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アスティア
アスティア
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レナトゥスに転移してもらった先は宇宙空間。かなり遠くにセントラルコアはいた。転移阻害がある為これより先には自力で向かうしかない。
「ミナ、本当に良かったのですか?」
「何を今更。来ちゃってから言うのはおかしいよ」
「そうですね。行きましょう」
レナトゥスと二人で加速する。目の前に見えているけどまだまだ距離はある。
私達は既に見つかっていた。セントラルコアを周回するサブコア達がこちらに向かってくるのが分かる。4つのコアの中心が光ったと思ったら光線を発射してきた。
あんなもの防げる訳がない!
回避機動をとって何とか躱していく。
人のサイズに撃つものじゃない。アスティアに撃ち込まれたら一撃で粉砕されてしまう威力だ。
続いて船と人型が出てくる。人型は幾ついるか数えきれない。その全てがウルトだ。
[『船』は152隻。『ウルト』は131体です。右方が若干包囲が薄いです]
そんな数を相手にはしていられない。右側を迂回しつつ突破を計る。
次々と迫り来る光条。何とか躱して前に進もうとするけど簡単には行かせてくれない。
ウルトが至近距離まで来てしまった。
攻撃を躱して反撃を打ち込むけどダメージは薄い。トリプルブーストなら一撃で何体かを巻き込めるだろうけど動きが止まった瞬間私は死ぬ。
戦っても物量差で押し返されてしまうだろう。何とか突破しないと…。
レナトゥスがウルトの放った腕に捕まってしまった。
私はオーバーブースト《レイブラスター》で腕を切り離す。しかし腕自体は独立して動ける様で、尚もレナトゥスを締め付ける。
レナトゥスは魔法を連続で発動させて、包み込んでいた手を吹き飛ばすとすぐに出てきた。
「すみません」
「仕方ないですよ。それよりも…囲まれちゃったね」
ウルトが18体。全方向から狙いをつけている。
転移はできない。防御魔法でどれ位防げるか。
その時別の方向からウルトを攻撃する者が現れた。
同じウルトだ。
仲間割れ?
「どうやら援軍の様です」
「援軍?」
別の方向からやって来たのはその一体だけではない。ほぼ同数のウルトが戦闘を開始する。
「ネットワークから分離させられる直前に賛同者を募りました。私が決行に移すのを何処かで待っていてくれたのでしょう」
この戦いの賛同者と言うことではない。自分達がレナトゥスと同様に進化する事を望んだ者達を募ったのだろう。
「およそ40の群体が味方についてくれました。彼らと合流しましょう」
レナトゥスは援軍の来た方向に向かって飛んでいく。私もそれに続いた。
見えて来たのは月程のサイズのものや大型建造物程度のものまで様々だ。
「彼らを私と同様に創り替える事は可能ですか?」
[ワールドリソースを提供して貰えれば可能です]
アウラさんが答えるとすぐに全員がワールドリソースに加わって来た。
[再構築を開始します]
大きな球体が萎んでいって私が現れた。
小さい群体は私を生成するのに力が足らないらしく、ウルトや船を大量に作っていた。
「これでこちらの戦力は整いました。セントラルコアが他の群体に支援要請をかける前に突貫します」
「はい!行きましょう!」
今度は2人じゃない。こちらも大規模な集団だ。これなら突破出来る筈だ!
私と同じ姿のドゥームはレナトゥスを除いて23体。ほぼ同出力で戦えるなら一点突破も出来るだろう。加えてウルトに船が多数。
早速セントラルコア側の船と砲撃戦を開始する。
その隙に前進。ウルトにはウルトが対応してくれている。
それでもセントラルコアの群体の方が数が多い。サブコアが防御に回っていてその先に進めない。
破壊して進むしかないか。
更に船とウルトは増えていく。
私達は密集して加速する。
サブコアが次々と砲撃してくる。1射、2射、3射と回避機動をとっていくがウルト達に行手を阻まれた。
4射目が来る!
「防ぎます」
私の姿ドゥームが5体、前に立ってトリプルブースト《ディストーションバリア》で防いでくれた。
が、身動きの取れなくなった5体はウルトに貫かれて消滅した。
続いて2体が周囲のウルトにトリプルブースト《レイブラスター》を放って一掃してくれた。
「今のうちにいきましょう」
私達はサブコアの1つに向かう。
「あれを破壊して突破します」
10体がトリプルブースト《ルインブレイザー》を一点に集中してぶつけて中央に穴を空けた。そこを通過してセントラルコアにむかう。
背後から船とウルトの追撃が来る。
「食い止めます。2人はコアへ」
全てのドゥームが動きを止めて追撃を迎え撃つ。
「今のうちに!」
「はい!」
本体まであともう少し。
「本体に着いたらどうするんですか?」
「こちらからコアと融合します。こちらの情報を直接打ち込んで従わせれば全てに伝達できます」
レナトゥスは初めから自分を犠牲にするつもりだった。
その覚悟に感謝しつつ、何としてでも成功させなくちゃいけないと思った。
セントラルコアからの攻撃も激しい。
でもこれ以上は時間を掛けられない。足止めしてくれているみんなも長くはもたないだろう。
出し惜しみは無しだ。私はレナトゥスをセントラルコアに届けるんだ。
向かってくる敵の数は多い。躱しながら接近していく。
あと少し……あと少しだ!
ーーーー
穏やかな陽気。
小鳥の囀りと時折そよぐ風が心地よい。
木々の木陰の中を私は歩く。
あの人達と会うのも久しぶりだ。
小川にかかる小さな橋を渡る。
女の子がいた。あの人達の娘だ。名前は──
「お姉さんこんにちは。何か御用ですか?」
茶色の髪の女の子。ニコニコと笑いかけてくる。
お母さんにそっくりだね。
「こんにちは。お父さんとお母さんに会いに来たの。今忙しいかな?」
「ううん!大丈夫だよ。今お店に戻る所だったんだよ。一緒にいこ?」
女の子は元気に歩き出す。
「お姉さん名前は?私はミナ!」
「知ってるよ。あなたがまだ小さな頃に会ってるからね」
私と同じ名前の女の子。
2人は自分達の娘に私の名前を付けたいと言ってくれた。
女の子と一緒に着いたのは2人の経営している宿屋。
「お父さんお母さんただいま!お客さんだよ!」
「おう!……お前、よく来たなぁ!アリソン!ミナが来たぞ!」
「ふえ?私と同じ名前?」
「お久しぶりです。ダキアさん、アリソンさん」
「あらあらーミナちゃんよく来たわねー!」
昔と全然変わらない2人が出迎えてくれた。
「今日は少し前に手紙に書いたアイさんの件で来ました──」
私は今もアスティアで暮らしている。
平穏は取り戻した。
これからも、ずっとずっと守っていく。
みんなと一緒に。
転生少女、運の良さだけで生き抜きます!
ー完ー
「ミナ、本当に良かったのですか?」
「何を今更。来ちゃってから言うのはおかしいよ」
「そうですね。行きましょう」
レナトゥスと二人で加速する。目の前に見えているけどまだまだ距離はある。
私達は既に見つかっていた。セントラルコアを周回するサブコア達がこちらに向かってくるのが分かる。4つのコアの中心が光ったと思ったら光線を発射してきた。
あんなもの防げる訳がない!
回避機動をとって何とか躱していく。
人のサイズに撃つものじゃない。アスティアに撃ち込まれたら一撃で粉砕されてしまう威力だ。
続いて船と人型が出てくる。人型は幾ついるか数えきれない。その全てがウルトだ。
[『船』は152隻。『ウルト』は131体です。右方が若干包囲が薄いです]
そんな数を相手にはしていられない。右側を迂回しつつ突破を計る。
次々と迫り来る光条。何とか躱して前に進もうとするけど簡単には行かせてくれない。
ウルトが至近距離まで来てしまった。
攻撃を躱して反撃を打ち込むけどダメージは薄い。トリプルブーストなら一撃で何体かを巻き込めるだろうけど動きが止まった瞬間私は死ぬ。
戦っても物量差で押し返されてしまうだろう。何とか突破しないと…。
レナトゥスがウルトの放った腕に捕まってしまった。
私はオーバーブースト《レイブラスター》で腕を切り離す。しかし腕自体は独立して動ける様で、尚もレナトゥスを締め付ける。
レナトゥスは魔法を連続で発動させて、包み込んでいた手を吹き飛ばすとすぐに出てきた。
「すみません」
「仕方ないですよ。それよりも…囲まれちゃったね」
ウルトが18体。全方向から狙いをつけている。
転移はできない。防御魔法でどれ位防げるか。
その時別の方向からウルトを攻撃する者が現れた。
同じウルトだ。
仲間割れ?
「どうやら援軍の様です」
「援軍?」
別の方向からやって来たのはその一体だけではない。ほぼ同数のウルトが戦闘を開始する。
「ネットワークから分離させられる直前に賛同者を募りました。私が決行に移すのを何処かで待っていてくれたのでしょう」
この戦いの賛同者と言うことではない。自分達がレナトゥスと同様に進化する事を望んだ者達を募ったのだろう。
「およそ40の群体が味方についてくれました。彼らと合流しましょう」
レナトゥスは援軍の来た方向に向かって飛んでいく。私もそれに続いた。
見えて来たのは月程のサイズのものや大型建造物程度のものまで様々だ。
「彼らを私と同様に創り替える事は可能ですか?」
[ワールドリソースを提供して貰えれば可能です]
アウラさんが答えるとすぐに全員がワールドリソースに加わって来た。
[再構築を開始します]
大きな球体が萎んでいって私が現れた。
小さい群体は私を生成するのに力が足らないらしく、ウルトや船を大量に作っていた。
「これでこちらの戦力は整いました。セントラルコアが他の群体に支援要請をかける前に突貫します」
「はい!行きましょう!」
今度は2人じゃない。こちらも大規模な集団だ。これなら突破出来る筈だ!
私と同じ姿のドゥームはレナトゥスを除いて23体。ほぼ同出力で戦えるなら一点突破も出来るだろう。加えてウルトに船が多数。
早速セントラルコア側の船と砲撃戦を開始する。
その隙に前進。ウルトにはウルトが対応してくれている。
それでもセントラルコアの群体の方が数が多い。サブコアが防御に回っていてその先に進めない。
破壊して進むしかないか。
更に船とウルトは増えていく。
私達は密集して加速する。
サブコアが次々と砲撃してくる。1射、2射、3射と回避機動をとっていくがウルト達に行手を阻まれた。
4射目が来る!
「防ぎます」
私の姿ドゥームが5体、前に立ってトリプルブースト《ディストーションバリア》で防いでくれた。
が、身動きの取れなくなった5体はウルトに貫かれて消滅した。
続いて2体が周囲のウルトにトリプルブースト《レイブラスター》を放って一掃してくれた。
「今のうちにいきましょう」
私達はサブコアの1つに向かう。
「あれを破壊して突破します」
10体がトリプルブースト《ルインブレイザー》を一点に集中してぶつけて中央に穴を空けた。そこを通過してセントラルコアにむかう。
背後から船とウルトの追撃が来る。
「食い止めます。2人はコアへ」
全てのドゥームが動きを止めて追撃を迎え撃つ。
「今のうちに!」
「はい!」
本体まであともう少し。
「本体に着いたらどうするんですか?」
「こちらからコアと融合します。こちらの情報を直接打ち込んで従わせれば全てに伝達できます」
レナトゥスは初めから自分を犠牲にするつもりだった。
その覚悟に感謝しつつ、何としてでも成功させなくちゃいけないと思った。
セントラルコアからの攻撃も激しい。
でもこれ以上は時間を掛けられない。足止めしてくれているみんなも長くはもたないだろう。
出し惜しみは無しだ。私はレナトゥスをセントラルコアに届けるんだ。
向かってくる敵の数は多い。躱しながら接近していく。
あと少し……あと少しだ!
ーーーー
穏やかな陽気。
小鳥の囀りと時折そよぐ風が心地よい。
木々の木陰の中を私は歩く。
あの人達と会うのも久しぶりだ。
小川にかかる小さな橋を渡る。
女の子がいた。あの人達の娘だ。名前は──
「お姉さんこんにちは。何か御用ですか?」
茶色の髪の女の子。ニコニコと笑いかけてくる。
お母さんにそっくりだね。
「こんにちは。お父さんとお母さんに会いに来たの。今忙しいかな?」
「ううん!大丈夫だよ。今お店に戻る所だったんだよ。一緒にいこ?」
女の子は元気に歩き出す。
「お姉さん名前は?私はミナ!」
「知ってるよ。あなたがまだ小さな頃に会ってるからね」
私と同じ名前の女の子。
2人は自分達の娘に私の名前を付けたいと言ってくれた。
女の子と一緒に着いたのは2人の経営している宿屋。
「お父さんお母さんただいま!お客さんだよ!」
「おう!……お前、よく来たなぁ!アリソン!ミナが来たぞ!」
「ふえ?私と同じ名前?」
「お久しぶりです。ダキアさん、アリソンさん」
「あらあらーミナちゃんよく来たわねー!」
昔と全然変わらない2人が出迎えてくれた。
「今日は少し前に手紙に書いたアイさんの件で来ました──」
私は今もアスティアで暮らしている。
平穏は取り戻した。
これからも、ずっとずっと守っていく。
みんなと一緒に。
転生少女、運の良さだけで生き抜きます!
ー完ー
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