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神様の人形

湖に浮かぶ城

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倒したカラールとズルフィカールの残骸とオルファントの盾は消えなかったので一応インベントリにしまっておいた。

「奴らの逃げた方向に行けば5階層に通じる道があるはずだ。」

サチさん達とダンジョンコア、エンゲーラの所に行く事になった。

ウルちゃんに乗って飛んでいくと私達の入ってきた所とは別の穴を見つけた。穴はウルちゃんが通るのは無理なので一度降りる事にする。

穴は小高い丘に繋がっている様で、眼下には湖に浮かぶ西洋のお城が見える。いくつも尖塔が建ち並び、堅牢な城壁に守られている。
そこに行くには麓の森を抜け、長い一本の橋を渡らなければならないようだ。
湖はとても広く、海なんじゃないかと思う程だ。

「ここで間違いない。最終階層の王と12騎士の城、エンブリオ・ダハーカだ。」

「なかなかオシャレね。」
「ダンジョンじゃなかったら観光で来たいくらいです。」

リオさんとユキさんは見た目を気に入ったみたい。

「今から攻め落とす。」

ソラちゃんは興味無いみたい。

穴を通って5階層に入る。
空には巨大な白金色の竜が飛んでいた。

「アレは4階層に配置していたボス、バハムートだ。」
「階層が崩壊した事によってここに迷い込んだって事?」
「エンゲーラが呼び寄せたのかもしれない。」

リオさんの質問に答えるサチさん。

「メガフレア?」
「いや、もっと古いゲームの竜を題材にしている。」

サチさんもソラちゃんの言う事が分かるんだね。

湖には巨大な蛇の様な影が見える。あれは…リヴァイアサンだ。
索敵をしたら湖底にはカリュブディスもいる。

「これはなかなか厄介ね。」
「まさかのボスラッシュ。」
「ボスといえばアポフィスもいるかもしれないわね。」
「2階層のボス、ベンディスカギガースもいるのでしょうか?」
「あれは構造上邪魔になるから連れてきていないか、リソース不足でリスポーンできなかったのかもしれないな。」

お城の周りは巨大怪獣だらけ。一体ずつ倒していくか。

「リヴァイアサンとカリュブディスなら私達が相手をしましょう。」

そう言ってくれたのはウルちゃん。前にオル君と倒してくれているから大丈夫だろう。

それならバハムートを全員で倒せばいいかな?

「あの、私がダンジョンからリッチを連れてきます。バハムートの相手をさせましょう。」

マリさんが口を開く。あのリッチの設計はサチさんだけど、マリさんのダンジョンのモンスターなので呼び寄せられるらしい。

「転移阻害は大丈夫なの?」
「はい。私はサッちゃんのダンジョンのサブマスターに登録されているので大丈夫です。」

そう言うと直ぐにリッチを呼び出してくれた。

「リッチだけでは勝つのは難しいでしょう。私もバハムートと戦います。」

クラースさんが竜に変身して戦ってくれる事になった。

「私達は橋を渡って城に突入すればいいのね。」
「そうなるな。」
「サチとマリは戦えるの?」
「勿論だ。とはいえ私はテイマー系、マリはヒーラー系だがな。」
「ヒーラーだけど前に出て戦えます。」

サチさんとマリさんに急造だけどオリハルコン装備を渡しておいた。

「ミナは敵に回すべきではなかったな。」
「こんな事がすぐにできるなんてスゴいです。」

2人に感心されてしまった。

「ところで何でダンジョンマスターなんて退屈そうなものになろうと思ったのよ?」

リオさんが二人に聞く。

「話せば長くなるので詳しくは別の機会にするとして、こういうファンタジーな世界は色々不便だろう?衣食住をはじめ現代とは違いすぎる。」
「そうでもないわよ。」
「それは慣れただけではないのか?」
「そうかも知れないけど、この世界って特に食については結構いいのよ。」
「そうなのか?私はてっきり焼くと煮る位しか調理法が無くて調味料は貴重品なのかと思っていたが…。」
「全然そんな事はないわね。今度一緒に町に行ってみましょう。案内するわ。」
「食べ歩き!」
「あ、ああ…。その時は宜しく頼む。」

これが終わったら仲良くしてもらえるといいな。

ーーーー

アリソンさんとハトゥールさんが偵察をしてきてくれた。
森の中には氷の狼、キンビアバラフィが沢山いて、橋の上には普通サイズの全身鎧の兵士?が待ち構えているらしい。

「準備万端で待ち構えているわけか。」
「全部倒してコアの所まで行けばいいんだよな?」

そう言ったのはクロウさんとダキアさん。

「行くだけじゃ駄目だ。ミナとサチを狙わない様にしなければ。」

ルーティアさんが付け加える。

「話して聞く相手じゃ無いだろうから撃破もしくは無力化ですね。」
「そうだな。相手が神でもこれだけは譲れない。」

サチさんも私と同じ考えだ。

「本物かどうかは知らないけど、神様に盾突く事になるとはな。ミナと居ると退屈しないな!」
「なんで嬉しそうなんだよ…。」

笑顔で言うマサキさんを呆れ顔で見ているハナちゃん。

「バチとか当たらねーですか?」
「基本的には神様って私達に干渉できないそうですから多分大丈夫です。」

兎人族ダシュプーシェンの誰かが聞いてきたのでユキさんが答えてくれている。

「よし!そろそろ行こうか。ウル、オル、クラースはここで分かれてそれぞれの相手と交戦してくれ。」
「かしこまりました。」
「お任せください。」

ルーティアさんが指示を出してくれる。

「それからひとつだけ確認をさせてくれる。ミナ、私達は足手纏いではないか?」
「え?」
「正直に言おう。単純な戦闘力では君達に数段劣る私達はいざと言う時に枷になりかねない。私達は君達について行っても良いのか?」

真っ直ぐ見つめながらルーティアさんは言う。

「私は皆さんを足手纏いなんて思ってません。いつも支えてくれて助かってます。私の方こそいつも沢山迷惑を掛けて危険な事に巻き込んで…迷惑じゃないですか?」
「前にも言ったがな…後輩は先輩に迷惑を掛けるもんだ。」
「そうそうー。私達はミナちゃん達の先輩だからねー。変な道にズレていかないようにそばで見ていてあげるよー。」
「俺はミナに恩がある。」
「私は今もミナ達を守っていきたいと思っているよ。」

先輩達は今も変わらない。

「私の方からお願いします。力を貸してください。私達は経験が足りません。力押ししか出来ないし道を間違える事ばかりです。…お願いします!」
「ああ!もちろんさね。私達は出来る事を全力でやる。フォローは任せておきな!」

私達は城に向かって進軍を開始する。
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