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特別編3:異世界

偽装

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──〔god side〕──

「イヴちゃん大丈夫?痛い所はない?」
「うん…大丈夫…」

アイさんとイヴちゃんは抱き合ったままだった。

「おねーちゃん、怖かったよ~」

安心したのか声を上げて泣き出すイヴちゃん。

取り敢えずアウラさんの診断では大丈夫そうだけど、本当に何もされてないのかな?

[私の解析では問題ありません。ただしそれは外傷と魂の損傷についてです]

それってどういう…?

[例えば魂から直接知識を引き出した場合は痕跡が残りません]

そんな事が出来るんだね。

「イヴちゃん、さっきの人はイヴちゃんに何かしなかった?あと何か言ってたかな?」

イヴちゃんの所に行って聞いてみる。

「ぐすっ…えっとね…『うまれかわったりゔぇる?をきずつけるつもりはない』って。あと頭を掴まれたよ」

生まれ変わったリヴェルティアを傷付けるつもりはない。

そう言って頭を掴んだ。

頭を掴んで魂から知識を抜き出したのかな?

〈ファクティスと同等のエネルギー反応がイヴから漏れていますね〉

それってアルディオス様がイヴちゃんから抜き出したって事だよね?

「なあ、そのアルディオスは今さっき死んだみたいだけど、まさかコイツもリヴェルティアみたいに何度でも復活するのか?」

テュケ君は粉々になって消えたアルディオス様が地球で戦ったリヴェルティア様の様に別の場所で復活しているのではと心配していた。

「そもそも今のが本物かも怪しいわね」
「だな。初めに戦った時よりも手応えが無さ過ぎる」

リオさんと虚空の覇者ヴォイドマスターさんは偽物かと疑っている。

「念の為アルディオスを探してもらえるかな?」
「分かりました」

虚空の覇者ヴォイドマスターさんに言われる前にやっておくべきだったね。
《鑑定》を混ぜれば大体の事は分かっちゃうんだから。

…検索結果は該当なし。

やっぱりさっきのが本体だったみたい。

「ミナ、もしかして神とかアルディオスで調べた?」
「はい。一応イントルーダーも入れました」
「次はファクティスで調べてみて」
「そっか…!」

その可能性もあるんだよね。

結果は…

「ヒットです。この世界に8体…9、10…増えてます!」
「もう増殖を始めているのか」
「すぐに討伐しないとマズいわね」

全員で手分けしてファクティスを駆除する事にする。
どれかがアルディオス様だったりするのかな?

「ファクティスはドゥームと同じで動物とかに寄生するんだよな」
「うん。でも増殖速度がおかしいよ。アルディオス様が何かしたんだと思う」

テュケ君とソラちゃんが私と一緒にファクティスの駆除に向かう。

この世界の生き物だろうか、超巨大なお猿さんが森で暴れている。

「あれがファクティスなのか?」
「そうみたい。分離できるか調べてみるね」

確認してみたけどドゥームみたいにどこかにくっ付いている様子はない。

〈身体全体にファクティスの反応です。つまり分離は不可能かと〉

仕方ない。倒そう。

ーーーー

「これで何体目?」
「20、いや21だな」

私達はお猿さんを倒したあと、周囲にさらに反応を見つけて討伐を繰り返していた。

「キリがない。ミナ、このままだとここに足止めされちゃうよ。何とかして」
「そうだね。多少被害が大きくなるけど…」

《鑑定》を使って周囲にいるファクティス感染者の位置を全て確認、オーバーブーストを掛けて《デスペラシオンラディウス》でまとめて撃ち抜く。

これでこの辺りのファクティスはいないくなった筈。

でもどうやってあんな速度で増えてるんだろう?

[待機の中に微量のファクティスを検出。呼吸時に体内に侵入している様です]

えぇっ!?

慌てて口を塞ぐ。

〈《アドラステア》の能力で侵食は防げていますので大丈夫の様です〉

厄介すぎるよ…。

「ミナ、これじゃキリがないわ。ハルさんの水を薄めて広範囲に撒いてみたらどう?」

リオさんとユキさんとレアさんがやって来て提案してくる。

お婆ちゃんのくれた水なら沢山あるし、ファクティスにも特効だったね。

《コントロールウェザー》という魔法で雨を降らせて、その雨にお婆ちゃんの水を混ぜてみる。

[大気中のファクティスが減っていきます]

少しすれば全部いなくなると思うけど…。

「まったく、厄介なものを次から次へと」
「イヴちゃんを拐った僅かな時間でここまで出来るなんて…」

リオさんは苛立ちながら、ユキさんは驚きながら話していた。

「ミナ、あまり考えたくない事だけど、他の世界にも飛び火していないか調べてみてくれない?」
「そうですね…」

調べてみたら距離の近い世界にファクティスの反応がある。

「これはマズイわね」

虚空の覇者ヴォイドマスターさんに状況を報告して対応をどうするか話し合う。

「部下達に対応させよう。我々は元凶になっている奴を探さなくてはならない」
「やっぱり倒せていないのね」
「この状況からみて、まだ奴は生きているな。問題はミナ殿の検索をどうやって掻い潜っているかだが…」

うん。アルディオス様がどうやって鑑定から逃れているかが分からない。

地道に《鑑定》の範囲を切り替えて探していくしかないかな。

──〔human side〕──

神界側の私達はアルディオス様を見失っていた。状況を詳しくみんなに話す。

「ミナちゃん、アレじゃない?」
「アレ?」

ほのかさんが何かを思い付いて言ってくる。

「ほら、山賊討伐の時の。自己申告制」
「え、それだと何て名乗ってるか分からなかったら見つけられないんじゃ…」
「どういう事です?」

アニエスさんに聞かれたので《鑑定》の癖について説明する。

「それなら変えようのない事実を元に調べてみたらどう?」
「というと?」

今度はアンネさんの提案。

「『ファクティスをばら撒いてる厄介な者』とか?」
「そんな適当な名前で……いた!」

本当に見つけられた!
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