上 下
582 / 763
特別編3:異世界

新たな存在

しおりを挟む
──〔human side〕──

神界側にアルディオス様の現在地を教える。…って記憶を共有すればすぐ分かるんだけどね。

ほのかさんのお陰で簡単に見つけられたよ。

私達は一度エリストに戻って次の行動の準備をする。

イントルーダーをあんなに簡単に作り出せるのだから、いつ地上に被害が出るか分からない。戦力になるメンバー全員に連絡をしておいた。これでアスティアの防備はある程度大丈夫。

神界側ではイヴちゃんを拐ったのはファクティスの製造方法を知る為だと推測している。

「目的は戦力強化でしょうか、それも自身の戦闘力の強化でしょうか?」
「どうだろうな?どちらもやってきそうだが」

ユキさんとマサキさんはイヴちゃんを拐った意図について話し合っていた。

「イントルーダーに加えてファクティスまで…全部くっ付けて強くなるのかしらね?」

リオさんはどんな変化が起こるのか興味があるみたい。
そんな場合じゃないよね。

「全部乗せはトッピングだけでいい」

ソラちゃんが言ってるのはカレー屋さんとかの話かな?
私もそっちの方がいいよ。全部乗ってたら食べきれないけど。

「私達はこれからどうするの?」

ほのかさんが聞いてくる。

「アルディオス様の追撃は神界側に任せようと思います。私達はイントルーダーやファクティスが現れた時の為の対応をしようかと」
「つまりは待機って事?」
「はい」
「それなら今のうちにファクティスの対策を教えてもらえないでしょうか?」

そう言ってきたのはアニエスさん。私達は以前にファクティスと戦っているし、ファクティスに感染した地球の人間を治療している。

「なるほど。解析ができれば《レナータ》で治せるのですね」
「はい。人が感染してしまったら可能な限り治療していいと思います」

感染速度が早すぎて対応できない場合は最悪付近一帯を排除する事も考えておかなくちゃいけない。
そうならない為にも侵入されないように、たとえ侵入されても即座に対応できる様にしておかなくちゃだよ。

「アスティアは大丈夫ですけど、他の世界にファクティスが出ちゃったらマズいんじゃないですかね?」

レフィさんの指摘は正しい。
私はアスティアの守りだけを固めようとしている。

「そうですね…本当はどこの世界に現れても急行できるようにしなくちゃいけないですよね」
「レフィ、ミナちゃんは何も悪い事を言ってない。責める様な言い方をするな」

アンネさんがレフィさんの頭を小突く。

「そんなつもりじゃなかったんですよ~ごめんなさい」
「いえ、その通りなので…」
「他の世界への対応は虚空宮ヴォイドパレスの連中に任せるしかないわ」

リオさんが話に入ってくる。
そうなんだけど、あそこの人達だと感染者を助ける事は出来ないんだよね…。

「こればっかりはしょうがない。飛び火しない事を祈るだけ」

ソラちゃんは落ち着いた様子でそう言っていた。

──〔god side〕──

人間側の私がアルディオス様の位置を特定してくれた。

場所は…アルディオス様の世界?
破壊されし尽くされた自分の世界に戻っていた。

同じ私なのに起点が効くなと思っていたけどほのかさんがアイデアを出してくれたらしい。

なるほど。私じゃ考えつかない事かな。

「よくやってくれた。直ぐに追撃に入るぞ」

虚空の覇者ヴォイドマスターさんはすぐに向かおうとする。

「その前に現状把握よ。ミナ、イントルーダーとファクティスが他の世界に現れていないか調べてみて」
「分かりました」

リオさんに言われてもう一度確認すると、付近の世界にイントルーダーとファクティスが発生しているのが確認できた。

「やっぱり…虚空の覇者ヴォイドマスターは部下を周囲の世界に向かわせて。くれぐれも世界を破壊しない事。あとなるべくその世界の生命に被害を出さない様に伝えなさいよ」
「分かった」

リオさんがテキパキと指示を出して虚空の覇者ヴォイドマスターさんは虚空宮ヴォイドパレスに連絡を取っていた。

「アイさんとイヴちゃんはアスティアに戻ってください。あとは私達でやります」
「私も一緒に戦うって言いたいけど、実戦経験の無い私では役に立たないどころか足手纏いですよね」

アイさんは自分の事をよく分かっていた。

「はい。あとで行きますから、イヴちゃんと待っていてください」
「おねーちゃん達ありがとう」

イヴちゃんはアイさんにしがみ付いたままでお礼を言ってくる。

「うん、イヴちゃんもよく頑張ったね。アイさんと待っててね」

優しく頭を撫でると涙を溜めたままニコリと笑顔を作ってくれた。

2人をアスティアの神界に直接転移をさせる。

「よし、手配済みだ」

2人とのやり取りをしている間に虚空の覇者ヴォイドマスターさんが指示を済ませてくれた。

「それじゃ行きましょう」
「はい!」

アズさんが空間を開いてくれたので飛び込んで移動する。

何もかもが破壊し尽くされた世界。
早くアルディオス様を捕まえないと。

オーバーブースト《鑑定》で位置を探る。

結果は……

「居ます…」
「どこに?見えないわよ」

リオさんは周りを見渡しながら聞き返してくる。全員円形になって周囲を警戒している。

「この星がアルディオス様です」

彼は星と融合していた。

鑑定結果を全員に表示する。

神でありイントルーダーでありファクティスのアルディオス様は、天体と融合を果たして新たな存在になっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」 公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。 血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。

「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。

亜綺羅もも
ファンタジー
旧題:「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。今更戻って来いと言われても旦那が許してくれません! いきなり異世界に召喚された江藤里奈(18)。 突然のことに戸惑っていたが、彼女と一緒に召喚された結城姫奈の顔を見て愕然とする。 里奈は姫奈にイジメられて引きこもりをしていたのだ。 そんな二人と同じく召喚された下柳勝也。 三人はメロディア国王から魔族王を倒してほしいと相談される。 だがその話し合いの最中、里奈のことをとことんまでバカにする姫奈。 とうとう周囲の人間も里奈のことをバカにし始め、極めつけには彼女のスキルが【マイホーム】という名前だったことで完全に見下されるのであった。 いたたまれなくなった里奈はその場を飛び出し、目的もなく町の外を歩く。 町の住人が近寄ってはいけないという崖があり、里奈はそこに行きついた時、不意に落下してしまう。 落下した先には邪龍ヴォイドドラゴンがおり、彼は里奈のことを助けてくれる。 そこからどうするか迷っていた里奈は、スキルである【マイホーム】を使用してみることにした。 すると【マイホーム】にはとんでもない能力が秘められていることが判明し、彼女の人生が大きく変化していくのであった。 ヴォイドドラゴンは里奈からイドというあだ名をつけられ彼女と一緒に生活をし、そして里奈の旦那となる。 姫奈は冒険に出るも、自身の力を過信しすぎて大ピンチに陥っていた。 そんなある日、現在の里奈の話を聞いた姫奈は、彼女のもとに押しかけるのであった…… これは里奈がイドとのんびり幸せに暮らしていく、そんな物語。 ※ざまぁまで時間かかります。 ファンタジー部門ランキング一位 HOTランキング 一位 総合ランキング一位 ありがとうございます!

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。