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地球
遭遇
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お兄さんから貰ったパーカーはかなり大きかったけど、肩や腕の血を隠すのに凄く助かった。
フードを被れば人目を引く事も避けられそう。
それからお金。
お兄さんは財布から1万円を出して持たせてくれた。
あとここが何処かと目的地に行くにはどうしたらいいかを聞いてみた。
みんなで決めた集合場所は日本の真ん中付近。分かりやすく大きな都市に設定していた。
コンビニから出てすぐの所にある高架道路、これはバイパスの国道らしく、これに沿って行けば目的の都市へは行けるらしい。
最寄りの駅を教えてくれたけど、夜の内は自分で走った方が早い。
私はこの国道の下側を走って移動する事にした。
夜道を走りながら考える。
夜が明ける前に一度何処かで休憩をとって体調を整えたい。あと、この格好は目立ちすぎるし、安物でいいから服を着替えよう。
合流地点はお城のある公園にしたので、そこに誰も居なければみんなを探す事も考えたい。
それにはまず移動手段がほしいのと、こちら側の協力者が必要だ。
あのお兄さんに全部話して助けてもらおうかと思ったけど、ショウ君以外の人達が私にいつ襲いかかってくるか分からないので、なるべく他人を巻き込みたくなかった。
となると…
従姉妹が確かあの都市に住んでる筈だ。
名前は湊川美咲、生前の私の5つ年上の社会人。今も同じ所に住んでいるなら…
あそこ何区だったっけ…?
最寄り駅は…うん、行けば何とか分かる。
そういえば私が死んでから何年経ってるんだろう?あのお兄さんに聞いておけば良かった。
途中で何度か車とすれ違ったりしたけど、変にリアクションをすると返って怪しまれるだろうし、気にせず走ってしまおう。
ーーーー
夜明けが近付いてきて車通りも増えてくる。流石に人目につく時間になってきたので普通の人がジョギングしている位の速度に落として走る。
途中で何度か青色の標識を見て確認していたけど、この道を走っていたらかなり南側に行ってしまうみたいだ。
知らない土地なので交通機関を使っての移動に切り替えよう。
国道から外れて適当な公園で一休みする事に決めて道路沿いに走る。
あまり人通りが多いと嫌なので少し入り込んだ所の公園に立ち寄った。
何か歴史授業で聞いたことのある地名だと思ったら、ここで討ち取られた戦国武将がいるらしい。
まあ、そんな事はこの際いいとして…。
ここで少し休ませてもらおう。
ベンチに腰掛けて一息。どれだけ移動したんだろう?
あとは交通機関を使って移動するつもりだから近くで服を買って着替えて……
夜明け前のひんやりとした空気が心地よい……
ーーーー
「おい」
誰かに呼ばれて目を覚ました。
いけない、寝ちゃってた…。
「狙われているって分かっているのか?」
「え…?」
目の前にいたのはリュウさんだった。
剣を抜かずに腕を組んだまま私を見下ろしている。
最悪だ。
技能があれば多少寝ていても気配を感じて起きる事が出来ただろうけど、全然気付かなかった。
「リュウさんも私を殺しに来たんですよね…」
間合いに入られていて身動きが出来そうにない。
「そのつもりだが、今はやめておく」
「何でです?」
「少なくとも、俺達はミナ達に情けをかけられて生かされた。こんな所まで飛ばしておいて何だが、不意打ちで殺すなんて俺には出来ん」
後ろに下がりながら背を向けるリュウさん。
「あ、ありがとうございます」
「礼なんて言うな。次に会った時は殺すんだからな」
「はい」
リュウさんは何か言いたそうにしている。まだ何かあるのかな?
「一つ聞かせてくれ、あのリヴェルティアという神はどんな神だ?」
振り返って聞いてくる。
これは…リュウさんはリヴェルティア様の事を信用していないみたいだ。
「リヴェルティア様は空間を司る神様で、アスティアの綻びを直すのにはヴェルトラオム様のやり方ではダメだと思っているみたいです。」
一か八か…私は全てを正直に話してみる事にした。
私がヴェルトラオム様の後継者として指名されている事、それをリヴェルティア様がよく思っていない事。誇張なし、私見を出来るだけ加えないで説明した。
「リヴェルティアはヴェルトラオムを倒したと言っていた。これはつまりミナが次の主神になったという事か?」
「いえ、そんな筈はありません。神様同士では争いは出来ないそうですから。それと私がヴェルトラオム様の後を継ぐのは、全ての神様から同意を得てからって約束していますのでまだ継いでいない筈です」
私の話を聞いて更に険しい顔になって考え込んでいる。
「やはりあの神…俺達を騙しているのかもな」
「ショウ君から聞きました。地球に帰す代わりに私を殺す約束をしたと。それ以外に何か話したんですか?」
「大した事は聞いていないが、『地球でもアスティアでもない所から力を借りた』と言っていたぞ」
それってどこからだろう?
「最後に忠告しておいてやる。お前達の仲間に裏切り者がいるぞ。気を付けろ」
そう言って公園から出て行くリュウさん。
「待ってください!裏切り者なんていません!」
私が何を言っても振り向きもせず去って行ってしまった。
裏切り者?今回の事を初めから分かっていた仲間がいる?
リュウさん達の様に地球に帰してもらう事を条件にリヴェルティア様の方についたって事?
こっちに飛ばされたのはユキさん、リオさん、ソラちゃん、マサキさん、ネネさん、ハナちゃん、ルーティアさん、ダキアさん、アリソンさん、クロウさん。
テュケ君とウルちゃんとオル君は分からない。
そもそも追撃チームにいるとは限らない。みんなを信じたいけど、何が何だか分からなくなってくる。
分からない事をいつまでも考えていても仕方ない。今はもう夜が明けていて人通りも結構増えてきていた。
犬の散歩でこの公園に来ている人とかも居て、私とリュウさんのやり取りを遠巻きに見ている人がいた。
変に目立っちゃったね。ここを移動しよう。
大通りに出て暫く歩くと大手チェーンのディスカウントストアを見つけたので、そこで一番安いスウェットとバッグを購入。トイレで着替えて、バッグにしまっておいた。
で、気になったのは家電売り場のテレビの映像。朝のニュースだと思うけど、車のカメラ、ドライブレコーダーだっけ?の映像で、道路を車並みの速度で走る子供の動画と、スマホで撮っただろう縦長の映像で、農地でアクション映画の様な動きで戦う人影の動画が取り上げられていた。
ヤバイ…あれ私だよね。
フードを被れば人目を引く事も避けられそう。
それからお金。
お兄さんは財布から1万円を出して持たせてくれた。
あとここが何処かと目的地に行くにはどうしたらいいかを聞いてみた。
みんなで決めた集合場所は日本の真ん中付近。分かりやすく大きな都市に設定していた。
コンビニから出てすぐの所にある高架道路、これはバイパスの国道らしく、これに沿って行けば目的の都市へは行けるらしい。
最寄りの駅を教えてくれたけど、夜の内は自分で走った方が早い。
私はこの国道の下側を走って移動する事にした。
夜道を走りながら考える。
夜が明ける前に一度何処かで休憩をとって体調を整えたい。あと、この格好は目立ちすぎるし、安物でいいから服を着替えよう。
合流地点はお城のある公園にしたので、そこに誰も居なければみんなを探す事も考えたい。
それにはまず移動手段がほしいのと、こちら側の協力者が必要だ。
あのお兄さんに全部話して助けてもらおうかと思ったけど、ショウ君以外の人達が私にいつ襲いかかってくるか分からないので、なるべく他人を巻き込みたくなかった。
となると…
従姉妹が確かあの都市に住んでる筈だ。
名前は湊川美咲、生前の私の5つ年上の社会人。今も同じ所に住んでいるなら…
あそこ何区だったっけ…?
最寄り駅は…うん、行けば何とか分かる。
そういえば私が死んでから何年経ってるんだろう?あのお兄さんに聞いておけば良かった。
途中で何度か車とすれ違ったりしたけど、変にリアクションをすると返って怪しまれるだろうし、気にせず走ってしまおう。
ーーーー
夜明けが近付いてきて車通りも増えてくる。流石に人目につく時間になってきたので普通の人がジョギングしている位の速度に落として走る。
途中で何度か青色の標識を見て確認していたけど、この道を走っていたらかなり南側に行ってしまうみたいだ。
知らない土地なので交通機関を使っての移動に切り替えよう。
国道から外れて適当な公園で一休みする事に決めて道路沿いに走る。
あまり人通りが多いと嫌なので少し入り込んだ所の公園に立ち寄った。
何か歴史授業で聞いたことのある地名だと思ったら、ここで討ち取られた戦国武将がいるらしい。
まあ、そんな事はこの際いいとして…。
ここで少し休ませてもらおう。
ベンチに腰掛けて一息。どれだけ移動したんだろう?
あとは交通機関を使って移動するつもりだから近くで服を買って着替えて……
夜明け前のひんやりとした空気が心地よい……
ーーーー
「おい」
誰かに呼ばれて目を覚ました。
いけない、寝ちゃってた…。
「狙われているって分かっているのか?」
「え…?」
目の前にいたのはリュウさんだった。
剣を抜かずに腕を組んだまま私を見下ろしている。
最悪だ。
技能があれば多少寝ていても気配を感じて起きる事が出来ただろうけど、全然気付かなかった。
「リュウさんも私を殺しに来たんですよね…」
間合いに入られていて身動きが出来そうにない。
「そのつもりだが、今はやめておく」
「何でです?」
「少なくとも、俺達はミナ達に情けをかけられて生かされた。こんな所まで飛ばしておいて何だが、不意打ちで殺すなんて俺には出来ん」
後ろに下がりながら背を向けるリュウさん。
「あ、ありがとうございます」
「礼なんて言うな。次に会った時は殺すんだからな」
「はい」
リュウさんは何か言いたそうにしている。まだ何かあるのかな?
「一つ聞かせてくれ、あのリヴェルティアという神はどんな神だ?」
振り返って聞いてくる。
これは…リュウさんはリヴェルティア様の事を信用していないみたいだ。
「リヴェルティア様は空間を司る神様で、アスティアの綻びを直すのにはヴェルトラオム様のやり方ではダメだと思っているみたいです。」
一か八か…私は全てを正直に話してみる事にした。
私がヴェルトラオム様の後継者として指名されている事、それをリヴェルティア様がよく思っていない事。誇張なし、私見を出来るだけ加えないで説明した。
「リヴェルティアはヴェルトラオムを倒したと言っていた。これはつまりミナが次の主神になったという事か?」
「いえ、そんな筈はありません。神様同士では争いは出来ないそうですから。それと私がヴェルトラオム様の後を継ぐのは、全ての神様から同意を得てからって約束していますのでまだ継いでいない筈です」
私の話を聞いて更に険しい顔になって考え込んでいる。
「やはりあの神…俺達を騙しているのかもな」
「ショウ君から聞きました。地球に帰す代わりに私を殺す約束をしたと。それ以外に何か話したんですか?」
「大した事は聞いていないが、『地球でもアスティアでもない所から力を借りた』と言っていたぞ」
それってどこからだろう?
「最後に忠告しておいてやる。お前達の仲間に裏切り者がいるぞ。気を付けろ」
そう言って公園から出て行くリュウさん。
「待ってください!裏切り者なんていません!」
私が何を言っても振り向きもせず去って行ってしまった。
裏切り者?今回の事を初めから分かっていた仲間がいる?
リュウさん達の様に地球に帰してもらう事を条件にリヴェルティア様の方についたって事?
こっちに飛ばされたのはユキさん、リオさん、ソラちゃん、マサキさん、ネネさん、ハナちゃん、ルーティアさん、ダキアさん、アリソンさん、クロウさん。
テュケ君とウルちゃんとオル君は分からない。
そもそも追撃チームにいるとは限らない。みんなを信じたいけど、何が何だか分からなくなってくる。
分からない事をいつまでも考えていても仕方ない。今はもう夜が明けていて人通りも結構増えてきていた。
犬の散歩でこの公園に来ている人とかも居て、私とリュウさんのやり取りを遠巻きに見ている人がいた。
変に目立っちゃったね。ここを移動しよう。
大通りに出て暫く歩くと大手チェーンのディスカウントストアを見つけたので、そこで一番安いスウェットとバッグを購入。トイレで着替えて、バッグにしまっておいた。
で、気になったのは家電売り場のテレビの映像。朝のニュースだと思うけど、車のカメラ、ドライブレコーダーだっけ?の映像で、道路を車並みの速度で走る子供の動画と、スマホで撮っただろう縦長の映像で、農地でアクション映画の様な動きで戦う人影の動画が取り上げられていた。
ヤバイ…あれ私だよね。
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