸裂して鱗が溶けていく。
あれは何?

『鱗の欠片を成分解析したからね。魔力を調整しておいたんだ』

なるほど、硬い鱗を無効化する為の兵器だったんだね。

「よし、ラウオ!」
『おう!』

エリザベートさんの合図でラウオさんの船が中央に陣取って艦首の砲を放つ。

鱗が溶けた所に大型魔力砲が突き刺さって魚の頭から半分程を焼いて押し返す。

「焼き魚~」
「文字通り半生ね」
「ソラ、いくらなんでもあれは食べられないぞ」

ソラちゃん、リオさん、テュケ君がそんな話を…。

「火力にムラがある時は半分に切ると焼きやすいですよ」

ユキさんそういう問題じゃないよ…。

「仕上げだ!エヴァル!イルナ!」
『任せておけ!』『任せて!』

エヴァルさんの船の衝角に魔力が集まっていく。イルナさんの船がその後ろに続く。
イルナさんって屋敷に来てた明るい感じのお姉さんだよね。高速機動艦だっけ。あれで勢いを付けるんだね。

イルナさんの船の周りに魔力が集まって、エヴァルさんの船を押し上げる。
そのまま加速して魚の頭を貫通、内部から引き裂いて魚を粉砕した。

おお!凄い!

「全艦続け!全速で門に侵入するぞ!」

エリザベートさんの号令で残りの3隻も続く。

『門を通ったら《シャプロンルージュ》が切れるからね。向こうの世界に行ったらミナさんが起動してね』
「はい!」

私達を乗ったヘッジホッグセレイラとルーティアさん達を乗せたロートヴォルフメルジーネ、リコッタちゃんのロアゾブルエステレラも後に続いて門を潜る。

門の先、ルトシカは大自然が広がる世界だった。
あちこち破壊されていて荒地にもなっているけど、建物などの人工物が見当たらない。

かなり遠くだけど山の様に大きな四足歩行の神獣が歩いているのが確認できた。

「ミナ、《シャプロンルージュ》を」
「はい!」

《アドラステア》、《アルスアドラステア》を起動して《シャプロンルージュ》も作動。

地形の詳細が分かる。
破壊された所に僅かだけど人の居た痕跡があった。あれは…馬車の残骸?よく見たら古い道の跡もある。随分長い間使われてないみたいだ。

《鑑定》で更に詳細を確認する。

人はいないの…?

[地中に人工物があります。人間も確認しました]

そっか。地上は神獣がいるから地中に生活圏を移したんだ。

[10時の方向、神獣がいます]

地形マップに神獣の姿が反映されてハッキリと見えてくる。あれは大きな猿?
山の中腹あたりを掘り返しているけど、何をしているの…?

「あそこは…人が居るのではないですか?」

レアさんは静かに呟く。

「襲われているのですね…!」
「早く助けに行かなくちゃ!」

ユイさんとユウキちゃんが叫ぶ。

「上方に神獣!2匹いるぞ!」

ナオトさんが叫ぶ。空には巨大サーペントドラゴンと巨大な鳥。

「迎撃!エヴァル、イルナ、リコッタ!任せるぞ!」
「「「了解!」」」
「私達は地上の猿だ!突入!」

エリザベートさんが指示を出す。
すぐに助けに行くからね!
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