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特別編3:異世界
マドゥーラの民
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──〔human side〕──
私達は3日間滞、魔法とその使い方についてをしっかりと教えた。
「みんなは魔法が使えるからって使えない人を馬鹿にしたり下に見ちゃいけないからね。みんなの力はみんなが幸せになるために使うんだよ。自分だけの為とか、特定の個人の為の魔法じゃないって覚えておいてね」
「「「はーい!」」」
みんな元気よく返事をしてくれた。
「もうほとんどの子が冒険者になっても活躍できそうな程魔法が使えるね」
シャーナさんが太鼓判を押してくれた。
この世界の冒険者をやってる魔法使いさんの実力がどれくらいかは知らないけどね。
子供達と一緒にシャーナさんも魔法の訓練をしていたけど全然魔法を使うことが出来なかった。
やっぱり子供の頃に瘴気を浴びていたかで魔法の素養は決まるみたい。
「マドゥーラ族みたいになれるとは思わないけど何か一つくらい使えるようになりたかったなぁ」
シャーナさんは悔しそうに笑って話す。
「こればっかりは仕方ないですよ。ところでマドゥーラ族というのはどんな種族なんですか?」
聞いた事のない名前だね。
「あー、人間なんだけど特別魔法が得意な部族なんだよ。マドゥーラの民とも呼ばれているんだけど、あまり良い連中じゃないんだよね」
魔法が得意って事は滅んだ時代の末裔なのかな?
そうじゃないなら瘴気のある環境で育った人かだよね。
「サトライヒの上客リストの中に居たんだよ」
「それってこの街の子が売られた可能性があるという事ですか?」
「可能性はあるけど、最近は来ていないみたいなんだ」
それは一度確認してみる必要があるかも。
「サトライヒ商会に行ってみる?」
アンネさんが聞いてくる。
「そうですね。マドゥーラ族という人達の事を詳しく知れるかもしれませんし」
もしこの街の孤児がマドゥーラ族に買われて連れて行かれているならその後どうなったかを聞けるかもしれないし、もしかしたら取り戻せるかも知れない。
「じゃあ私が案内したほうがいいかな?」
「いえ、大丈夫です」
《鑑定》使えばすぐ分かるからね。
「今更何かしてくるとは思えないけど気を付けて」
「もし何かされたら商会ごと埋めちゃうから大丈夫だよ」
またほのかさんは過激な事を言ってるよ。
シャーナさんには孤児院に居てもらって
私達はサトライヒ商会に向かう。
商会は石造りの立派な建物だった。入り口には警備の人かな、剣を帯びた人が2人立っていた。
「お、お前ら…!」
「お聞きしたいことがあって来ました。代表者の方はいますか?」
「…待ってろ」
そう言って1人が建物の中に入っていき、直ぐに1人連れて戻ってきた。身なりの良い人、この人が代表の人みたい。
「一体何の用だ?」
「こちらで取引のあった人について聞きたい事がありまして。教えてもらえますか?」
「顧客の情報は渡せん」
「言っとくけど、私達は人身売買なんて真似をしているあなた達が大嫌いなの。うっかり建物ごと潰されたくなかったら素直に話した方が良いよ?」
ほのかさんは抑揚のない声で言っている。呼んでもいないのに周りに精霊達が集まってきていた。
「わ、分かった!とにかく中に入ってくれ」
代表の人について建物の中へ。
中はガランとしている。
「随分と寂しい感じね」
「アンタ達のお陰でな」
伯爵様が動いてくれて孤児達を売ったりは出来なくなったからね。
それにしても奴隷の売買しかやってなかったのかな?
部屋に案内されて入ると立派な机に大きな本棚がある部屋だった。
「それで、誰の事を知りたいんだ?」
「マドゥーラ族が来た事があるでしょ?」
ほのかさんはすぐに本題を話す。
「マドゥーラ…あるぞ。最後に取引したのは2年前だ。あの時は3人売ったな」
そう言いながら本棚の本を一冊取り出してパラパラとめくっている。
「1人2万ルドで売っているな。街で調達したガキどもだ」
「…その子達がどうなったかは知りませんよね?」
代表の人が大して気にした様子もなく言った言葉に苛立ちを覚えながら聞く。
その様子に気付いた代表の人はしまったという顔をしながら慌てて本を閉じて「売った後の事は俺たちの所には情報は入ってこないんだ」と言っていた。
「会頭!マドゥーラの旦那が来てますぜ!…ってなんでお前らが!?」
勢いよくドアを開けて入ってきた男の人は私達を見て顔色を変えていた。
「丁度良かった。私達もマドゥーラに用がある。案内して」
アンネさんがそう言って入ってきた男の人の前に進み出ると「ひぃっ!」と言って尻餅をついていた。
「会頭さん、よろしいですね?」
「好きにしてくれ…」
アニエスさんが確認すると頭を抱えながら答える会頭さん。
マドゥーラ族の人の待っている部屋へと案内してもらった。
「オォ…素晴らしイ魔力量ダ」
部屋はソファーとテーブルが一式あるだけの簡素な部屋。そこにいたのはフードを被った白い長髪の男性。肌も白く少し不気味な印象だった。
私達が入るとソファーから立ち上がりこちらを見てそんな事を言っていた。細身で背が高く、黒いローブを身に纏っている。
「会頭、こノ子達は幾ら出しタら買えル?」
話す言葉のイントネーションが所々おかしい。多分普段使っている言語が違うんじゃないかな。
「彼女達は売り物ではないんだ。バルバさんに聞きたい事があるそうで連れて来た」
「ほウ…何を聞きたイのかナ?」
「ここで買った子供達の事です。今どうしていますか?」
私が言うと白い男性、バルバさんは口角を吊り上げて笑う。
「元気だヨ」
「本当ですか?」
「勿論。遥々やって来テ、高イお金を出しテ買った子達ダ。大事にしなイ訳ガ無いだろウ?」
取り敢えず無事なんだね。良かったよ。
私達は3日間滞、魔法とその使い方についてをしっかりと教えた。
「みんなは魔法が使えるからって使えない人を馬鹿にしたり下に見ちゃいけないからね。みんなの力はみんなが幸せになるために使うんだよ。自分だけの為とか、特定の個人の為の魔法じゃないって覚えておいてね」
「「「はーい!」」」
みんな元気よく返事をしてくれた。
「もうほとんどの子が冒険者になっても活躍できそうな程魔法が使えるね」
シャーナさんが太鼓判を押してくれた。
この世界の冒険者をやってる魔法使いさんの実力がどれくらいかは知らないけどね。
子供達と一緒にシャーナさんも魔法の訓練をしていたけど全然魔法を使うことが出来なかった。
やっぱり子供の頃に瘴気を浴びていたかで魔法の素養は決まるみたい。
「マドゥーラ族みたいになれるとは思わないけど何か一つくらい使えるようになりたかったなぁ」
シャーナさんは悔しそうに笑って話す。
「こればっかりは仕方ないですよ。ところでマドゥーラ族というのはどんな種族なんですか?」
聞いた事のない名前だね。
「あー、人間なんだけど特別魔法が得意な部族なんだよ。マドゥーラの民とも呼ばれているんだけど、あまり良い連中じゃないんだよね」
魔法が得意って事は滅んだ時代の末裔なのかな?
そうじゃないなら瘴気のある環境で育った人かだよね。
「サトライヒの上客リストの中に居たんだよ」
「それってこの街の子が売られた可能性があるという事ですか?」
「可能性はあるけど、最近は来ていないみたいなんだ」
それは一度確認してみる必要があるかも。
「サトライヒ商会に行ってみる?」
アンネさんが聞いてくる。
「そうですね。マドゥーラ族という人達の事を詳しく知れるかもしれませんし」
もしこの街の孤児がマドゥーラ族に買われて連れて行かれているならその後どうなったかを聞けるかもしれないし、もしかしたら取り戻せるかも知れない。
「じゃあ私が案内したほうがいいかな?」
「いえ、大丈夫です」
《鑑定》使えばすぐ分かるからね。
「今更何かしてくるとは思えないけど気を付けて」
「もし何かされたら商会ごと埋めちゃうから大丈夫だよ」
またほのかさんは過激な事を言ってるよ。
シャーナさんには孤児院に居てもらって
私達はサトライヒ商会に向かう。
商会は石造りの立派な建物だった。入り口には警備の人かな、剣を帯びた人が2人立っていた。
「お、お前ら…!」
「お聞きしたいことがあって来ました。代表者の方はいますか?」
「…待ってろ」
そう言って1人が建物の中に入っていき、直ぐに1人連れて戻ってきた。身なりの良い人、この人が代表の人みたい。
「一体何の用だ?」
「こちらで取引のあった人について聞きたい事がありまして。教えてもらえますか?」
「顧客の情報は渡せん」
「言っとくけど、私達は人身売買なんて真似をしているあなた達が大嫌いなの。うっかり建物ごと潰されたくなかったら素直に話した方が良いよ?」
ほのかさんは抑揚のない声で言っている。呼んでもいないのに周りに精霊達が集まってきていた。
「わ、分かった!とにかく中に入ってくれ」
代表の人について建物の中へ。
中はガランとしている。
「随分と寂しい感じね」
「アンタ達のお陰でな」
伯爵様が動いてくれて孤児達を売ったりは出来なくなったからね。
それにしても奴隷の売買しかやってなかったのかな?
部屋に案内されて入ると立派な机に大きな本棚がある部屋だった。
「それで、誰の事を知りたいんだ?」
「マドゥーラ族が来た事があるでしょ?」
ほのかさんはすぐに本題を話す。
「マドゥーラ…あるぞ。最後に取引したのは2年前だ。あの時は3人売ったな」
そう言いながら本棚の本を一冊取り出してパラパラとめくっている。
「1人2万ルドで売っているな。街で調達したガキどもだ」
「…その子達がどうなったかは知りませんよね?」
代表の人が大して気にした様子もなく言った言葉に苛立ちを覚えながら聞く。
その様子に気付いた代表の人はしまったという顔をしながら慌てて本を閉じて「売った後の事は俺たちの所には情報は入ってこないんだ」と言っていた。
「会頭!マドゥーラの旦那が来てますぜ!…ってなんでお前らが!?」
勢いよくドアを開けて入ってきた男の人は私達を見て顔色を変えていた。
「丁度良かった。私達もマドゥーラに用がある。案内して」
アンネさんがそう言って入ってきた男の人の前に進み出ると「ひぃっ!」と言って尻餅をついていた。
「会頭さん、よろしいですね?」
「好きにしてくれ…」
アニエスさんが確認すると頭を抱えながら答える会頭さん。
マドゥーラ族の人の待っている部屋へと案内してもらった。
「オォ…素晴らしイ魔力量ダ」
部屋はソファーとテーブルが一式あるだけの簡素な部屋。そこにいたのはフードを被った白い長髪の男性。肌も白く少し不気味な印象だった。
私達が入るとソファーから立ち上がりこちらを見てそんな事を言っていた。細身で背が高く、黒いローブを身に纏っている。
「会頭、こノ子達は幾ら出しタら買えル?」
話す言葉のイントネーションが所々おかしい。多分普段使っている言語が違うんじゃないかな。
「彼女達は売り物ではないんだ。バルバさんに聞きたい事があるそうで連れて来た」
「ほウ…何を聞きたイのかナ?」
「ここで買った子供達の事です。今どうしていますか?」
私が言うと白い男性、バルバさんは口角を吊り上げて笑う。
「元気だヨ」
「本当ですか?」
「勿論。遥々やって来テ、高イお金を出しテ買った子達ダ。大事にしなイ訳ガ無いだろウ?」
取り敢えず無事なんだね。良かったよ。
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